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『デストイレ』それは、味の無いガム。

0/100点 2022年10月 アマゾンプライムにて鑑賞

悪魔らしきものが取り憑いた大便器が、用を足しにきた人物を襲う・・・。
というような感じのホラー映画。

この映画は、60分のショートムービーとなっている。
1時間を体感2時間ほどに感じられる、大変お得な映画である。

ある時、退役軍人である主人公のブレットは弟が変死した原因を突き止めるべく
彼の弟が住んでいた団地の一室に向かう。調べる内、ブレットはトイレの異変に気づく。大便器から獣のような叫び声がするのだ。不審に思ったブレットは、業者を呼んでメンテナンスを依頼するも異常は無いと相手にされない・・。

恐怖が限界に達したブレットは、大便器に向かって銃を構え警告する「お前は何者だ。知っていることを話せ」と。だが、ブレットの叫びも虚しく大便器からの応答は無い。流れるトイレの水切り音が哀愁を誘う。解決しない大便器の問題に痺れを切らしたブレットは、教会に連絡し悪魔祓いを要請する。

謎の教会から派遣されてきたのは、悪魔祓いで有名らしい神父。
この手の怪現象には慣れているらしく早速悪魔祓いが開始される。聖書らしき本を手に持ち、とにかく「悪魔よ立ち去れ」と言うようなことを連呼し叫ぶ。血管が切れそうなほどの大声で。呪文が効いたのか、苦しそうに光を放つ大便器。しばらくの間、大声で叫ぶ神父とそれに抵抗する光る大便器。この映画で唯一CGが使われている名場面である。

神父のお祓いの後、落ち着きを見せる大便器。お祓いは成功し、主人公は感慨に耽る。
「お前と俺は、出会う運命だった」と。このあたり、急に運命だなんだと言い始めるが
大便器と戦いあう運命に必然を感じる要素も描写も無い。トイレに平和が訪れて、安堵したのかもしれない。

そして、物語の最後に大便器に座り一服する主人公だが・・・大便器からアーミーナイフが飛び出し、主人公のお尻を切りつける。悪魔祓いは失敗していたのだ。響き渡る主人公の絶叫で、物語は幕を閉じる。


さて、この映画の難点は面白い場面が特に無いことである。噛み続けたガムのように味が無い。主人公か神父が、大便器に向かって叫んでいるだけだからだ。なぜ大便器は人を襲うのか、正体や経緯の説明も無い。説明があるのは、随所に流れるオナラの様なBGMが本物の放屁音を使っていることだけ。

説明が無いことが多くて困惑す・・・・いや、そもそも私は説明されることに慣れすぎているのかもしれない。本来ホラー映画は、不条理な出来事や説明不能な怪異を見て恐怖し、それを楽しむものだ。結末やロジックなどどうでもいい、道中楽しめればそれで良いのだ。

怖い部分は自分で探せ、説明が無い部分は考えろ。
楽しみは、いつだって自分で見つけるものだ。
この映画は、そう言っているのかもしれない。

ぜひ、アマゾンプライムで。

以上。

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