オーズ10th 復活のコアメダルに感じた"ブレ"
この記事はVシネクスト「仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル」のネタバレを含んでいます。感想は否に寄っているのでご注意願います。
まず記事のタイトルについて
私が何にブレを感じたか
それは作品の語る主題、テーマです。
次から物語の結末に触れます、まだ知りたくない方は引き返すことをお勧めします。
映司、死にましたね。
ヒーローが子供を助け死ぬ。
美しい自己犠牲です。
火野映司というキャラクターがこういう結末を辿ったことは言ってしまえば当然の帰結だったのかもしれません。彼はこういうことをする危うさを抱えたキャラだったので。
え?じゃあ全然ブレてなんかないのでは?
違うんですよ、私が感じたブレはテーマであってキャラの行動では無いんです。
ここからはオーズ本編を視聴済み前提の内容になります。
仮面ライダーオーズってヒーローの自己犠牲を美しく描くことには否定的な作品じゃありませんでしたか?
上記の映司の辿る結末についても実のところ本編でそうなる示唆は行いつつ、しかしそうはならない。なおかつその展開に大きなカタルシスを置いた作劇を以って帰結しました。
真木博士の言う『美しい結末を迎えることで人も世界も完成する』ということにも完全な否定はしないにしてもそれを是としては描いていなかったはず。
むしろ本編で最終的に出したテーマは『美しく終わるんじゃなくて、もっとどんどん欲張って生きようよ』という前向きな形だったと解釈しています。
同時にその為に他者を傷つけたり、ましてや自分を犠牲にすることに対しては良しとしませんでした。
対して復活のコアメダルは『ヒーローの自己犠牲によって美しく完結した作品』でした。
何故?
欲望で身を亡ぼすことを否定した作品が?
ヒーローの自己犠牲を否定した作品が?
美しく終わることを求める敵を倒した作品が?
『誰かと繋ぐことでどんなに遠くても届く腕』
『もっとちゃんと欲張らなきゃ』
『彼を都合のいい神様にしちゃいけない』
これらの欲望を是とした作品だったはず。
犠牲無くして代償は得られないというお話自体は有りだと思います、しかしそれは仮面ライダーオーズという作品ではテーマの結論に至る過程で否定し、消化し終わったのでは。
47話の千代子さんの台詞を引用すれば『そんなのつまらない』お話だったはず。
本編でとっくに終わらせた話をわざわざ掘り返し、あまつさえ否定した方向にテーマを挿げ替えてしまった。
『つまらない』と言っていた方向に。
これを私は”ブレ”と感じた…というのが結論です。
視聴者が容易に想像できる美しい結末なんて選ばないで、強欲にあれもこれも!とスケールの大きさを見せつけてくれた作品が
小さく、美しく、纏まってしまったんだなと…
以上
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