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私が体感した 日系企業と外資系企業の会計 共通点と相違点

本記事は 会計系Advent Calendar 2024 #ACC_AC の記事です。
Blanknoteさん、主催ありがとうございます。

本日は、12月25日です。皆様、メリークリスマス
まさかまさか、この錚々たる方々が織り成してきたアドベントカレンダーの、ラストバッターを務めさせて頂くことになりました。

本年2024年は、私自身にとって、とても大きな「人生の転機」となった一年でした。そんな一年の総まとめ・集大成として、今の自分の「思い」を、全てこの記事にぶつけました。本稿は、「私の思い込み100%」の、いわば私の感想文です。熱量だけは、誰にも負けない気持ちで書きました。御笑覧頂けますと嬉しいです。


0.はじめに

1)自己紹介

おーしゃんと申します。初めましての方もおられることと思いますので、簡単に自己紹介させて頂きます。

私は京都府生まれ滋賀県育ちの関西人です。大学卒業後、金融機関に就職しましたが2年弱で退職し、その後は一般企業(メーカー)で経理関係の仕事をしています。前職は日系メーカーで約20年勤務し、主に製造工場の管理会計を担当してきました。現在は外資系メーカーで、ファイナンシャルコントローラー(日本風に言うと財務部長)として働いています。

前職20年の勤務のうち、9年半、米国の関係子会社に駐在していました。特に直近の約5年は、新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、家族帯同を断念し単身赴任を続けていました。家族との生活を希望していたにも関わらず、単身赴任解消の目途が経たなかったことから、米国出向中に転職活動を行い、今年7月に日本に帰国しました。転職活動の経緯は、以下↓のnoteに纏めていますので、ご興味のある方はご一読下さい。(プライベートな情報を多数含んでいますので、有料記事にさせて頂いています。予めご了承下さい)

私は今年46歳です。大阪某所で、妻と子ども2人と共に住んでいます。Twitter(X)では、ほとんど財務・会計分野と関係ない話ばかり呟いています。趣味はバドミントン🏸で、週末は専ら体育館で汗を流しています。長年プレイしていますが、あまり上手くないです(ヨメさんの方が強いです)。また、サブカルチャー全般が好きな「浅いオタク」で、VTuber好き(ホロライブ・ほめのび団員⚔&もしゅっ子💀)です。今後とも何卒よろしくお願い致します。

2)取り上げた理由

今回、「日系企業と外資系企業の会計 共通点と相違点」という、なかなか主語の大きい大風呂敷なテーマを取り上げることにしました。このテーマを取り上げたきっかけは、Twitter(X)の会計クラスタ上で度々目にする「外資系企業の会計は厳しく優れている、日系企業(JTC…Japan Traditional Company)の会計は緩く時代遅れ」という言説に端を発しています。

私は、前述の通り、日系企業で20年超の間、主に製造会社の管理会計分野に携わってきました。その為、日系企業の伝統的な管理会計機能については、職務経験を通じて体感してきました。その上で、先に書かれた様な「JTCの会計は時代遅れ」「外資系企業の会計とは質が違う」などといった優劣論に対して、「いや、日系企業であっても、厳格で優れた会計機能を有していると思うのだが?何か違うのか?」という疑問を持ち続けてきました。

外資系企業の会計組織として、よく例に挙げられるのは、FP&Aという職務です。この職務は、例えば工場であれば、工場長といったマネジメントレベルの方に対し、数値目標の策定や計画遂行に助言を与えてフォローし、分析結果をフィードバックする、といった役割を有しています。FP&Aは工場に在籍しながら、本社部門のCFOならびに財務部門直属となっており、現場経験を積んだ後は、本社の参謀本部で全グループ統括として従事します。外資系企業における会計機能の独自性として、FP&Aの機能と立ち位置が挙げられています。

しかし、日系企業に従事していた経験から、ネーミングは異なるものの、工場の管理会計機能は、前述のFP&Aの機能に酷似していることを体感してきました。工場の管理会計部門は、工場内の管理部に所属し、生産・製造に従事する組織とは独立して運営されています。予算策定、実績把握、経理処理、経営分析や問題解決といった各種事象に関与し、工場長などマネジメントの方に数値情報を提供し、協業する役割を担っていました。

私の目から見れば、両者は「同じようなもの」としか映っていませんでした。それなのに何故、一部界隈では議論が巻き起こり、殊更に外資系企業の会計の優位性を吹聴し、日系企業の会計を貶めるような言説が聞こえてくるのだろう…。日系企業に長く従事した者として、「日系企業の会計と外資系企業の会計、同じなのか違うのか、どっちなん、だいっ」という疑問は、自分の中での大きなトピックとなり、転職先を選ぶ上での判断基準の一つにもなりました。

上記の問題意識と共に、外資系企業の会計の門を叩き、4カ月が経過しました。勿論、まだ外資系企業における会計分野の全容を理解したとは到底言えませんが、会計機能や組織を形成する上での思想や考え方、実際に業務を回していく上での雑感については、段々と考えがまとまる様になってきました。日系企業で経験した事の記憶や感覚が消えてしまう前に、相違点と共通点を自分なりに纏めておきたい。多分、この話題は、今の自分にしか書けない!と感じ、執筆することにした次第です。

3)免責事項

私は現在、企業に属しておりますが、本稿で述べさせていただく内容は、全て私の一個人としての私見であり、前所属先企業もしくは現所属先企業の見解を示すものではありません。また、論稿内で「日系企業」「外資系企業」といった纏め方を致しますが、これは、私自身が主観に基づき一般化した形で述べるものであります。私の論稿は、特定企業内の組織・機構ないし運用を直接的に明示するものではなく、事実に反する記載を行う可能性がありますこと、予めご承知おき下さい

プライバシーには細心の注意を図り、各項での言及は一般化した概念を用いますが、本稿で述べる内容はあくまで私自身が「体感した内容」であることから、自身の前職及び現職での経験がベースになっております。本稿では、日系企業と外資系企業の特徴を類型化することを目的としておりますので、企業の固有名に言及することは絶対に避けて下さい。万が一、関係されている方にご迷惑をおかけした場合は、即座に謝罪いたしますと共に、速やかに本稿の公開を停止致しますので、ご了承の程お願い致します。

1. 実績会計

「会計」には、大きく分けて2つの分野があります。1つは実績会計、もう1つは管理会計です。実績会計は「制度会計」、管理会計は「予算会計」「事業会計」などと表現されることもあります。前者は決算数値そのものを作成するプロセス、後者は決算数値の内容を分析し活用するプロセスです。まずは、実績会計分野に焦点を当てます。

1)会計基準は皆同じ

実績会計に基づく手続きを実施していく上では、常に確固とした基準が大原則として定められています。日本に在籍する企業については、基本的に企業会計原則に則った会計処理、会計手続を実施しなければならないのは、当然のことです。米国であればGAAPと呼ばれる「一般的に認められた会計原則」による解釈が確立されていますし、欧州であればIFRSの基準に基づく会計原則に則る必要があるでしょう。

実績会計における究極形は、「確固たる会計原則が国ごとに定められている以上、実績会計上の数値(外部に公表される決算数値)は、誰が作成しても全く同じものが出来上がる」という状況でしょう。ですが現実は、財務諸表の作り手によって基準の解釈や運用が異なるため、誰が作っても全く同じ決算数値が出てくる、という状況は起こり得ません。AIによる会計情報、原初情報のインプットから仕訳に至るまでのプロセスが、現在よりも遥かにデータ上で整備され、一般的に公開される様になってきましたら、実績会計上の手続は、現在よりも収斂され、誰が作っても同じ決算数値が出る様になるかもしれませんが、現時点では未だその状況にまでは至っていません。

実績会計上の手続は、株主資本の供給者が在籍している国や地域ではなく、企業の実績会計情報を公開する地域によって規定されています。そのため、日本国内における財務諸表の計算・集計・開示の観点では、その企業が日系企業か外資系企業かによって、大きな相違点が生じることはありません

2)主たる会計基準と本拠地

実績会計上の手続を経て算出された会計数値は、日系企業・外資系企業の間で、大きな相違は発生し得ないのですが、これを「連結会計」に範囲を広げると、少し状況が異なってくると感じています。大きな相違点をもたらす原因は、「連結決算の結果を公表する本拠地」が、日系企業では日本になり、外資系企業では海外になることです。「当たり前じゃないか」と言われそうですが、私は、この本拠地の所属する国家の違いが、連結決算の開示に対するコンセプトの違いを生み出している、と考えています。

日本に本拠地を置く企業は、当然の事ながら、日本の会計原則を基準とした財務諸表作成を要求されます。近年、国際会計基準や米国会計基準と、日本の会計基準との間での相違点は、徐々に少なくなってきているものの、各国それぞれが拠って立つ歴史的経緯・政治的背景・文化的側面が異なることから、完全に統合されて全く同じ基準によって運営されることは、将来的にもあり得ないであろうことが容易に想像されます。

連結決算を実施する際、連結対象の各国事業所から数値を取り纏め集約する役割は、本拠地の財務部門が担っていることが殆どです。最近では、シェアードサービスセンターを人件費が安い地域に設立し、会計関係の実務処理は各拠点で行わず、センターで一括処理する体制が一般化してきましたが、グループ会社全体の根幹を為す重要な会計処理の検討及び実施や、連結後の財務情報管理は、連結結果をトップマネジメントに速やかにレポート出来る様に、本拠地で実施される方が合理的です。

ここで、連結の取りまとめを行っている本拠地と、データを提出する各国との間で、異なる会計基準に基づいて決算を行っている、という問題が生じます。このギャップを埋めるための対策は、大きく2種類に分かれています。

1.各拠点が、本拠地と同じ会計基準に則った財務情報を提出する
  各拠点の会計監査は、本拠地基準の財務諸表のまま実施する、もしくは
  本拠地基準の財務諸表を拠点基準の財務諸表に組み替えて行う
2.各拠点は、各国の会計基準に則った財務情報を提出する
  各拠点の会計監査は作成している財務情報のまま実施する
  各拠点は、本拠地基準に「組み替え」た財務情報を作成し、
  本拠地へ報告する

ここで、日系企業と外資系企業の間に、「本拠地の属する国家が異なる」という相違点が問題となります。欧州に本拠地を持つ企業は、本拠地で提出する財務諸表は国際会計基準(IFRS)をベースにしておりますし、米国に本拠地を持つ企業は、本拠地で提出する財務諸表は米国会計基準(USGAAP)であることは、当然のことでしょう。

会計の国際化の流れの中で、日本でもIFRSやUSGAAPの研究および理解促進は進んでおり、数々の書籍が発刊されています。日本国内での、USCPA資格取得者も増えています。その為、外資系企業の日本拠点が、IFRS基準やUSGAAPに則った財務情報を提出することは、それほど困難ではないのではないか、と考えます。つまり、外資系企業の場合、拠点データを本拠地に集約する際、前述の1.2.どちらの選択肢も採り得るのです。

一方、日系企業が連結財務情報を収集する場合、各国拠点すべてに対し「日本の会計基準に準拠した財務情報を、各国の一次データとして保有し提出すること」を実施させることは、極めて困難です。私は、日系企業で米国子会社から財務情報を提出する役割を、長年担ってきましたが、米国の財務担当者は、当然ながらUSGAAPに準拠した会計処理を行っていました。本拠地の日本に財務情報を提出する際には、USGAAPベースの財務情報を、日本基準にコンバージョンした上で提出していました。

日本基準へのコンバージョンについて、日本基準に精通した現地会計担当者など見たことが無く、私の様な財務系の日本人出向者が対応を続けていました。従って、日系企業は、前述の1.の方法は極めて採りづらく、2.の方法…、つまり、レポーティングパッケージを提出する方式…、が一般的になるのです。

3)誰の為に開示するのか

財務諸表は、何のために作成し、誰の為に開示しているのでしょうか。教科書的な回答は、「企業のステークホルダーの為」でしょう。主たる目的は、株主や投資家、もしくは融資を実施している金融機関などの債権者に対する、企業の財務情報の透明性担保であるだろう、と考えます。

本社および連結決算の開示対象は、比較的単純です。上場会社の場合は、機関投資家や一般投資家の方に対して。非上場会社の場合は、創業家など大株主に対して、説明責任を果たすために財務情報の開示を実施します。

では、海外子会社各拠点の財務情報開示についても、同じロジックで語り得るのでしょうか。各拠点は、株主である親会社に対し、財務上の説明責任を負います。その為、拠点ごとの財務諸表を完成させた上で、連結決算上で必要となる財務情報を本拠地へ提供します。説明責任という意味合いでは、本拠地の属する会計基準に則った報告と説明を実施することが、開示の主たる目的となります。そう考えますと、各拠点単体の財務情報が、各拠点が属する国家の基準によって作成されること自体に、あまり意味があるとは思えません。

外資系企業の場合、前述の1.各拠点が、本拠地と同じ会計基準に則った財務情報を提出する、という方法が取りやすい状況にあります。この方法の良いところは、IFRSやUSGAAPといった会計基準に基づいたデータを、グローバル全体で一元管理しやすい点、です。ERPシステム上で、本拠地が属する国家の会計基準に基づいて、海外子会社全社にデータを入力させていれば、会計基準の相違点を埋めるための組み替え手続を行う必要がありません。ですから、本拠地の財務部門が、いわゆる「レポーティングパッケージ」を各拠点から取り寄せ、本拠地側で後付けで組み替えに頭を痛める必要が無いのです。

上記の運用は、日系企業では非常に「やりづらい」と推察しています。グローバル全拠点に、日本の会計基準に準拠したデータをERPシステム上に登録させることは、極めて困難です。日本の本拠地が同じ方法を採りたいのであれば、全世界の財務データをIFRSなどの基準に準拠した形に統一し、日本国内での決算開示をIFRSベースとする方が、まだ現実的な解決策だろう、と考えます。

実績会計を実施する上において、誰の為に開示を行うのか…?という点が、本拠地で採用する会計基準を規定し、各国拠点が報告する際に準じる会計基準を決定します。そして、ERPシステム上での会計基準統一化、および、レポーティングパッケージの提出の要否につながります。日本の会計基準は、グローバルに展開しづらい為、外資系企業の様に組み替え後のデータをそのまま収集する方法が取りづらいのです。これが、実績会計上における、日系企業と外資系企業の大きな相違点、と考えます。

2. 管理会計

次に、管理会計について考えます。管理会計は「予算会計」「事業会計」などと表現されることもあり、決算数値の内容を分析し活用するプロセスです。管理会計は実績会計と異なり、組織や企業に拠って、非常に多種多様な制度設計・運用が行われている為、実績会計と比べて、一般化が難しい分野です、今回の論稿は、私の理解…すなわち、私自身の経験に大きく依拠しており、必ずしも日系企業全般や外資系企業全般の特徴を捉えていない可能性がありますので、予めご了承ください。

1)目指すゴールは儲け

実績会計は「必ずやらなければならない」ものであるのに対して、管理会計は「必ずしもやる必要は無い」ものです。では何故、長い時間と労力をかけて「予算」を策定し、予算と実績の差異を分析するのでしょうか。その理由は、結局のところ「儲けたいから」です。儲けたくなければ、予算管理など全く必要無く、好き勝手に買いたいものを買い、作りたいものを作り、売りたいものを売れば良いだけです。

「儲け」と一言で言っても、色々な「儲け」があります。古典的な日本の会計に基づいた区分ですと、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・税引後利益といった各項目を用いています。日常的な業務運営上でコントロールしづらい項目を控除した、EBIT・EBITDAといった区分もあります。「儲け」を「キャッシュイン」と捉え、手元現金を最大化させられる様に行動する企業もあるでしょう。

とは言え、この区分は大きな相違点ではありません。結局のところ、管理会計上で大切な事は「儲かってるかどうか」であって、「どういう状況を『儲かってる』と捉えるか?」によって、どの指標を用いて評価するかが異なるだけ、と捉えています。

日系企業も外資系企業も、どんな企業も全て「儲けたい」が故に事業を行い、「儲かっているかどうか」把握し、次の儲けに繋げるために、管理会計業務を行っているのです。「儲けたいから、管理会計を行う」という点においては、両者が目指す目標に相違はありません

2)FP&Aと管理会計課

近年、外資系企業から採り入れられた役職として、FP&Aという職務領域があります。これは、Financial Planning & Analysisの略で、「業務管理および財務計画の立案、財務データの分析を行う職種またはその業務」と説明されています。

FP&Aの職務領域としての特徴は、会計部門が事業所に所属せず独立しており、組織構造上の報告先が本社のCFOに繋がっている事、です。これは、FP&Aの業務が、事業部門の利害に左右されず、客観的で正確な情報を提供することを要求している為である、と考えています。確かに、管理会計課が管理部に所属し、管理部が事業部門長にレポートしているケースは、日系企業では多く見られることと推察します。

しかし、個人的には「FP&Aと管理会計課員の機能に、大差は無い」と感じています。これは、日系企業で長年、管理会計課に所属し実際に業務を行った上で、外資系企業に移った私の体感に拠るものです。管理会計課で実施していたことは、予算策定や日々の伝票処理・仕訳処理、各種管理指標の更新と分析、事業部門長への数値及び分析結果の報告です。これらの業務は、現在の職場でFP&Aの方がされている業務と、何ら変わりません。全く同じ、と言い切っても良い程です。

日系企業の管理会計課は確かに、組織図上では、事業部門内の上長に対する報告義務を持っていました。しかし、実際に同課の陣頭指揮を執っていた上で、事業部門に慮る様な事は一切なく、事業部門の責任者に対して、時にはかなり厳しい交渉や指摘を実施していました。

また、各拠点の管理会計部門は、本体の財務部門と密接な連携を取っていました。これは、日系企業あるあるなのですが、明確なReport toの関係が無くとも、財務部門に所属する社員の処遇は、本体の財務部門によって独自に決定されていました。本社財務部門に対する報告内容や〆切の設定も、本体の財務部門から指示が与えられ、多くの資料の提出・報告先に、本社財務部門が指定されていました。本社財務部門は、最終的に、本拠地のCFOに対してレポート・報告を行います。FP&Aと管理会計課の機能に、大きな相違点は見受けられません

ただ、外資系企業のFP&A組織は、組織図上で明確に規定されており、CFOを頂点としたピラミッド構造として、グローバル全体で「一枚の組織図」として描かれているという点は、大きな特徴です。日系企業ですと、前述の通り、暗黙の了解として、ふわっとした財務部門全体のとしての把握はありますが、あくまで管理会計課は事業部門に属した形になっています。この、グローバル全体で、一気通貫の組織となっている強固な管理組織は、責任の所在を構造的に明確化させる機能を持っています。この点につきましては、3章で詳述致します。

3)厳しい予算管理

日系企業においても外資系企業においても、予算管理は極めて厳しいです。当年度の実績を原単位として翌年の予算を立案し、目標となる利益に達していない場合は、容赦ない追求と予算削減プレッシャーを受けます。各費目、細目ごとに細かなフォローがあり、項目別に「多い」「少ない」といった検証を行うこと、損益目標以外に在籍従業員数や設備投資金額などの目標値も設定されており必達が厳守されていること、など、日系企業も外資系企業も、厳しさについて相違点はありません

管理会計分野においても、日系企業と外資系企業の間で、多くの共通点がある一方、相違点はどこにあるのでしょうか。私は、予算策定及び予算分析のプロセスは似通っているものの、予実分析結果の「使われ方」と「帰結点」が大きく異なる、と感じています。

私は、会計の業務に従事し始めた20数年前から、「事業計画って何なんだろう」という疑問を、ずっと持ち続けてきました。計画値は、目標値なのか、必達値なのか。計画値の、実現可能性はどこに置けば良いのか。大いにストレッチすべきなのか、それとも、達成し得る範囲内で最大限がんばる数値にすれば良いのか。

前職の日系企業勤務時は、この問いに対する答えを、自分の中で見つけ出すことが出来ませんでした。即ち、予算や計画の定義が曖昧だった為に、未達成時のフォローアップも曖昧になっていたのです。予実に乖離があった場合、当然の事ながら厳しい追及を受けましたが、追及の方向性は「何故そうなったのか」「対策はどうするのか」といった点に終始していたのです。

一方、現職の外資系企業では、予実分析の結果が出てからのアプローチが、全く異なりました。「何故そうなったのか」と追及されることが殆ど無い代わりに、業績が芳しくない事業については即座に「いつ撤退するのか」という協議がなされます。業績が芳しくない事業に対しては、手を入れて復活させるのではなく、被害を最小限にとどめて、早めに切り捨ててしまうのです。勿論、この切り捨てる行動には、事業場の閉鎖や人員整理なども含まれます。

日系企業と外資系企業の間で、予実管理の厳しさには大きな違いはないものの、その後のアプローチが大きく異なる点が、両者の相違点であると考えています。悪くなった事業に対して、復活や再生を願い手を入れるのか、それとも早々に切り捨てるのか。予実分析の先にあるアプローチの違いが、両者の大きな相違点であり、厳しさの違いであると感じています。そして、この相違点は「日本と海外諸国の国家の在り方や民族性に由来するのではないか」と感じており、次の3章で詳しく解説いたします。

3. ガバナンス

これまでの章で、日系企業と外資系企業の間で、会計分野そのものには共通点が多いものの、扱われ方や結果については相違がある点を述べてきました。この相違点は、日系企業と外資系企業のガバナンス体制の違いに起因している点が多い、と考えています。本章では、日系企業と外資系企業の間での、ガバナンス体制の共通点と相違点について考察します。

1)設計責任と運用責任

前述の2章「FP&Aと管理会計課」の中で、「外資系企業のFP&A組織は、組織図上で明確に規定され、一気通貫管理されている」「日系企業では管理会計課は事業部門に属している」という話を述べました。私は、外資系企業の特徴として「組織の設計者と運用者が明確に分かれており、制度変更は基本的にトップダウン以外あり得ない」日系企業の特徴として「組織の設計者と運用者が明確に分かれておらず、ボトムアップでの制度変更があり得る」、と考えています。(勿論、この定義とは異なる組織設計を行っている企業もある、と思います)

私は、20年超の日系企業勤務の中で、組織変更や制度変更が、ボトムアップを通して実施されていく様子を、目の当たりにして来ました。現場が問題意識を持ち、問題を打ち上げ、「上」を巻き込んで仕組を変更していく。現場主体の改善活動や、QCサークル活動などは、正に「組織の設計者と運用者が、明確に区分されていない」からこそ、実行出来てきたことだと感じています。

諸外国に比べて日本の労働者は、概して知識・意欲・勤勉さの点で、非常にレベルが高いと感じます。これは、日本では地方に至るまで、高等学校教育が行き届いている一方で、自宅からの通学圏内に通学可能な大学が存在しない優秀な学生が、高卒や専門学校卒で就職し、極めて高い意欲とポテンシャルを持ち自発的に業務を推進し得る人材へと、企業が就職後に育成しているという背景があります。

私が米国駐在時に米国の工場で勤務していた作業者と、日本の工場で勤務していた作業者では、勤務態度や改善意欲、知識や技術の点において、大きなレベルの差がありました。トヨタ生産方式の考え方で挙げられる様な「自働化」する人材は、日本以外の諸外国では、労働者の意欲やスキルレベルを考えると、かなり育成が難しいのでは無いでしょうか。

ボトムアップによって制度設計が変更できるという状況は、現場のニーズを反映しやすいというメリットがある一方で、部分最適に陥りやすいというデメリットを有しています。その為、制度設計が子会社それぞれでバラバラになってしまい、グループとしての一貫管理が極めて難しい状況になることがあります。また、日系企業が海外に進出した際、日本と同じ感覚で、労働者による「自働化」や「現場改善」を期待し、結果的に何も改善が進まない事態に陥ることもあります。

外資系企業では、制度設計を行う部門と業務運用を行う部門は、元から明確に分かれており、現場がボトムアップで全体像としての制度設計を担うことは、まずあり得ません。基本的に、制度設計を行う部門(基本的に本拠地にある)は、グローバル全体としての効率性を重視しながら、「あるべき姿」を追求し制度設計を実施します。

制度設計を行う部門は、日常の業務運用に携わることなく、制度設計及び制度構築「のみ」を業務としますので、日系企業で良く見られるような「日常業務が忙しく、システム導入や制度変更が進まない」といった事態は、起こり得ません。その代わり、制度導入が常に強硬的かつ一方的に行われるため、現場の業務フローと制度設計との間で大きな乖離が発生し、制度変更後に大きな業務上の軋轢が発生し、業務運用を行う現場にしわ寄せが来ることは、日常茶飯事です。

この様に、設計責任と運用責任の「分化」「未分化」は、それぞれ長所と短所があるのですが、グローバル全体を「統一した仕組で一貫管理する」という点においては、両責任が明確に分かれている外資系企業の体制の方に分があるのではないか、と感じています。

2)海外子会社は植民地

ところで、企業は何故、海外に子会社を作ってまで、海外進出しようとするのでしょうか。海外に作る子会社の「性質」によって、その目的は様々ですが、第一の目的は「海外で利益を上げるため」である筈です。では、海外で上げた利益は、その後はどうするのでしょうか。そのまま、海外で上げた利益は、海外で費消したり投資したりすることが目的でしょうか。

企業は誰のモノなのか。会計の教科書を開くと、企業は「株主」が所有する、と明確に記載されています。では、海外に建てられた子会社の株主は誰か。勿論、本拠地にある親会社です。となると、海外で獲得した利益は、株主に還元されることが正しい流れであり、言い換えれば、海外子会社で稼いだ利得は全て、配当金や再投資を通じて、親会社が吸い上げるのが正しい、ということになります。

少し、感情に訴えかける言い方をします。例えば、日本の企業が、米国に進出するとします。日本から、過去の私の様な形で、日本人が米国に出向し駐在するとします。一生懸命、米国で仕事をして、利益を稼ぎます。そうやって稼いだお金は、出向が終了し、日本へ帰国する際、一緒に日本へ持って帰りたい、と思いませんか? 感覚的な話ですが、海外で日系企業が稼いだお金を、日本の親会社が配当金で吸い上げ、日本で事業を行う資金の一助として費消する。それほど、抵抗感は無い考え方ではないか?と思います。

ですが、これを逆にすると、どう思われるでしょう。米国の企業が、日本へ進出してきたとします。日本人を雇用し、日本で商売を行い、日本で利益を上げました。いわゆる「内部留保」が出来た訳です。その内部留保は、米国の親会社が、全て配当金と再投資で吸い上げてしまいました。日本の子会社では、給与も人件費も増えず、事業拡大用に再投資のお金の使用だけは認められましたが、他は全て、米国本社が持って行ってしまいました。何か、悔しく感じませんか?

人は、極めて恣意的な考え方をする」と、我ながら感じています。海外子会社は、いわば「植民地」なのです。ですから、外資系企業にとっての日本法人は、生かさず殺さず、コストを最低限に抑えつつ、最大の収益を上げることを目標として、上がった利益は全て本拠地が吸い上げて行くことが、海外子会社経営を行う上で与えられた命題なのです。

一口に「外資系」と言っても、大きく分けて米国系・欧州系・中華系の企業があります。子会社の運用に関しては、米国系・欧州系企業の方が、比較的「制度をガチガチに固め、本体が決めた制度の範囲内だけで、ローカル人材に運用させる」傾向が強く、中華系企業の方が「ローカル組織のやりたい様にやらせる一方で、資金と役員は本体が握る」傾向が強い様に感じています。(私の体感ですので、事実がそうであるという確証はありません)

3)農耕型と狩猟型

日本人は「農耕民族」と言われています。日本国内の発展の歴史は、稲作の広がりによってもたらされており、他の領土を収奪し勢力を伸ばすよりも、「育み、育てる」ことを良しとしてきている様に感じています。

戦後日本の発展は、護送船団方式と言われる、官民一体となった組織運営に支えられていました。本来、学生が社会に出た後で役に立つ学問を習得するための高等教育は、教育機関である大学の役割である筈ですが、社会に出た後の実務に直結する様な学問を、大学など教育機関で取り扱う体制は、諸外国に比べて遅れているのではないか、と感じています。

会計人材の育成を考えますと、日本と諸外国の間で、大きな違いが見られます。米国でCPA資格を取得している人の多くは、大学及び大学院で「会計学部」に入って会計を学び、CPAの受験科目に即したカリキュラムを学び、大学や大学院を卒業するまでにCPA資格を取得することが一般的です。

一方、日本では、そもそも「会計学部」という学部設定が非常に少ないです(商学部、経済学部、経営学部はありますが)。簿記を扱う専門学校はありますが、公認会計士資格を取得するまでは至らないまでも、高度な会計知識を有し経理処理を実施する人材を育成する大学は、まだまだ少数です。会計大学院の制度はあるものの、米国と異なり、会計大学院出身者が公認会計士資格取得者の大勢を占めるには至っていません。従って、在学中に公認会計士資格を取得する人たちは、CPA取得の為のダブルスクールに通う事が多いです。

日本では、ビジネスシーンで必要となる知識やスキル、資格取得に至るまでの「社会人教育」の一端を「企業」が担っていた、と言えるのではないでしょうか。米国では、スキル不足やキャリアアップの為に、いったん社会に出た人たちが、コミュニティカレッジなどの大学に戻って新たな学問を修めた上で、未経験の違う職種に就く様子を良く見てきました。しかし日本では、まず正社員としての就労経験が求められる上に、大学での教育がビジネスシーンでのニーズと必ずしも直結していないことから、こういった「出戻り修学」でのキャリアアップを殆ど見かけません。

加えて、日本ではごく最近まで、「終身雇用」が一般的でした。その為、ビジネスシーンと必ずしもリンクしない学問を修学した新卒の学生を、一括採用で雇用し企業内で育成し、ビジネスマンとして育て上げる体制が成立していました。

外資系企業が日本に作った事業場で、新卒を一括採用し自社内で育成している企業は、ごく僅かなのではないでしょうか。前述した通り、本拠地で設計した制度の範囲内で、出来る限りコストを抑制し利益を上げ、収益を本拠地に吸い上げることが目的ですから、ビジネススキルの不足する社員を一から育成するメリットが無いのです。

ですから、外資系企業の人員構成は、中途採用が主体となります。制度設計が先にあり、制度が必要とする役割があり、その役割に人を貼り付けて行くのです。そこに、「役割を担えない人材を保有する」という発想はありません。必要な人材を、必要な場所に、必要なだけ充てる。そして、その役割が不要になった場合は、不要になった人材も一緒に切り捨てて行くのが、当然の企業行動となるのです。

育み育てる日系企業では、なかなか芽の出ない事業や、しおれてきた事業に対しても、一生懸命対策を行って、何とか復活させようとすることが多いのではないでしょうか。それは、日本という国を本拠地とし、国としての発展の一翼を担ってきた企業の責務とも言えるでしょう。

ですが昨今では、そうやって日系企業が育ててきた人材を、外資系企業が中途採用で持って行ってしまうケースが多いのではないでしょうか。そうすれば、大学卒の人材を教育するコストを払わずとも、役割を担える人材を獲得できます。日系企業よりも高い賃金レンジと、リモートワークなどの制度充実、そして転勤がなく勤務地の希望が通りやすい条件などを加えれば、人材はやって来るでしょう。私自身も、日系企業で約20年勤めた後で、外資系企業へ転職しています。

農耕型と、狩猟型。狩猟型の企業は、狩りとる為に行動します。儲かる事業に注力し、収益が上がれば継続。収益が上がらず儲からないと判断したら、組織や人材ごとバッサリ切り捨てる。管理会計機能とFP&A機能に大差がない事は前述の通りですが、最終的に、事業や人材ごとバッサリ切り捨てられるのか、それとも安易に切り捨てず再生を願い再度育成するのか?、という大きな相違点がある為に、両者の「シビアさ」には、相違がある様に見えるのではないでしょうか。

4. 終わりに

ここまで、各項目に分けて、日系企業と外資系企業の会計について、共通点と相違点を述べてきました。改めて強調したいのは、両者の会計の在り方について、私は「優劣を付けることはしたくない」です。それぞれ、メリットとデメリットがあると感じていますが、昨今の日系企業受難の経済情勢においては、どうしても日系企業の会計の在り方に問題点があるのではないか、と考えられがちです。最後の章では、私自身が外資系企業に移った今、日系企業の在り方を思い返し、感じていることについて述べさせて頂きます。

1)優劣ではなく違いを理解する

繰り返しになりますが、「日系企業の会計と外資系企業の会計、どちらが優れているか」ということを論じても、何の価値も無いです。どちらが優れている、というものではなく、ここまで述べてきたような制度・背景の違いがある故に、目的や帰結点が違っているだけです。

日系企業における「農耕型」会計の在り方は、「同じ事業を継続的に伸ばしていける」状況であれば、効力を発揮していたのだ、と感じています。ですが、ある一つの方向性に伸ばしていったとしても先が見えない場合や、事業環境が変化し収益性の改善が見られない場合は、別のアプローチが必要になるのでしょう。

外資系企業に移った私が言及して良い事では無いのかもしれませんが、外資系企業の人材戦略や会計戦略を見ていると、現行の日本の制度に対して、フリーライドしている部分が多くある様に感じます。日系企業各社は、せっかく育成してきた貴重な事業や人材を、途中から横取りされない様な対策を実施していく必要があるのではないでしょうか

2)日本だけの特殊事象

1章「実績会計」の項で述べましたが、グローバルスタンダードとして、日本の企業会計原則などの規則を、世界各国の事業所に適用し準拠させることは、極めて困難だと考えます。加えて、日本だけの特殊事象として、「言語の壁」が大きいと感じています。

現在、勤務している会社では、グローバルで実施される会議は、全て英語で実施されます。「当たり前では?」と言われそうですが、日本だけに限らず、海外関係会社全ての担当者が、英語で会話している状況は、なかなか壮観です。もう少し具体的に言えば、中国人も、韓国人も、インドネシア人も、タイ人も、フランス人も、ドイツ人も、みんな英語で話しているのです。当然、彼らとて、母国語は英語ではありません。

今、一緒に働いている上司・部下・同僚は、みな英語オンリーの会議に着いて行けるだけの英語力を有しています。これは自慢でも何でもなく、「英語での議論に着いていけなければ、全く仕事にならない」のです。少なからず、叩きあげで身に付けてきた英語を、自分の中で「特技の一つ」として考えてきた私にとって、培ってきた英語力が「持っていて当然、ただスタートラインに立っただけ」となる環境は、新鮮であり脅威でありました

仮に日本が本拠地であったとしても、グローバルに使用されるビジネス言語は、英語以外には考えられません。ただ、日本ではまだまだ、英語を用いて円滑な議事進行が出来る環境が、全てのビジネスシーンにおいて整っているとは言えません。日本語を主体とした制度設計や組織運用、社内規定やルールの展開をグローバルに実施することは、日本語を理解出来る諸外国の人材の数を考えると、おそらくかなり困難でしょう。グローバル展開を行っている日系企業は、言語障壁という大きなハンデを背負っていると言わざるを得ません

一方で、第三章で述べた、一般的な作業者や従業員の質の高さは、日本特有の特徴と言えます。上手く組織に組み込めば、自働化し自ら考え、改善活動を積極的に進めて行ってくれる人材へ成長してくれるのです。こういった人たちを、単なるコストセンターの構成員と考えるのではなく、活用し得る素地があることもまた、日本の特殊事象であると言えるのでは無いでしょうか

3)日体外用の壁を越えて

昨今では、日系企業でも、CFOやFP&Aといった組織・役職が多く見られる様になりました。あたかも旧来型の管理会計課組織は時代遅れで、FP&Aが先進的な会計組織である様に見られがちですが、「名称だけ何となくカッコいいから付けているだけ」で、実態は何も旧来の組織と変わらない様な状況に陥っていないでしょうか

大切なのは、名称ではありません。CFOという本体の財務トップへ会計担当者が直接報告し、事業部門に対して強力な権限を以て接する体制が、FP&Aの仕組の根幹なのです。事業部門に振り回され、権限が与えられずに数値集計だけに走り回るFP&Aに、なっていないでしょうか。会計部門を一つの大きな機構として構築・運用し、全体最適となる制度設計を強力に推進する部門を擁し、損益結果がその後の事業の改廃に直結する様な組織を、運用出来ているでしょうか。

その昔、欧米列強の侵出を受けていた清王朝末期の時代に、「中体西用」という考え方に基づいた政治運営がなされていた時代がありました。中国としての政治体制やコンセプトは替えないまま、西洋の技術を取り入れた富国強兵政策を採ろうとしたものです。結局この政策は、形だけ西欧の技術を取り入れたために、上手く活用することが出来ず、失敗に終わってしまいます。

果たして、日系企業は、外資系企業の会計制度のコンセプトや背景を理解した上で、こういった外資系企業で運営されている制度設計を採り入れているのでしょうか。名前だけ外資系風にアレンジしたものの、内実が伴わない様な、「日体外用」の状態に陥っていないでしょうか。外資系で実行されている制度を盲目的に採り入れず、日本独自でこれまで培わって来た「農耕型会計」の長所を伸ばす方策を考えて行くことが、グローバル競争を生き抜いていく上で強力な戦略となり得るのではないでしょうか。

「日体外用」の壁を越えて、新たなステージへ。日本経済が再び上向き、世界の中で重要なポジションを占めて行く為に、必要となる会計上のサポートを。「狩りとる」ことを目的とした狩猟型の方法論は、いったん狩ってしまった後の地に、新たな豊穣をもたらす事には長けていません。日系企業の持つ優れた方法論は、作物の育たない枯れたビジネスフィールドを耕し、新たな果実を育てる事に長けている、と考えます。

日本企業が培ってきた農耕型の「育む」会計に基づく方法論は、無限の可能性を秘めている。私はそう、信じています。


以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この会計アドベントカレンダー企画を主催して下さったBlanknoteさん、数々の素晴らしい論稿を掲載して下さった執筆者の皆様、そして拙文をお読み下さった全ての読者の皆様に、心より感謝し御礼申し上げます。

来る2025年が、皆様にとって素晴らしい年になりますことを、心から願っております。どうか皆様、良いお年をお迎え下さいませ。
ありがとうございました!


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