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愛知に行く。⑥

知人には会えなそうだった。
そうだよね。普通の月曜だし。

北海道に戻ったら日差し不足になるだろうと考えて、外で過ごしたいと思った。
彼と行ったことがある名古屋城か、初めての名古屋港に行くか。
名古屋港の施設は月曜日は軒並み、休みらしい。

まあ、いいか。
海を見に行こう。

名古屋駅から栄まで歩く。
昨日と同じ道。暖かくて、マフラーを取って歩く。

いいなあ、暖かくて。
いい街だなあ。
コートを着ていない人も多い。
おしゃれし放題だ。寒くて泣きそうになることもないんだろうな。

栄から電車に乗る。
降りてすぐ、海鮮のお店があったので入ってみた。

産地はわからなかった

何も考えずに海に来たからと、海鮮屋に入ったけれど
名古屋港で魚、獲れるんだろうか。
普段北海道にいると、産地をすぐ気にしてしまう。
これは彼の癖でもあって、というか、どっちの癖だったのかも分からない。
海鮮を食べる時、季節と産地は必ずチェックする。
そして、どの季節のどこ産が美味しいか、2人で話し合うのだ。
彼と会ってから、私が異様に魚に詳しくなり、一時期会社では、さかなクンですもんね。とからかわれた。

カウンターに通されたけれど、店員さんはみんな無言で作業をしていて
音もなく、私以外にお客さんもおらず、少し気まずい思いをした。

1人の店員さんが箸入れに一枚一枚何かを書いている。
私も自分の箸入れの裏を見てみると

「幸せになることに躊躇してはいけない」

と書いてあった。
自分の幸せを見失っている今、沁みるなあ。
ありがとう。店員さん。

名古屋港に向かう。
本当に一つの施設もやっていなかった。
そして1人も人がいなかった。静かだ。
でも、気持ち良い。

海と工場地帯と、奥に見える橋を渡る車。

生ぬるい風が海に近づく度、冷たくなる。
結局、ここのベンチで1時間ほど過ごしていた。日差しと風と。いい気分だ。

彼がドライブ中によく流す、彼の好きな曲が纏められたプレイリストがある。
別れてからあまり聴いてなかったけれど、いろいろあったし、、、再生してみた。

懐かしくて笑いが溢れる。
懐かしい。懐かしい。海風に揺られながら口ずさむ。
彼の好きだった曲。
マカえん、Vaundy、back number、Saucy Dog。一つ一つの曲に思い出が蘇る。

back numberの「海岸通り」という曲が流れてきた。

別れる直前のデート
私が運転していた時に、ちょうど流れてきて

「二人窓の形をした海岸線の絵をってどうゆう意味?」
彼が聞いてきたことを思い出す。

私は「窓と窓から見える海岸線をそのまま描いた絵が2人の思い出の絵だったんじゃない?」
と言った。

「ふーん」と言って、彼は窓の外を見ていた。

もしかしたら、2人が過ごした部屋の窓から絵のように生活に溶け込んだ、海岸線が見えていたってことだったのかな。
そんなことを海岸線を見ながら思う。

そんな会話をしてから1年で、私はこの「海岸通り」の「僕」になってしまっているなあ。

そうだね。
「元気でね」なんてかっこつけなきゃよかった。


私は3年目のiPhone 11proを使っているのだが、
モバイルバッテリーの充電もすぐに食い尽くすほど、ガタが来てる。

充電が切れそうで退散する。
お昼寝でもできたらよかったんだけどなあ。

ここから30分ほど歩くと、「ららぽーと」という施設があるみたいだ。
ここら辺には何もないし歩いて行ってみようか。

歩いて「ららぽーと」にきても特に惹かれるものはなかった。

そうだよ。だって昨日まであんな繁華街のデパートにいたんだもん。
休憩したかったので、フードコートでレシートを集めて収支計算してみる。

飛行機抜きで約4万7000円。。。。
飛行機入れて6万5000円ほど

4泊5日にしては安いのは分かるけれど、
目的は何も果たせられてない5万だ、、、。

というか北海道内の交通費が高すぎる!愛知旅行以前の問題だ。


辛い。仕事がんばろ。。。
あの欲しい鞄買えたなとか、、、。
また節約生活か、、、とか嫌でも考えてしまう。。。

そして、事前準備のための、服や美容室やエステのことは一回忘れよう。

今日の宿まで行くには、乗り換えが必要なのだが、乗り換えなくても歩いて、その線に乗れないだろうか。(めんどくさい&節約に駆られて)

Googleマップを広げると、1時間歩けば同じ線の駅まで行けるみたい。
よし、歩くかー!

そして見てみると、あれ?
彼の家の最寄りの駅だ。
この前、教えてもらった家の近くの駅だ。

彼の家に行ってやろうか。
車に落書きでもしてやろうか。
ピンクの絵の具でハートでも。

そんなことを思いながら、キャリーケースを引きずりながら1時間歩く。
この旅行で歩きすぎなのか、私の扱いが雑なのか新品のキャリーケースには小さな穴が空いていた。

とんでもない坂とかあったけど、綺麗だった。


彼の家の最寄り駅に着く。
おおー、良いとこ住んでんじゃん!

駅から家までは、すぐ近くみたいだったけど、行くのは辞めた。

紡木たくの『瞬きもせず』という漫画で
主人公が別れた彼氏に会いに行くが、一日中雪の中で待っても、彼からは連絡がなく、会うことは出来ず、
仕方なく彼の家に
「私の心はずっとあなただけのものです。」
という書き置きを置いて帰るのだけど、

あれは、ストーカーという概念がなくて、携帯もない時代だったからだ。
そして、主人公が純だから。

私ならキモイで片付けられるかも。
でもわたしも4日待ったんだけどなあ笑

堂々とした理由で、了承を得て、行こう。

駅から電車に乗る。
今日は人生初めて、カプセルホテルに泊まる。
楽しみだ。
そして朝イチの飛行機に乗って北海道に帰る。

なんだかんだあったけれど、
泣いたけど。
1人で楽しめた。楽しかった。こんなに自由に旅行することなんてないし。リフレッシュできた。

そして、何故かやる気が出た。
もっと頑張らなきゃ。勉強もしよう。たくさん働こう。もっと可愛くなろう。

そして、またリベンジだ。
なんでこんなポジティブになってるんだろう?
旅行ハイかな?

大好きな街。愛知。
また来てやる。
いつか住んでやるからな!!!

そして、旅行中チマチマnoteを書き続けるのは楽しかった。
自分の感情をその時に分析できるし。
このnoteがあったから、メンタル保てたのかも。1人でも寂しくなかった。

また、一人旅の時は実践しよう。
こんな気持ち悪い旅行記を世に出していいものなのか不安だけれど。
あと、読み返したくはないけれど。
また、旅に出よう。


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