👹オリジナル脚本『カミングアウトの脅迫』
シナリオ・センター基礎科146期卒業生、現在は研修科受講生です。
オリジナルの脚本です。
初めてのコンペ応募作品!!「悪役」というテーマの舞台に書き下ろした作品です。
ぜひご高覧ください。
今後も、随時オリジナル脚本を掲載していきますので「スキ」や「フォロー」どうぞよろしくお願いします!コメントには必ずお返し致します。
あらすじ
ゲイであると会社で噂されている男有明と、
有明を執拗に脅迫しカミングアウトを迫り続ける男青木I2人の延々と続く会話の応酬のラスト、果たして有明はカミングアウトを決行するのかIそもそも本当に有明はゲイなのか
前書き
LGBTQ+ など性的多様性の社会的容認と実装が世界中で叫ばれている現代
一方で5実際5人々の心の中に根強く残る性的マイノリティへの表向きと裏向
き5本心と差別する心とのギャップ
性的多様性と真摯に向き合うことは決してデモをすることだけでも5差別反対を叫ぶことだけでもないのかもしれないIカミングアウトを脅迫しつづける悪役青木は本当に悪役なのだろうか?
理想と現実との間にある溝をリアルな飾り気のない会話の応酬で照らし出す。ゲイであると会社で噂されている男有明と5有明を執拗に脅迫しカミングアウトを迫り続ける男青木I2人の延々と続く会話の応酬のラスト5果たして有明はカミングアウトを決行するのか
そもそも本当に有明はゲイなのか
人 物
有明 周(35)不動産会社社員
青木 勝(35)有明の同期
住山 元(33)有明と青木の後輩
店員(26)居酒屋の店員
本文
青木「おい、なんやそのコート!ニューヨークのゲイやないか!」
有明「ゲイではない」
青木「いや、これはニューヨークのゲイしか着ることのないコートやで」
有明「ここは神田の居酒屋であって、そして俺はゲイではない」
青木「いや、もうええやん。恥ずかしがるなや。俺は好きやでゲイ。オシャレやん」
有明「しつこいな、ゲイじゃないって。何回言えばわかるんだよ。お前さあでかい声で俺の事ゲイだゲイだって言うから契約部のみんな俺の事ゲイだと思ってるじゃん。マジでやめろよ」
青木「別にええやないか。今社会と会社が求める人材戦略は多様性とその実装やで」
有明「ああ、そうだね。でも、それは俺の役目じゃない」
青木「まあ、聞けや。誰か一人が先陣を切って、ゲイだと認めることで、救われる人めっちゃおると思うで。一度目を瞑ってみ」
有明「はい、瞑った」
青木「想像してみ。その人たちが救われた先の未来を見つめる眼を」
有明「ああ、想像した」
青木「改めて聞く」
青木「お前はゲイやな?」
有明「俺はゲイ・・・」
有明「ではない」
青木「どうしたら認めてくれるん?」
有明「だから、何度もいうように俺はゲイじゃない。どうしたらそれやめてくれるの?」
青木「お前が認めたらや」
有明「何を?」
青木「お前がゲイだってことや」
有明「話にならない」
青木「まあ、まあ、まあ」
住山「え、やっぱ有明さんってゲイなんすか?」
有明「だから違うって。先輩にゲイとかいうなよ」
住山「いえ、僕有明さんはやっぱスーツキマってるしおしゃれだし、かっこいいと思うっす。尊敬してるんすよ。そのコートも絶対有明さんじゃないと似合わないっすよ」
有明「じゃあ、ゲイとかいうな」
住山「あはははは。うっす!」
店員「いらっしゃいませ!ご注文は?」
青木「ストロベリージャムカクテル」
住山「生ジョッキ」
有明「白のシャルドネ」
青木「ニューヨークのゲイやないか!」
店員「アハハハハハハ!」
有明「なんでだよ。お前の飲み物の方がゲイだろ」
青木「なんでや。ストロベリージャムカクテルのどこがゲイなん?説明してや」
有明「もういいよ。店員さん困ってるだろ。あ、とりあえず飲み物はそれで」
店員「あははははは。かしこまりました!」
青木「好きなん?」
有明「はあ、何が?」
青木「あの店員タイプやろ?」
有明「好きでも嫌いでもない」
青木「なんで、そんなこと言うん?別にゲイであるかどうかは別にしてタイプかどうかって聞いてるだけやん」
有明「じゃあ、お前はどうなんだよ?」
青木「俺はタイプではない!」
有明「じゃあ、俺もタイプではない」
青木「じゃあってなんなん?真剣に答えてや」
有明「もう、しつこいな。早くなに喰うか決めろよ」
青木「決めてるわ!お前と違って俺は常に同時進行で考えられる頭があるねん」
有明「わかったよ。じゃあオーダーして」
青木「わかってるって。あの店員さんが近くに来るまで待ってるんや。お前のために」
有明「はいはい」
青木「でもさ、ほんま芸能人で言うと誰がタイプなん?誰がいまキテるん?」
有明「蒼井優」
青木「うん!わかったわかった。カモフラージュはいいとして男ではだれがいいん?」
青木「わかった。せめてジャンルを教えろ
や。ジャニーズ系か?」
有明「いや」
青木「BTSやな」
有明「違う」
青木「ほな、寺田心ってことでええな?」
有明「違う」
青木「悪い。鈴木福のほうか?」
有明「違う」
青木「ほなだれや?」
有明「マコーレカルキン」
住山「だれっすか?」
青木「ホームアローンや。もう、そうい
うのええから真剣に答えろや」
青木「真剣に答えんかったら、オコエ瑠偉ってことになるで。ええな?」
住山「オコエ瑠偉!アハハハハ!」
青木「思いつかんかったやろ、この路線は」
住山「いわれるまで忘れてました」
有明「もういいよ。オコエ瑠偉で」
青木「そういうなや」
青木「ん?照英!、照英やな!」
青木「照英はええと思うで。俺は、ええと思う」
青木「はあ、ホンマおもろいわぁ」
青木「でも、どっちなん?この世の中に男2人しかいなくなったとしてさあ、掘るほうなん?掘られるほうなん?」
有明「さあ、わかんないけど、掘るほうなんじゃない?」
青木「ほな、お前は男の前で勃起するってことでええな!」
住山「青木さん、やっぱ考え方が凄いっす!深いっす!」
有明「何も深くないだろ。どっちで答えたってこいつは詰めてくるんだから。つかさ、この年で結婚してないお前もゲイといわれてもおかしくないからな。人の気持ち考えろよ」
青木「よう考えとるで」
有明「結婚する予定あるの?」
青木「なんでお前にそんなこと言わなあかんねん。お前も渋谷に住めばできんちゃうの?」
有明「はいはい、パートナーシップ制度ね」
住山「有明さんも切り返しの速さ流石っす!」
有明「もうさあ、このやり取り毎日流石にしんどいわ。どうしたらやめてくれるの?」
青木「だからいうとるやん。お前がちゃんとカミングアウトしたら、俺はもう二度と何も言わん!約束する!」
有明「わかったよ。一度しか言わないからよく聞いとけよ」
青木・住山「おおおおおお、遂にか」
有明「俺はゲイ・・・」
青木・住山「うん!」
有明「ではない!」
青木「はいつ!明日からも詰めさせていただきまっす!」
終
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!!
性的マイノリティの読者の方には必ずしも好ましくない表現があったと思います。ただ、私が会社で働いていた当初2009年はこのようにゲイの疑惑のある有明のような社員が槍玉に挙げられいつもいじめられていました。
まずはそれをまっすぐに表現し作品にしたかったという思いをご理解ください。
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粕谷 経 OSAMU KA|SUYA