童謡「桃太郎」の桃太郎は昔話よりも悪役みたいだった
ジョジョ3部、感想を書き切ったはいいがうまいこと当てはまる画像が見つからず悩んでいたところ頭を過ったのが童謡「桃太郎」でした。
お腰につけた黍団子、その後一体どうしたっけ
「グリーングリーン」の歌詞を考えるきっかけもこんな感じでしたが、「桃太郎」も同じです。
桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけた黍団子一つ私にくださいな。
よく知られたメロディーですよね。でもこの後ってどう続くのでしょう。
記事を読んでいる方の多くは昔話「桃太郎」のおおまかなストーリーはご存じかと思います。桃太郎の黍団子をねだった犬、猿、キジはこの後仲間になるはずですが、童謡ではその辺り、どのように表現されているのでしょうか。
まさかの駆け引き。
しっかりと交換条件を提示してきている。
快く承諾したうえで「でもね」と桃太郎サイドにとって徳になるような条件を提示してきている。
主導権が桃太郎に渡った瞬間ですね。
それにしても、犬猿キジの要求は黍団子という「ご飯」なのに対して、桃太郎の要求は鬼退治という「戦」なの、どう考えても不釣り合い。
話の流れとしては犬猿キジは「分かった」と返すのでしょうけど、歌だとどういう流れになっているのでしょうか。
そんな二つ返事で家来になると言い切っていいのか、犬猿キジ。
いや、仲間になることは想定していましたよ。話の流れがそうなので。
ただ、「家来になる」と言っているとは思いませんでした。
先の場面で交渉の主導権が明確に桃太郎に渡ったわけですが、この瞬間に主従関係まではっきりしてしまった。
きっとその日のご飯ぐらいの価値ですよ、黍団子。仮に犬猿キジがどうしても食料が無くその日の飢えを忍ぶ策に悩んでいたとして、そんな状況で解決策が目の前に現れたのなら、このチャンス逃すわけにはいきませんよ。ですが、家来になってどこまでもって。
ただ、考えてみると案外納得の決断なのかもしれません。
確かに、桃太郎の家来になっておけば鬼退治の後も安泰に暮らせるかもしれないという望みは浮かびますよね。
もしかしたら、この人が鬼退治の後も養ってくれるかもしれない。
なんだかしっかりとした身なりをして鬼退治に出発していますし。
万が一に桃太郎の性格が悪かったら鬼退治以外にも雑用で連れまわされる可能性はありますが、悪さをしている鬼を退治しに行くんだと話されたらそんな可能性どこかに飛びますよね。
ちなみにですが、契約って口頭でも成立するそうです。文書が無くても契約としての効力を持つとのこと。
なので、今回の桃太郎と犬猿キジの会話は口頭での物々交換における契約が成立しているということになるんですかね。付随して鬼退治に同行する同行者とそれを使役するものという、いわば労働契約も成立しているように思えます。黍団子が欲しいだけなのに、雇用者と労働者という関係が成り立ってしまった。私ならこのスピードについていけません。
どちらが悪役か分からない鬼退治
つぶしてしまえ鬼ヶ島
なんというパワーワード。鬼からしたら恐怖以外の何ものでもない。
そもそも鬼が何をしたというのか。宝を盗んだ?村を荒らした?この歌の中にはでてきません。
このあたり調べてみましたが、昔話では詳しく語られていないという結論をいくつかみかけました。加えて明治以前の桃太郎には「鬼の宝物を取りに鬼ヶ島へ行った」という内容もあるようです。
明確に何をしたのか分かっていないのに急に住居を襲われる鬼。あまりにも可哀相。
しかも「そりゃ進めそりゃ進め」なので、もしかしたら桃太郎サイド、鬼退治を楽しんでいる可能性がある。
いや、可能性、じゃないのかもしれない。
「おもしろいおもしろい」!?
なんという悲報。桃太郎、鬼退治を楽しんでいた。
しかもぶんどりものをエンヤラヤしている自覚がある。
ついに奥底の感情を露わにしてきましたね。この時犬猿キジはついてきてよかったのかなあ、とか思ったんでしょうか。このままついていって僕たちは安泰に暮らせるんだろうか、と。
この時頭を過るのは、桃太郎を桃から育て上げたおじいさんとおばあさんですよね。こんな悪党顔負けのヒーローになるために外に出したわけじゃない気がするのですが。いやでも、特に悪名を轟かせていたわけでもない鬼を退治しに行かせたということは、何か裏があったのでしょうか。どちらにしても不意をついて襲撃することを「おもしろい」とノリノリになるような子には育ててないことを祈ります。
「その後」はどうなったんだい桃太郎
ノリノリで鬼ヶ島を襲撃し、どちらが悪役か分からなくなった桃太郎は鬼退治を無事完遂できたのでしょうか。
そうですよね。持ち帰りますよね。
1行目でウッキウキなのが伝わってきます。
ところで、この物語で一番ハッピーなのは誰なんでしょう。
犬猿キジは黍団子をもらえて、当初の対価にはなかった宝物も、この感じだと率先して運んでいる感じがするので当然貰えると思ってますよね。ですが、貰った先で宝物を利活用はできませんよね。売ってお金を貰っても買い物できないし、なんなら人間に取られそうだし。
桃太郎については宝物を持ち帰れておじいさんおばあさんに嬉しいお土産ができて、そこまではいいのですが、鬼退治の様子を見ていると何か大切なものを失っていそう。その後の生活で取り戻せるかがカギですね。
おじいさんおばあさんについては、きっと迷惑をしていたであろう鬼は退治されたのでまず1ハッピーですし、桃太郎も無事帰ってきて宝物もついでに貰える。3ハッピーぐらいいってますね。
童謡「桃太郎」は6番までしかないため、どこに持ち帰ったのか、持ち帰った先でどうしたのかまでは分かりませんが、鬼の犠牲に目をつぶれば、桃太郎に出てくる登場人物はみんなハッピーエンドなのだと思います。
とりあえず、無事に帰ってきて良かったですよ。
昔話の桃太郎の時点でも、「これ、鬼側からみたら全然ヒーローじゃないよな」と思うことはありましたが、童謡の歌詞を見たときにここまで悪役っぽいとは思いませんでした。
また気が付いたらいっぱい書いてしまいました。
最後まで読んでくださった方、はじめと終わりだけ読んでくださった方、その他色々な読み方をしてくださった方々、ここまでお付き合いいただきありがとうございました🙇♀️