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『モモ』が教えてくれた本当の豊かさ

【メモNo:158】

2024年10月23日

・*・*・*・*・

ミヒャエル・エンデ作の『モモ』
50年ほど前に書かれた名作です。

実は、私はこの本を10年以上前に譲り受けていて、一度も読んでいないままでした。

最近になって導かれるようにこの本を手に取って、今まさに大切なメッセージを受け取りました。

今日はそのメッセージをシェアしたいと思います。

【マイスター・ホラがモモに出したクイズ】
三人のきょうだいが、ひとつの家に住んでいる。
ほんとはまるでちがうきょうだいなのに、
おまえが三人を見分けようとすると、
それぞれたがいにうりふたつ。

一番うえはいまいない、これからやっとあらわれる。
二番目もいないが、こっちはもう家から出かけたあと。
三番目のちびさんだけがここにいる、
それというのも、三番目がここにいないと、
あとのふたりは、なくなってしまうから。

でもそのだいじな三番目がいられるのは、
一番目が二番目のきょうだいに変身してくれるため。
おまえが三番目をよくながめようとしても、
そこに見えるのはいつもほかのきょうだいだけ!

さあ、言ってごらん、
三人はほんとはひとりかな?
それともふたり?
それともーだれもいない?
さあ、それぞれの名前をあてられるかな?

それができれば、三人の偉大な支配者がわかったことになる。
彼らはいっしょに、ひとつの国をおさめているー
しかも彼らこそ、その国そのもの!
その点では彼らはみなおなじ。

出典:『モモ』
ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳

【クイズの回答】
三人のきょうだいが住んでいる家
=【この世界】

三人のきょうだいがおさめている国
=【時間】

一番目のきょうだいは【未来】
二番目のきょうだいは【過去】
三番目のきょうだいは【いま】


以下、私見を含む解説です。

大事な【いま】は見ることができない

この世界で、時間を支配しているのは、【未来】【過去】そして【いま】です。
そのどれが欠けても、時間の概念は成り立ちません。
中でも、三番目の【いま】が一番大事です。
なぜなら、この世界に居るのは【いま】だからです。
しかし、ちゃんと見ることができるのは【未来】と【過去】だけなのです。

「時間がない」と焦るのも、
「時間が勿体無い」と急かすのも、
未来や過去にばかり目を向けて【いま】を感じられていないからです。


【いま】は心で感じるもの

時間は静かな音楽で、心で感じられないと無いも同然、とマイスター・ホラは言います。

そう、【いま】は心で感じるものなのです。
物語の中では、マイスター・ホラがモモに、時間の源を見せてくれます。

その源は、モモの心の中にあり、宇宙と繋がり、その宇宙の声によって【時間の花】を美しく咲かせ散らせることができます。


モモという存在

主人公のモモは、施設から逃げ出して家を持たない浮浪児です。
ボロボロ、ブカブカの服をまとい、何も無いように思えます。

しかし、彼女は人の声を【聴く】ことができます。
モモに話を聴いてもらった人は、何故だか自分の本当の心の声がわかるのです。

モモは、人々にとって欠かせない存在となり、彼女のまわりには自然と友達や、食べるものが集まってきます。


本当の豊かさとは

物語の中で、人々は時間を節約して暮らすことで経済的に豊かになっていきます。
しかし、経済的に豊かになればなるほど、心は貧しくなっていきます。

モモだけは違いました。
モモは経済的豊かさも目新しい着せ替え人形も、何も求めていなかったのです。
彼女には、訪れてくれる友達と、寝泊まりする演芸劇場と、星々の奏でる音楽だけでじゅうぶんだったのです。


【いま】読んで欲しい物語

この物語は50年ほど前に書かれたものですが、まさにいま、読むといい物語です。

風の時代に入っているいま、人々の働き方も、時間の使い方も、見直されつつあります。

改めて【時間】って何だろう、と考えます。

パートタイムで働いていたので余計にそう感じるのですが、Time is money.の考え方があります。
分かりやすく時給が1000円だとして、働いた1時間には1000円が支払われます。

それに対して、家で趣味に費やした1時間に、お金は支払われません。しかし、心の豊かさという点ではどうでしょう?
好きなことをしたその1時間が、心身の栄養になり、生きる活力に繋がるのです。

物語の中のモモが【未来】や【過去】でなく、【いま】を生きているように、私たちもできるだけ、見えにくい【いま】に意識を向けて、日々を豊かに過ごしていきたいものです。

物語『モモ』を1枚のキャンバスに描いてみました。


今日もお読みいただき
ありがとうございます♡



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