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自民党"こそ"が統一教会と関係を持つべきでない理由

自民党と旧統一教会(統一家庭連合)との関係が話題となっています。
岸田政権は、「今後、当該団体との関係を断つことを自民党の基本方針として徹底すること」を表明しました。

ただ多くの人が指摘していますが、岸田総理は「なぜ統一との関係を絶つのか」については具体的に説明していません。
強硬な保守層の中には「自民党は統一と関係を絶つべきでない」と言わんばかりの論を唱える人もいますが、私はそうではないと思います。
むしろ、数ある政党の中で自民党こそが、最も積極的に統一との関係を見直すべきだと考えています。以下に理由を述べたいと思います。

(1)自民党が最も統一と深い関係にある

自民党を含む野党は、党内の自己点検等によって党所属国会議員の統一家庭連合との関係について調査をしてきました。
自民党、日本維新の会、立憲民主党から公表されている調査結果をまとめると、以下のグラフとなります。

旧統一教会と関係のある国会議員数及びその割合(出所:各政党の発表人数より筆者作成)

あくまで各党とも自己点検の数で参考ではありますが、統一との関係人数(棒グラフ
、左側縦軸参照)及び関係割合(赤点プロット、右側縦軸参照)ともに自民党が圧倒的に多いことが分かります
。人数にして180人近く、所属国会議員に占める割合は50%近くにまでなります。
統一の田中会長自身が「保守系議員、特に自民党議員とは深い関係を持ってきた」と言っているわけですから、当然と言えば当然の結果です。

さらに関係の濃淡という点でも、統一の講演会に出席したり、統一から選挙応援したりもらっている等の「深い関係」にある議員は、自民党に圧倒的に多いことも色んな方が指摘しています。

このように、統一家庭連合に関する問題は突出して関係の深い自民党こそが特に大きな責任を負っているのであり、「野党もやっているからどっちもどっちでしょ」という理屈は非常に乱暴な論であることが分かります。

※野党のうち共産や公明は党の性格上統一との関係が薄いことは明確なので、上記のグラフからは省いています。国民民主党は、玉木代表自体が統一と深い関係にあることが影響しているのか、党内調査の結果を公表していないようです。政策面では個人的に好きな党だったのですが、統一対策については非常にがっかりしています。

(2)自民党が長年政権与党であったという責任

旧統一教会は、日本において非常にアコギな商法や献金でお金を巻き上げ、それを本国:韓国へと送金していたという事実があり、多くの日本人被害者を生み出して国益を損ねてきたという点で大きな問題です。

このような問題を放置してきたという点において、政権与党には大きな責任があるはずですし、もし統一を政治の力で守ってきたのだとしたら、その責任はより一層大きなものとなります。

戦後、70年あまりの間に多くの選挙が行われ多くの内閣が誕生しましたが、自民党が政権を手放した期間は1993〜94年と、2009〜2012年のたった4年前後しかありません。

これだけ長い期間政権を担ってきたにも関わらず統一問題を放置してきたという点において、自民党こそが負う責任は大きいと思います。

(3)保守派を自称する政党としての責任

保守派というのは、基本的に国の伝統や文化を尊重し、国全体の利益(国益)を重視するというのが一般的なイメージだと思います。
そして、自民党というのは2010年の党綱領でも謳っているように、日本を代表する保守政党であるというのは間違いありませんし、そういった点に期待して投票していた私のような有権者も多くいたと思います。

一方で、統一家庭連合というのは韓国発の新興宗教で、非常に反日的な教義に基づき日本において大きな金銭的被害をもたらし、それを韓国へ送金していたことは事実です。

このように、「日本の伝統や国益を尊重する」はずの自民党が、「日本の伝統や国益を損なう」統一と関係を持つということは大きな自己矛盾です。

それどころか、自民党議員はこれまで統一家庭連合との関係が表に出ないように気を配っていたという内容も多数報道されています。
これは、自分達のポリシーに反する団体と付き合っていただけでなく、その関係を有権者(支持者)にバレないよう欺いていたという点で、二重に悪質な行為です。
いわば中国産の食品を日本産として偽っていたようなもので、一種の虚偽表示に近いと個人的には思います。中国産の物は中国産と表示したうえで納得して買うべきものであるように、有権者も国益を損なう団体と付き合っていることを納得したうえで自民党に投票できなければフェアではありません

よって「保守」を自称する自民党は、そのポリシーに反する統一家庭連合と距離を置くべきなのは当然のことですし、もしそれができないのであれば、有権者が正当に判断できるようその事実をことさら隠すべきではありません。

(4)まとめ

以上の通り、自党のポリシーと大きく反する統一家庭連合との関係を自民党が見直すことは、ごくごく当然のことです。
そして、特に統一との関係が深く、そして長年の間その問題を放置してきたという点でも、自民党が責任ある行動を起こすことは絶対に必要です。

岸田首相も、この点をもっと丁寧に説明された方がよいと思います。


P.S.
先日のBSフジのプライムニュースで、元検事の高井康行氏が「統一教会の人達だって有権者だし基本的人権を持ってるんだ、宗教弾圧をするな」というようなことを言っていましたが、全くの的外れな見解だと思います
自民党に限らず各政党が自分達のポリシー(自民党の場合は「保守」)に反する団体と距離を置くことは当然認められるべきですし、そうでなければその政党のポリシーに共鳴して投票した有権者を裏切ることになります。
(常識的に考えて、自民党の議員が例えば暴力革命による共産主義を標榜する過激派団体と平等に付き合うべきないことは明らかです。)

また統一家庭連合が自分達の名前を名乗った政党を作り、もっと堂々と政治活動をすることを誰も妨げないでしょう。このことからも、統一問題が信者の方の政治参加に関する権利の問題でないことは明らかです。
問題なのは、有権者に隠れて自民党や統一がコソコソと協力関係を持っていることなのであり、そのことによって有権者が適切な選挙権の行使をすることが妨げられているという点なのです

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