【モリカケ桜と】 統一教会問題がこんなに炎上する理由 【何が違う?】
安倍元首相の暗殺事件以降、統一教会問題が連日のように報道されています。
統一教会問題を精力的に取り上げ続けているミヤネ屋の視聴率が好調であるというニュースや、岸田内閣の支持率が主に統一問題を理由にして下がっているといわれていること等から、統一問題は多くの人の関心を引いているといえます。
一方で、政権与党に関する疑惑を野党が追及するという構図では、いわゆるモリカケ桜問題と似ており、「どうせ同じように時間が経てばウヤムヤになるだろう」という声もあります。
実をいうと私自身もモリカケ桜の当時は結構安倍さんを応援したいたこともあり、「また野党がうるさいこと言ってるなあ」程度の認識でスルーしていました。
ただ、今回の統一問題というのはモリカケ桜問題とは結構性質が違っており、より一般人の関心の高い問題(=自民党にとっては無視できない問題)だと個人的に考えています。
なぜ統一問題がこんなにも炎上するのか、少し考えてみます。
(1)オウム事件以来のカルト教団へのアレルギー
まずは、統一家庭連合(旧統一教会)がいわゆるカルト宗教にあたる(と多くの人が考えている)団体だということです。
日本という国は、オウム真理教による地下鉄サリン事件という人類史上初の無差別化学兵器テロを経験した国ですから、もともとカルト宗教へのアレルギーは非常に高いと思います。
特に今の30代以降の世代では、当時のセンセーショナルなオウム真理教の記憶が残っていますから、「カルト教団が何か悪いことをしているようだ」というだけでとにかく興味を引き付けられるのは自然だと思います。
(2)韓国系反日団体へのアレルギー
次に、統一家庭連合が非常に侮日的/反日的な性質を有している教団である点が挙げられます。
例えば、「罪深いエバ国家である日本はお金を捧げるべきだ」といった教義を持っていることや、創設者の文鮮明氏が「天皇陛下をひざまづかせる」と言った発言を行っていたことなどが広く報道されています。
近年の日韓関係の悪化を象徴する慰安婦問題や徴用工問題等を見ても分かるように、日本の世論というのは徐々に韓国の反日的な姿勢を許容できなくなっていると感じます。これはある意味では日本の保守層の考え方がここ最近普及してきた成果とも言えるのですが、統一家庭連合と癒着している日本の保守政治家にとっては非常に皮肉な結果といえます。
個人的には、上記の「カルト教団」で「韓国的な反日思想」を持っているという点で、日本人の非常に忌み嫌う要素が揃っており、世間に強い関心を引くのも無理はないと思います。
(3)具体的な多くの被害者の存在
考えてみると、モリカケ桜問題というのはあれだけ多くの話題になりながら、具体的に被害者が大量に発生したという問題ではなかったと思います。
確かに、公文書の改竄を巡って自殺をされた赤木さんという公務員の方は大変気の毒だと思いますが、それも大多数の国民にとっては割と人ごと感が強いのでないでしょうか(失礼な話ですが)。
一方で、統一家庭連合の問題というのは、具体的に多くの日本人被害者が存在しています。
高額献金で破産まで追い込まれてしまった方や、合同結婚式で韓国の寒村へ嫁がざるを得なかった女性信者など、具体的な被害者の存在が既に報道されています。
こういった報道に接すると、被害を身近なものと捉えて興味・関心を引く方が結構おられるのだと思います(私の知り合いもそういった意見でした)。
やはり人間は、具体的な被害者が目に見える形で現れないと問題の重大性を理解しづらいという面があるといえ、そういった意味で日本人被害者が大量に発生している統一問題は非常に問題意識を持ちやすくなっていると思います。
(4)行政が安倍さんに歪められるのは許せるかもしれないが、統一に歪められるのは流石に許せないという当たり前の事実
モリカケ桜の問題の本質は、「安倍政権によって行政が歪められたのではないか」という点に尽きると思います。
この点について、「絶対に行政が歪められたはずだ」や「絶対に行政は歪められていない」といった強い意見の方もおられると思いますが、多くの人は「何となくグレーっぽいな」くらいに思っているのではないでしょうか。
なかでも私みたいなライトな安倍首相支持の層を含めて、「安倍さんが多少権力を乱用するくらいは大目に見るか」と、消極的に状況を許容していた方もおられると思います。
一方で今回の統一問題では、教団の名称変更において文科大臣の意向が働いたのではないかとか、統一家庭連合に調査や捜査が入らないのは国(主に自民党政権)に守られているからではないかといった疑惑の目が向けられています。
これは言ってみれば、「統一家庭連合に行政が歪められているのではないか」ということであり、この点を許容できる日本人が統一信者以外にいるのか非常に疑問です。
このように、「安倍総理に多少行政を歪められるのはいいか」と許容する人は結構いたとしても、「統一家庭連合に行政を歪められるも仕方ないよね」という人は極めて稀でしょうから、この点でも統一問題はより人々の関心を惹きやすいと思います。
(5)自民党にはもう安倍さんがいないという事実
これは、多くの安倍サポーター(私も少し前まではそうでしたが)が見落としがちな点ですが、「既に安倍さんがこの世にいない」という点は非常に大きいと思います。
モリカケ問題や桜を見る会の問題の時も、安倍さんを支持していた層の感想は、「まあ何だかグレーなことをやっているみたいだけど、安倍さんが総理になってから色々功績もあるしまあ大目に見ようか」というものが多かったと思います。
言ってみれば「功績のある安倍さんだから許した」という部分が絶対にあったわけで、多少のごまかしや改竄が許された(?)のは、「安倍マジック」ともいうべきカリスマだけが通用する反則技だったと思うのです。
しかし、当の安倍さんがいなくなった今、ある程度の不祥事があったとして「まああの人がやるなら大目に見るか」となる人はどれくらいいるでしょうか?少なくとも岸田さんにそんなカリスマ性があるようには見えません。
自民党の執行部も、カリスマがいなくなった後もなお反則技を使おうとしているように見え、流石にそれは無理筋で非常に世論を見誤っていると個人的には感じています。
カリスマの反則技が使えない今、本来ならば基本の不祥事対応にのっとって、丁寧な説明と情報開示を行わないとなかなか炎上は鎮火しないと思います。
(6)まとめ
上記のように、統一問題というのはその性質においてモリカケ桜と基本的に異なる問題であり、より世間の炎上を招きやすい要素が揃っていると思います。
上記要素に加えて、自民党が不誠実な対応に終始するならばまさに火に油を注ぐだけであり、ワイドショーのキラーコンテンツ化は不可避だと個人的に思います。
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