システム図(ブロック図)のようなもの
『スモール オーディオ宣言』では「スモールハウス」を紹介させていただいたのでそちらの規模は高村友也氏の著書でご覧いただけるのだが、私の考える「スモール オーディオ」が(システムとして)いったいどの程度の規模感を持っているのかが明示できていなかった。スモール オーディオと言うからにはまずは「スモール」のイメージを明確化して概念を共有する必要がある。
規模が大きくなり廉価とは言えなくなればプア オーディオ派からはブーイングを浴びることになるし、規模を小さくしすぎて音質で妥協すればピュア オーディオ派からは無視されることになる。まあしかし私のような音楽愛好家(オーディオ装置にはあまり投資しない)が日常使いする廉価でありながら納得感・満足感が高いオーディオ装置の方向性(落としどころ)が具体化・提示できるのであれば、それが私のやりたいことである。いろんな理由で妥協はどこかでしてしまうと思うのだが音質については安易な妥協はしないつもりだ。音楽が好きな人は誰でも、好きな音楽をお気に入りの音質で聴いて、酔いしれたいのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。音質にこだわるのは大義なのである。
スモールと言う言葉からは『物理的な大きさが小さい』が最初に想像されるが、昔のSONY製品のように小ささを追求する方向性は見た目のインパクトはあるのだが製作やメンテナンスがしずらくなるので我々アマチュアにとっては得策でない。よって物理的な小ささは考慮するが、経済的な小ささと回路のシンプルさを重視することとする。つまり”塩結び”である。
前置が長くなったが、以下にスモール オーディオのシステム図(ブロック図)を示す。システム図と呼ぶにはあまりにも単純であり、理解しやすい内容であろう。オーディオは本来、かくもシンプルなものなのだ。ほーらプリアンプが欲しくなってきたでしょう?
このなかで「音源機器」は聴く人それぞれの個性(趣味趣向)の問題があり(例えばFMチューナを接続する人もいれば、Bluetoothレシーバを接続する人もいる)、時代依存性もある(例えばMDデッキを想像すると解りやすいかも)ので「音源機器」はシステムの入口ではあるが普遍的存在としては提示できないため、本丸(普遍的な部分)は「プリアンプ」「パワーアンプ」「スピーカ」にあることが判る。この3つが廉価かつお気に入りの音質で小規模に実現出来ればよい。
「プリアンプ」についてはすでに1つ紹介済みなので、「パワーアンプ」と「スピーカ」について次回以降で紹介してゆくことにする。真空管を使えばオーディオ好きの方から共感と関心が得られるのであろうが、あえて使わない作例(廉価路線)にこだわるつもりだ。真空管はいい音を出すことは承知の上で、錬金術にこだわるのだ。廉価なことは大人が本気になって遊ぶ上でとても重要なことと思うから。廉価なのにハイレベルな音を出せたら素敵じゃないか。