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2018 年間ベストソング

平成最後の年。音楽業界では安室奈美恵が突如引退してビックリ。今まで経験したことのない超大型台風が直撃し、色んなものが吹っ飛んだり、木がなぎ倒されたり自然の猛威をもろに体験しましたね。比較的ベスト10に邦楽が多い。

Tempalay / どうしよう

この世間的にはどうでもいいランキングで邦楽率が高くなりつつある。しかも新人バンド。さっきの緑黄色社会と同じ出どころで初めて聴いたのは「関ジャム」。最近この番組の影響力が強まってきたな。海外でテーム・インパラのプチブレイクでちょっとしたサイケデリックなロックがブームになり、日本ではまだ影響下のバンドは出てこんやろと勝手に予想してたが、見事に裏切られた。(実際に影響されているかは知らんが)そんな独創的なサイケデリックなグルーヴを奏でるはテンパレイというバンド。番組では3人の名Pの内、2人が気になる注目バンドにあげていたほど。確かにこれを聴くと掘り出し物を見つけた感がある。
いびつで頭の中がループするような音色とグルーヴ。全体的にかなり中毒性の高い音楽としてまとまっているのは、それでいて、すこぶるキャッチーなメロディライン。ゴダイゴを彷彿とさせる桃源郷も感じ取れる。色んな要素が詰まったある意味、真のミクスチャーと言える珍しい音楽性。こんな奴らまで出てきちゃう邦楽ロックシーンはまだまだ奥が深い。というよりあまりに無知だったんやろかな。一体どんなライブするのか興味津々や。なかなかレンタルできず、まだこの1曲だけでアルバムは聴いてないけど、この奇想天外な音楽に今のところ期待しかないのでR。


YOUNG FATHERS / In My View

音楽好きの中では、にわかに熱い視線を送られる謎のオルナタティヴ・ヒップホップグループ。とかやたらと気になる触れ込みが目についたので、嫌でも期待が高まる中、聴いてみて当たりだった人たち。HIPHOPと簡単にはカテゴライズできるような音楽じゃないけど、文句なしにカッコいい。マッシヴ・アタックからは「世界で今、ファッキン・ベストなバンド」といかにもアーティストがいいそうな賛辞を送り、ノエル・ギャラガーも「度肝を抜かれた」とまで言わしめる曲者たち。これだけ言われると聴きたくなるやろ。アフリカはエジンバラ出身のメンバーが面白いエッセンスを入れ、スリリングで妙に今っぽい最新型のサウンドを生み出す。HIPHOP不遇の時代(自分の中だけやけど)に嬉しい光。
アルバム丸ごといいんやけど、中でもこの曲は聴いた時に衝撃くらったな。これぞHIPHOPやと正面切っては言えんが、本人たちは今のポップソングに革命を起こしたいらしい。若気の至り的な発言やけど、この曲聴いてると、どこかにポップさも根底にありながら、暗いし、薄汚れた感覚が音の端々から漂ってくるようなサウンド。でも何でこんなに聴きやすいのか不思議。うねるような低音のアフリカンビート、リズムが音色と相反して、メロディは異常にキャッチー。陰と陽を1曲の中で同居させる力は音楽を制すると思っている。MUSEしかり。それをやってのける面白い奴らがHIPHOP畑から登場したんが素直に嬉しいY。


緑黄色社会 / 大人ごっこ

バンド名が緑黄色社会。ベタなことを言うけど、カゴメの新製品ではない。けど記憶に残るいいネーミングやと思ったな。それだけで歌詞のセンスが期待できることで、一歩リードできる力はすごいんじゃないか。初めて知ったのは「関ジャム」っていう日曜にやっている深夜の音楽番組。あんさん知らんかもやけど、ただの音楽番組やなくて著名なプロデューサーとかプロ目線でアーティスト、楽曲を紹介するコア向けの、今までにない番組。回によって色々やけど、竹内まりやの良さを分析したり、なかなか面白い切り口で結構目から鱗的なこともあるし、まだまだ俺なんざヒヨっ子やと思わせられるわ。番組の紹介はここまでにして、、そこでこの緑黄色社会は要注目の新人バンドとして気になって聴いてみたパターン。
透明感のあるボーカルで少女から大人にちょうど変わっていくかのような、葛藤やらもがきのようなモヤモヤを昇華するような印象に残るメロディと歌詞。このタイトルもいいよなー。ワードセンスあるな。王道のPOPSのようで、たまにポストロック的な変則的なフレーズがあったりと新世代感が溢れとる。とにかく言葉の一つ一つは印象に残る、後引く感じがたまらない。大きいドラマのタイアップでも入れば、一瞬で大化けしそうな気がしてるけど、どうなるかこれから楽しみやな。あいみょんもいいけど、俺はこっちやなー。「黒いシャツが揺れてる、なびく風も含めてよく似合ってるね」そんなこと言う奴聞いたことないわ!とそのセリフこそが大人ごっこなんやね。深いい歌詞である。


iri / For life

今年は例年以上に邦楽を結構聴いた気がする。ここ最近で洋楽7:邦楽3ぐらいの割合が、洋楽6:邦楽4ぐらいにはなったな。あまり変わらん気もするが、この1つ変わるのはかなり違う。以前ならどうしてもクオリティーの差で洋楽を選んでいた。レベルが上がっているのは確かかもしれんが、日本の音楽っていうジャンルが前より固まりつつある。音楽の中の1つのジャンルとして確立された気がするねんな。意味もなく英語で歌ったり、洋楽の真似ごとするアーティストが減ってきた。日本の良さを取り入れるスキルがようやくここ5年ぐらいで生まれた感じがする。と段々邦楽を聴く頻度が増えた理由がわかってきた。
その中で面白い新人R&Bシンガーがランクイン。当然ジャンル的に英語は必須で、アメリカで生活した経験も活かしたネイティブな発音が素晴らしい。それだけやと、数多のアーティストに埋もれて、当然俺のベスト10にも入らん。(この人からしたら全く嬉しないけど)特徴なのは、伸びやかな低音ボイス。それでもって、この声ならではの独特なグルーヴ感が生まれる。たまらなく浸れる。サウンドの良さも光るけど、夜のドライブで聴くと気持ち良さそうなトリップ感。BPM遅めでしっかりした4つ打ちのリズムがなんとも心地いい。あとサビにしっかりした日本語詞を持ってくるのも印象的。「二度と見ることのない夢を見たくて」ここだけはハッキリと聴こえて妙にフレーズが残る。聴けば聴くほど、楽曲としてかなりいい仕事をしているのがわかる。あと残念ながらベスト10入りにはならんかったけど、RIRIという同ジャンルのシンガーもなかなかいい。Japanese R&B界の若手いいのが出てきたな。


XXXTENTACION / Moonlight

まず何て読むかわからんのはさておき、この人はケンドリックラマーも賞賛した新人ラッパーである。で残念ながら若干20歳で銃殺されてしまう悲しきお人である。アメリカのHIPHOP界ってのは本当に物騒な世界。実際に東西抗争みたいな仁義なき戦い的な歴史で、2パックやノートリアスB.I.Gなど実際に命を落とす闇の時代もあった。今はさすがにそんな時代ではないが、相変わらずの銃社会であることは確か。ただそういうニュースがあって聴いてみたのは事実で、死んで名を広めるって皮肉なことだ。この見た目だけではきっとメジャー路線の想像できるような音やと決めつけて視聴するに至ってないかもしれん。ただこういうのも音楽を知る上でも一種の縁である。ここでやっと読み方の紹介をする。名はエックス・エックス・エックステンタシオン。字面で覚えるタイプとしておこう。
そんなキッカケがあり、ひとまずYouTubeで聴いてみた。ちょうど今回紹介するこの楽曲。まずイントロの歪んだエレクトロなトラックにHIPHOPにない違和感を覚える。ド派手な低音ベースもない、とても内相的でひ弱さすら感じるラップ?ライム?とにかく見た目の派手さとは相反するサウンドにちょっとビックリ。なんとなく雰囲気としてはWeezerのボーカルがラップしたような泣きのHIPHOP。意外と今までにないカテゴリやし、1つのトラックとして聴き流れていかない楽曲クオリティーに気になるアーティスト入りへ。結果的にこの曲が入ったアルバムは全米1位になったらしいが、これからまだまだ爪痕残しそうな存在やっただけに残念。最初で最期のベスト10入りになるけど、語り継がれていきそうな貴重なアーティストの一人に名を連ねるのでしょう。


Eminem Feat. Ed Sheeran / River

カムバック、エミネム。一時期は引退するんではとか囁かれてたけど、4年ぶりのアルバムやからシャーデー、ディアンジェロとかのやる気ない組に比べたら普通のスパンやし、むしろ早いぐらい。(この後も半年後ぐらいに新作出してるし)調べたところ、エミネムは今までの作品を2億2000万枚ぐらい売り上げているみたい。なんでこんなに愛されるんやろーか。白人のラッパーという珍しさぐらいはあるけど、昔はHIPHOP界に限らず色んなアーティストにコラボられたり、iPodのCMタイアップはかっこよすぎたし、映画「8マイル」もつい見てしまったな。なんだかんだと、いつの間にどこか貧弱な皮肉めいた白人ラッパーから、着実に「エミネム」という骨太な男にイメージアップを成功させておる。色んなターニングポイントはあったと思うけど、意外と地道にコツコツやってきた野郎なんやと。なかなか個性を出しにくいHIPHOPというジャンルにおいて、彼は独自のスタイルを確立したところに拍手を送るわ。自分の中では下火になっているHIPHOP界で、やはり重要な存在やし、いなくなったらちょっとつまらなさを覚える気がする。
と、エミネムに対する思いを個人的に書いたところで今回のランクイン曲。まずあの優等生シンガーソングライターのエドシーランとコラボ?という驚きが一番。どちらかいうとディスり候補に上がりそうな人との共演。大人になったな..というか認めるほど才能はあると感じたんかは知らんが、このワルとおぼっちゃまの違和感がいいトラック。淡々とHIPHOPに寄せたエドシーランのボーカルもいいが、絡みつくラップもさすがの風格。ビヨンセとのコラボ曲が話題になったので、そこまで話題性が低いのは残念。アコースティックでどこか土臭いトラックで派手さはないけど、名曲STANのようなじんわりくるナンバー。


Estelle Feat. Luke James / So Easy

アルバムのタイトルにまずは衝撃を受けた。「Lovers Rock」。音楽好きならスルーできないSadeの超名盤のアルバムタイトルを持ってきたのである。まさかたまたまよ...とは言わせないよ。おそらくあえてだとは思っているがなんとも大胆な。日本で置き換えると、新人バンドが臆することなく、今度の新曲は「ウルトラソウル」、「ガッツだぜ!」とか言うようなもん。いやいや空気読んで、、と(ちょっと誇張してるけど)その大胆な心意気から俄然まずは聴きなくなるモードになったのは確か。ただ、アルバム自体はそれに負けないクオリティがあったので一安心。この人は昔から知ってたけど、ここまでスウィートなレゲエづくしのアルバムを作ってくるのは驚いたな。まだどうしても暑苦しさを連想するレゲエは好んで聴けんが、それこそSadeのようにリラクゼーション重視の甘い感じは好きな方。中でも力の抜き加減が絶妙なこの楽曲をチョイス。フューチャーされたLuke Jamesさんもいい塩梅(この人知らんけど)。目をつぶるとリゾート感のある南国の風景が自然と映し出されるような心地よいサウンド。まず邦楽アーティストには出せない音やな。日本にいながら異国を感じることができるのが洋楽というジャンルのいいところであり、やめられない理由の一つ。まあ一番いいのは現地で実際の景色も味わいながらーのがいいに決まってるのだがな。


WILYWNKA / Wake Up

ジャパニーズヒップホップは基本的には好きになれない。特に変に悪ぶっているスタンスだとか、無理にアメリカに影響され、ガチで人種差別や貧困、ドラッグを題材にしたりするところがどうも受け入れられないでいる。そういうバックボーンは根本的に日本に合わないし、本来自由であるスタイルなのに無理矢理そのスタイルにはめていってる気がして違和感、聴き心地の悪さにつながっているような感じがする。あと根本的に日本語の言語リズムとラップがあまり噛み合わないというか、トラックにはのせにく言葉なんじゃないかと...どちらかというと音をメインに音楽を楽しむ者としては、そう感じる次第。いきなり愚痴から始まってもしゃあないが、今までのベスト10に入ってこないジャンルであるのは、そういった理由がある。
今回珍しくランクインしたウィリーウォンカには、そんな違和感をまず感じないJ-POPらしいトラックとラップがあるように聴こえたかな。見た目は少々悪そうやし、実際にドラッグに手を出して少年院に入ったリアルな闇もあるみたいなんやけど、悪さをみせる感じはあまり楽曲にはない(多少はあるけど)。何より懐かしい感じもするメロディの印象的なループのおかげで、ラップもすんなり入って心地よい。インテリなワードを並べるわけでもなく、等身大のリアルな感情をちらつかせた日本人らしいヒップホップってこういう楽曲かと。長年のモヤモヤにようやく回答してくれたような気がした。


Cosmo Sheldrake / Come Along

この人の音楽は何て説明すればいいのか。民族音楽、クラシック的な要素もある、サウンド自体が音楽の世界紀行を楽しんでいるような、そんな旅人的な感覚の音楽家コスモシェルドレイク。ネットで調べると天才サウンドコレクターやら、フィールドレコーディング(外で環境や自然界の音を録音)好きだとか、彼にとっては音楽作る=旅や散歩の延長線上にあるような、独特なリズムとサウンドの応酬。パッと聴いて今までにないオリジナリティ、自由度を感じられたのでアルバム購入。中でも曲自体が1本の物語のように展開するこの曲をチョイス。しばらく経ってから、たまたまAppleのCM曲にも選ばれてたし、よりお気に入り度も上昇。(CMの映像ともどハマりしとる)あと先に目をつけた感も出しておく。日本ではくるり主催のフェスで呼ばれて、ちょっと知名度が上がったようで、先にボーカルのメガネさんに目はつけられていたのは残念。
この曲を聴いてると、やっぱり音楽はオリジナリティ命ってこと。こんな人が突如出てくるから音楽は面白いって思えるで賞をあげたい。バンドの編成が通常のギター、ベース、ドラムではないことは明らかで、どんなライブをしよるかとても気になる人である。


Pale Waves / Eighteen

時代錯誤なゴスちっくなルックス。見た目は残念ながら好きなれません。ただこのルックスを知ったのは曲を聴いてからで、このギャップも気になってしまうポイントの1つなのかね。きゃりーぱみゅぱみゅがデスボイスだったら嫌でも注目してしまうやろ。と、別に見た目はどうでもいいんやけど。楽曲は見た目とかけ離れた澄んだキュートな歌声、ポップでメロディアスなめちゃくちゃ耳に優しいロック。
フレッシュな若々しさもありつつ、どこか懐かしい80年代風も感じるシンセとキラキラなギターが安心して聴ける。歌詞にTIME AFTER TIME〜とシンディローパーの有名曲タイトルもさりげに出てくるあたり好きなはず。この曲はFM802でやたらとプッシュされてて、気になったパターン。Aメロの“ため”からサビへの切り替わりが気持ちいい。CMに使われそうな作り方やな。これぞポップなロックの教科書的ナンバー。


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