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『兵庫自己愛事件(パワハラ編)』

ある自己愛性人格障害者の事件簿(パワハラ編)

1.はじめに

[労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 | e-Gov 法令検索]

労働施策総合推進法の正式名称は、”労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 ”と言います。長過ぎる名称なので、”労働施策総合推進法”との略称が広く世に知られているとも言えます。この法律の「第九章 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」が、俗にパワハラ防止法とも呼ばれているのです。パワー・ハラスメント(パワハラ)は、今日では広く普及した用語になっていますが、基本的な理解を欠いた使われ方が、されているように思う。兵庫県庁もしかりで、全く理解が足りないとしか思えない。本稿は、兵庫自己愛事件をパワハラを切り口にして解明を試みた記録である。本稿執筆時点で、兵庫県庁の混乱は猖獗を極め、収束の糸口すら見えない。本稿が兵庫県庁正常化の一助になることを願う。

2.パワハラ防止法

事業主は、パワハラ防止措置の義務がある

以下、引用させていただくが、これまた長すぎるので、”事業主は、パワハラ防止措置の義務がある”と理解されたい。今度は短すぎて、「ちょっと何言ってるかわからない」ので、原点に立ち返って理解を深めていただく他ありません。”職場”というが職場に限らず「優越的言動問題」は、どこにでも潜在しています。例えば夫婦間、客と売り子、政党の会合など、どこにでも有る。ただ法律で扱うのが難しいから、踏み込んでいない。いずれにせよ、言葉の上っ面に囚われず、何度も読み返して、法の精神を汲み取る努力が必要と思う。とはいいながら難解なことも事実で、そこは別途専門家の解説に頼って欲しい。本稿では、「ある言動がパワハラに該当するかしないか」を断定することは、ほぼ不可能とだけ理解されれば十分かとも思う。パワハラ防止法によればパワハラの条件として”優越的な関係を背景とした言動”、”業務上必要かつ相当な範囲を超えた”、”労働者の就業環境が害されること”の3条件が示されている。3条件とも成立しなければパワハラではないという事だ。第一の条件は、認定可能な環境条件ではあるが、第二、第三の条件は必ずしもそうではない。第二の条件は”する側”よりの条件だが、”超えた”かどうかの認定が難しい。第三の条件は、”される側”よりの条件だが、これも”害された”かどうかの認定が難しい。第三の条件の意味は、上司のパワハラによって睡眠不足に陥り、就業に支障を来たしてしまったということだが、それを認定することは容易でない。おそらく”される側”の職種・個性・職務内容によっても認定結果は変わってくる。つまりパワハラ防止法は、パワハラ判定の目安を提示したが、現実にパワハラかどうか後から判定することは、ほぼ不可能だということなのだ。すなわち、起きてしまってからでは遅いのだ。パワハラ防止措置を事前に講じることで、パワハラが発生する事を防ごう、パワハラが深刻化する事を防ごうという考え方がパワハラ防止法の思想だ。

<引用開始>
(雇用管理上の措置等)
第三十条の二事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
5厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6前二項の規定は、指針の変更について準用する。
(国、事業主及び労働者の責務)
第三十条の三国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
3事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
(紛争の解決の促進に関する特例)
第三十条の四第三十条の二第一項及び第二項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第三十条の八までに定めるところによる。
(紛争の解決の援助)
第三十条の五都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。
(調停の委任)
第三十条の六都道府県労働局長は、第三十条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
2第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
(調停)
第三十条の七雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の六第一項」と、同法第二十条中「事業場」とあるのは「事業所」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十条の四」と読み替えるものとする。
(厚生労働省令への委任)
第三十条の八前二条に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
<引用終了>

3.パワハラと自己愛性人格障害

[パワハラ、ナルシスト上司に傷つけられた #自己愛性人格障害 #反社会性人格障害  #早稲田メンタルクリニック #精神科医 #益田裕介 / The narcissistic boss - YouTube]

前章でパワハラについて法的な視点でアプローチを試みたが、それだけでは十分ではない。心理学・精神医学の視点からもアプローチを試みる必要がある。パワハラをする人が、必ずしも自己愛性人格障害ではないし、自己愛性人格障害者は必ずパワハラをするというものでもない。しかしパワハラと自己愛性人格障害には密接な関係があることがわかっている。自己愛性人格障害は、自分に優位性があると思い込む精神疾患である。だから自己愛性人格障害者は、適性・能力に関係なく、優位性がある立場、職種に就任したがる。例えば政治家・経営者といった立場だ。知事は政治家と経営者を兼ねる立場だ。そういう職につくことが、自己愛性人格障害者にとっては自己実現なのだ。しかし政治家・経営者は誰もが適性・能力を持つ訳ではないし、持っていても容易になれるものでもない。だから自己愛性人格障害者は、自己実現できた自己愛性人格障害者と自己実現できなかった自己愛性人格障害者に大きく分かれる。より悲惨なのは適性・能力がないのに自己愛パワーだけで、政治家・経営者になってしまった自己愛性人格障害者だ。手にした権力をすべて自己愛に注ぎ込むので、目も当てられない悲惨なことになる。また自己愛性人格障害は共感力が無い。共感力がないから蓄積された部下の不満にも気づかない。また適性・能力が不足するとパワハラを起こしやすくなる。部下に無意味かつ高水準の要求をする。さらに記憶を改竄し、嘘を平気でつく。いくら追及しても決して自己の非を認めない。思うようにならないと自己愛憤怒を起こす。想像を絶する問題児が自己愛性人格障害者なのだ。以上で示したようにパワハラと自己愛性人格障害には密接な関係がある。兵庫県庁で起きた事は、こういうことなのだ。

4.関西テレビ「newsランナー」 2024年5月7日放送

パワハラ、おねだり…『知事の疑惑』告発した県幹部職員に“停職3カ月” 「うそ八百、公務員失格」と知事は反論 兵庫県

https://www.fnn.jp/articles/-/695823

5月7日 懲戒処分 を待ってましたと言わんばかりに、関西テレビは、以下の論旨で兵庫県知事問題を報じた。

<引用開始>
■「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」などと題する告発文が配られる
■「うそ八百含めて文書を作って流す行為は公務員失格」と知事は反論したが…
■兵庫県「公益通報」制度の通報窓口は県庁 第三者性もった窓口が必要との声も
■通報しやすく、精査できる仕組み作りが重要か
<引用終了>

どこにも虚偽も偏向もなく、妥当な問題提起と評価すべきかもしれないが、結果的に人事問題が文書問題で上書き保存され、狂気人事の無法性が見落とされてしまった感がある。兵庫県知事の異常性の認識が無かった事は惜しまれるとの筆者の所見は結果論だろうか。

5.告発文書

齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/shingi/documents/bunshoshiryou060719.pdf

リンク先の【HP記者用】議事順序(第3回)060719⑤に添付された2頁~5頁(4枚の文書)が、いわゆる告発文書であり、文書問題として議会が文書問題調査特別委員会を設置して真相究明に取り組むことになるのである。表題からして、文書の目的は不明で、知事批判文書とも告発文書とも退職記念文集とも解釈が可能な気がする。大変な労作だと思える反面、いまいち整理がついていない印象もある。違法行為と銘打ちながら、どの法律・条例・内部規程・ガイドラインにどのように違反しているかわかりにくい。部分的には、公職選挙法違反、地方公務員法違反は、示されているものの。パット見で浮かぶ疑問は、兵庫県庁には稟議書・起案書・上申書・提案書などの概念すらなく、内部規程・ガイドラインすら整備されていたとは思えないという事。人事委員会が機能していたとも思えないし、パワハラ防止措置が存在したとも思えない。全てが自己愛的情実主義で躍動するミラクルワールド。あな恐ろしや。文書問題というが兵庫県庁には文書が存在するのか?事実確認が大事だというけれど、そもそも追跡可能性は確保されているのか?兵庫県議会が県庁正常化に取り組むのは、当然だが、どこから手を付けたものか。難航が容易に予想できる。

<引用開始>
①五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯
②知事選挙に際しての違法行為
③選挙投票依頼行脚
④贈答品の山
⑤政治資金パーティ関係
⑥優勝パレードの陰で
⑦パワーハラスメント
<引用終了>


6.文書問題

本稿では、いわゆる告発文書の内容に囚われず、文書の内部問題と外部問題と分けて、より広い視点で問題を提起したい。およそいかなる文書も作成者の属性の影響を免れない。同様に読者の属性の影響を免れない。小学生が作成すれば小学生なりの文書にしかならないし、小学生が読めば小学生なりの受け取られ方しかされないということだ。したがって前者を内部問題、後者を外部問題として、考察を深めておきたい。文章の上っ面に囚われるのは思考停止ではないのかという問題提起をしたい。

内部問題

私が見る所、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題する、いわゆる告発文書は、法律・条例・内規に沿っていない。すなわち何を論拠として告発しようとしているのかがわからない文書なのだ。別に告発者を批判するつもりはないが、違法行為というなら、何が、どの法律・条例・内部規程・ガイドラインに反しているという論理にしないと告発にならず単なる悪口になってしまうではないか。そもそも兵庫県庁には、法律・条例・内規など存在しないのではないか。兵庫県庁は万事、酋長の口頭指導に従うだけの原始的部族ではないか。長年、そうした部族社会で暮らせば、法律・条例・内規に関する理解が不足するのは、当たり前ではないか。いや、それは兵庫県庁に限ったことでもない。その後の推移によって、それは国民・政治家・弁護士・議員・報道機関・有識者・インフルエンサー・・・日本全国、どの断面を切り取った所で大した違いのない性質であるということもわかってくる。日本人は金太郎飴かチーズ蒲鉾なのだ。日本は先進国ではあるが、同時に後進国でもあるというのが筆者の基本認識だ。改めて考えてみると、いわゆる告発文書が人事当局に知事批判文書と受け止められ、酋長に対する批判は許さんと告発者が誅殺されてしまった事件を理解できる。私は、それが正当な扱いだと評価しているのではなく、文書の内部問題が不当な扱いを招いた原因なのだと指摘しているだけだ。告発するのであれば兵庫県庁は酋長の口頭指導に従うだけの原始的部族で良いのかと問題提起すべきだった。つまり、県議会に対して、遵法精神や条例・内規の整備状況を問い質させる方向で働きかけるしかなかったのだ。しかし長年、兵庫県庁の毒に侵されきった告発者には無理な注文だろう。告発によって問題解決を図ろうとした発想に無理があったとも言えるのだ。リットン調査団によるリットン報告書で解決できただろうか。日本が国際連盟を脱退してしまったことを考えると日本人には無理かもしれない。また告発者が心理学・精神医学の理解が不足していたことも指摘しておきたい。だから告発者は、知事が自己愛性人格障害者である事に気が付かなかった。自己愛性人格障害者に悪行を指摘したところで自己愛性人格障害者に自分の非を認めさせることは容易ではない。そういう精神疾患なのだ。以上、考察した2つの内部問題によって、いわゆる告発文書は真相究明を難航させる要因を内在させていた。

外部問題

4章で報じられた通り、いわゆる告発文書は、公益通報者保護法が2号通報、3号通報の通報先と認めている一部の報道機関や県議会議員などに配られた。しかしどちらも洞察力が不足していた。法律・心理学・精神医学に関する知識・理解が足りなかった。したがって、いわゆる告発文書が「兵庫県庁には、法律・条例・内規など存在しない。兵庫県庁は万事、酋長の口頭指導に従うだけの原始的部族である」事を示唆していることにも考えが及ばなかったのだ。やはり一部の報道機関や県議会議員も原始的部族社会の毒に侵されきっていたのだろうか。また公益通報者保護法は、通報者保護は定めていても、公益通報の取扱を定めたものではなく、通報先に通報者保護以外の事は何も要求していない事も指摘しておきたい。ついでに言えば公益通報者保護法は、通報者を保護すると謳いながら、其実通報者を保護することはなく、組織を保護するための詐欺法なのだ。巧妙に通報者を、おびき出して粛清する為の法律なのだ。こういう建付けの法律は他にもあるが、本稿では触れない。こうした公益通報者保護法の欺瞞性に気づかなかったことが悲惨な結果を招いた原因なのだ。以上、考察した外部問題によっても、いわゆる告発文書は期待される成果を挙げなかった。

7.兵庫県議会 6月定例会

5月7日に報じられた異常人事と、その後の騒動を受けて、県議会は6月定例会で取り上げる動きが出てきた。しかしながら、ここで問題定義を誤ったと指摘せざるを得ない。パワハラについて指摘すれば、文書で示された事案の事実確認でなく、パワハラ防止法が要求するパワハラ防止措置を追及すべきではなかったかという事だ。

<引用開始>

令和 6年 6月第367回定例会 No.83 北上あきひと議員

 ひょうご県民連合議員団、北上あきひとです。
 通告に基づき、会派を代表して質問をさせていただきます。
 県民に信頼される県政構築に向けて。
 本年3月末以降、県民の県政への信頼は大きく揺らぎ、また県職員に動揺が広がるとともに士気の低下が危惧されているところです。
 県政への不信を払拭するために、まず重要なことは知事の誠実な政治姿勢ではないでしょうか。
 知事が疑惑に対してご自身の言葉で説明を果たされ、厳しい質問や批判にも真正面から向き合う姿勢こそが求められていると考えます。
 私たちひょうご県民連合議員団は、県民本位の立場で議員の使命を果たし、透明性のある公正な県政の実現を全力で追求することによって、県民の負託に応える決意であることを改めて表明し、質問に入ります。
 前西播磨県民局長による告発文書に係る知事記者会見について。
 齋藤知事は本年3月27日の記者会見において、前西播磨県民局長による知事や県幹部を批判する内容を含む文書を巡り、事実無根の内容が多々含まれている内容の文書を職務中に職場のパソコンを使って作成した可能性があり、本人も作成と一定の流布を認めているとし、予定されていた退職を一旦留保し、県民局長の職を解いたことを発表されました。
 加えて、公務員としては失格であり、懲戒処分を行うことになると考えていると発言されたのです。
 当該事案に、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授は、文書の内容がうそ八百ではなく真実相当性がそれなりにあるならば、報道機関への送付も公益通報に該当し、文書を作成した県幹部職員に対する報復的処遇が違法性を帯びる可能性があると指摘されています。
 前県民局長は知事記者会見の後、ありもしないことをるる並べた内容を作ったことを本人も認めているという知事の発言があったが、私自身がそのことを認めた事実は一切なく、告発文はできるだけ事実に基づいて書いたつもりと文書で反論され、4月4日には、県の公益通報制度に正式に通報されました。
 前県民局長は公益通報者保護法に基づき不利益な扱いから保護されるべき対象者に該当する蓋然性があります。
 これらの事柄に鑑みて、公務員失格、事実無根、うそ八百、告訴等のご発言は不穏当であり、県民や職員に不信、おぞけを与えている要因の一つだと考えます。よってご発言の撤回を含む善処を求めますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 残余の項目は質問席で行います。

<引用終了>

北上あきひと議員の質問についての解説

北上議員は、3月の前県民局長に対する人事処分が公益通報者保護法違反であり、知事が不穏当な発言で前県民局長を罵倒したことが、県政への不信を招いたといった認識を示した。しかしながら、逆に言えば退職日4日前にして前県民局長を狙い撃ちにするような人事制度変更を強行し、退職を取り消し、脅迫的監視体制の元に前県民局長の身柄を確保するといった狂気人事の無法性についての本質的認識が無かった事を示したとも言えるのである。3月27日 知事定例記者会見を聞いただけでは、そこまでは理解できなかったかもしれないし、文字起こしした文章を何回読み返してもそうだったかも知れない。例えばの話、公金横領の疑惑があるからと言って、退職日4日前に退職を取り消して、容疑を後日調査で事実確認しようといった人事処分が、この世に存在するだろうか。それはどんな法律・条例・内規に依拠した処置なのだろうか。兵庫県庁の人事は、すべて斎藤元彦の気分次第の匙加減で決まるのか。その責を北上議員に帰すことは酷かもしれないが、県政への不信を招いたのは、そういった疑問を招いたからではなかったか。つまり狂気人事の問題は、公益通報者保護法にも文書問題にも無関係な無法性にあるのだ。告発文書を作成した前県民局長が公益通報者保護法に一縷の望みを賭けたのは事実だ。しかし、それに目を奪われて、本質を見誤ったのではないか。つまり問題定義を誤ったのではないか。これは何回でも繰り返し指摘しなければならない。

<引用開始>

令和 6年 6月第367回定例会 No.117 知事(齋藤元彦)

お答えします。
 まず、東播磨県民局に関しましては、注意をしたということは認めましたけれども、何に対して注意したかということは、私は段取りについてということを言っていますので、議員ご指摘の何か歩かされたことに対してとは認めてはないので、そこはちょっと申し添えておきます。
 ご質問の点です。
 報道の自由は憲法により保障される表現の自由に含まれ、報道のための取材の自由も憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値すること、また、報道関係者の情報源の秘匿についても十分配慮する必要があることは承知しております。
 今回の事案におきまして、人事当局は元西播磨県民局長について懲戒事由に該当するかを判断するに当たり、調査の信頼性を確保するため、文書を複数の報道機関に配布した事実を確認しようとしたものであるというふうに伺っております。
 報道の自由を侵す意図は一切なく、単なる事実確認の手続の一環として行ったものであるし、問合せの対応も文書を受領したかどうかについての任意の回答を求めたものであり、回答を強要するものではなかったということなので、報道の自由や取材源の秘匿権を侵害するものではないというふうに考えています。
 ただ、いずれにしましても報道関係者の皆様にとっての報道の自由、そして情報源の秘匿については十分配慮する必要があるというふうに考えています。

<引用終了>

知事(齋藤元彦)答弁についての解説

何を回答しているか、わからない回答で解説しようもないのだが、質問者の認識の誤謬、追及の甘さに乗じて、やすやすと問題をすり替えて逃げ切った印象である。そもそも誰も認識していなかったのかもしれないが、狂気人事の無法性が一度もスポットライトを浴びることなく、誤誘導された問題定義のまま、議論は進んでいくことになる。百条委員会を含めても。

8.文書問題調査特別委員会(1)

[兵庫県議会が51年ぶり百条委設置へ 知事らを内部告発した文書巡り [兵庫県]:朝日新聞デジタル]

6月13日、埒が明かないと判断した兵庫県議会は、文書問題調査特別委員会設置動議を(51年ぶりの百条委員会)を賛成多数で可決する。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/shingi/documents/siryou.pdf

6月14日 初会合

<引用開始>
1 委 員 長 ・ 副 委 員 長 の 互 選 に つ い て
2 委 員 会 の 運 営 に つ い て
3 そ の 他
<引用終了>

経費は、500 万円以内?「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」の予算編成時に、補助金を1億円から4億円に増額した気前の良さを思えば、少なすぎませんか?

6月27日 第2回

<引用開始>
1 諸 報 告
2 証 人 尋 問 及 び 資 料 要 求 の 手 続 き に つ い て
3 今 後 の ス ケ ジ ュ ー ル に つ い て
4 資 料 提 出 及 び 証 人 出 頭 の 要 求 に つ い て
5 職 員 ア ン ケ ー ト の 実 施 に つ い て
6 知 事 へ の 申 し 入 れ に つ い て
7 そ の 他
<引用終了>

リンク先の最終頁「人事委員会への不服申立てを行っていない理由について」にて、元県民局長が異常人事に不服申立てをしなかった謎の答えが明かされていることに注目願いたい。要は、人事課の後輩たちを訴える事ができなかったということだ。しかし、情に負けて異常人事の無法性を隠蔽してしまった事は、最悪の結果を招いた。これは筆者の想像力を超えていた。「脅迫的監視下に置かれていた」との筆者の推理は、もしかすると間違いかも知れないが、筆者の推理を否定する証言にもなっていない事を付記しておきたい。いずれにせよ、元県民局長の「兵庫県庁を、より良くしたい」との思いは、結果的に満願成就を遠ざけてしまった。現実は小説より奇なり。この物語は、裏目に出る、逆手に取られる、想定外の事が起きるといったことが多すぎる。その背景に温情文化があったのだ。ここに来て、ようやく筆者にも物語のテーマが見えてきた。まだ百条委員会は、準備段階の域を出ていないのだが、衝撃の異変が、突如として起こるのだ。


9.衝撃の元県民局長の自死


[兵庫県知事のパワーハラスメント疑惑、内部告発し百条委員会へ出頭予定だった県職員が死亡 : 読売新聞]

あろうことか文書問題調査特別委員会第3回招致が予定されていた元県民局長が、その直前に亡くなってしまったのだ。言うまでもなく衝撃の異変、大打撃だ。この異変を知って、世情は様々な憶測が飛び交い百家争鳴の様。ここでは、珍説をいちいち紹介するつもりはない。私は、元県民局長は自死をもって、「人事課の後輩たちを訴える事ができなかった」思いは、もういいから、文書問題調査特別委員会は軌道修正してくれと伝えようとしたのではないかと考えているのだ。「それならそう、電話で伝えれば済む話で、死ぬ必要など無かったでしょ」との批判は、わかりきっているが、元県民局長には、そうできなかった事情があり、それも察してほしいと伝えようとしたのだ。このダイイング・メッセージの解読は高難度で、私もこうだと断言できる程の確信はないけれど。

10.文書問題調査特別委員会(2)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/shingi/documents/bunshoshiryou060719.pdf

7月19日 第3回

<引用開始>
1 諸 報 告
2 提 出 資 料 に つ い て
3 資 料 配 布 等 の 申 し 出 の 取 扱 い に つ い て
4 法 的 ア ド バ イ ザ ー の 選 任 に つ い て
5 職 員 ア ン ケ ー ト の 実 施 に つ い て
6 証 人 尋 問 の 取 扱 い に つ い て
7 今 後 の ス ケ ジ ュ ー ル に つ い て
8 資 料 提 出 の 要 求 に つ い て
9 そ の 他
<引用終了>
元県民局長の自死を受けて、見直し・再準備。

8月2日 第4回

<引用開始>
1 諸 報 告
2 証 人 尋 問 の 進 め 方 に つ い て
3 資 料 提 出 の 要 求 に つ い て
4 証 人 出 頭 の 要 求 に つ い て
5 次 回 委 員 会 の 進 め 方 に つ い て
6 そ の 他
<引用終了>
元県民局長の自死を受けて、見直し・再準備。

8月23日 第5回

<引用開始>
1 資 料 提 出 の 要 求 に つ い て
2 ア ン ケ ー ト 調 査 の 中 間 報 告 に つ い て
3 第 7 回 (9/5)及 び 第 8 回 (9/6)の 委 員 会 の 証 人 尋 問 項 目 に つ い て
4 第 6 回 委 員 会 (8/30)の 進 め 方 に つ い て
5 本 日 の 証 人 尋 問 の 進 め 方 に つ い て
6 証 人 尋 問 に つ い て
7 そ の 他
<引用終了>
「微に入り細を穿つ」が過ぎて、反って本陣から遠ざかっている印象。

8月30日 第6回

<引用開始>
1 資 料 提 出 の 要 求 に つ い て
2 証 人 出 頭 の 要 求 及 び 参 考 人 招 致 に つ い て
3 本 日 の 証 人 尋 問 の 進 め 方 に つ い て
4 証 人 尋 問
5 そ の 他
<引用終了>
公益通報者保護法。

9月5日 第7回

<引用開始>
1 証 人 の 不 出 頭 に つ い て
2 本 日 の 証 人 尋 問 の 進 め 方 に つ い て
3 参 考 人 招 致
4 証 人 尋 問
5 そ の 他
<引用終了>
そろそろ公益通報者保護法、百条委員会の限界が見えてきたのではあるまいか。

9月6日 第8回

<引用開始>
1 発 言 訂 正 の 申 出 に つ い て
2 本 日 の 証 人 尋 問 の 進 め 方 に つ い て
3 証 人 尋 問
4 参 考 人 招 致
5 証 人 尋 問
6 資 料 提 出 の 要 求 に つ い て
7 本 委 員 会 の 調 査 事 項 の 追 加 に つ い て
8 そ の 他
<引用終了>
公益通報者保護法

11.終わりに

以上、見てきたように兵庫県議会は、文書問題調査特別委員会を設置して兵庫県庁の正常化に向けて真相究明に乗り出した。告発文書に不十分だった追跡可能性を、職員アンケートで補充しようとしたのは好着想。異常極まりない兵庫県庁の実態を、より鮮明にできたとも思う。しかし残念ながら、法律・心理学・精神医学の理解が不足していた事は問題定義・目標設定の誤りの原因になった。また兵庫県を覆う情実主義の空気は、問題解決を困難にした。委員会を撹乱するノイズを排除できなかったことも残念。現代は百条委員会が機能しない時代なのだろうか。行き詰まり感を漂わせつつも、この辺で本稿を閉じたい。

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