少しの心掛けで楽になる歩行介助

 利用者を転倒させてはいけないと思うあまり、力み過ぎるということは歩行介助でよくあることです。しかし、力だけで歩行の手助けをすることはできません。二足歩行をする際の筋肉の動きや重心の移動がどのようになっているかを知れば、力が必要ないと分かるはずです。
 介助する側は人間の動作を正しく理解することで自身の身体への負担も減らすことができます。人が歩く際は重心が左右に移動し、踏み出した足へ重心が移動します。歩行の際は、常に体の前後、左右に動いているのです。そのため、転倒しないようにと利用者に必要以上に密着すると、その動きを妨げて余計に転倒のリスクが高まってしまいます。力だけでは介助はできないことを理解し、正しい歩行介助の方法を知ることが大事です。そして、前もって転倒のリスクを減らしておく準備も必要です。

 利用者の服装にも注意を払いましょう。裾の長いズボンは躓いて転倒の恐れがあります。履物はスリッパなどは避けるようにします。脱げたり、滑る可能性があります。外出の際はサイズがきっちりと合った、軽くて滑り止め加工がされている靴を選びます。室内では、靴下も滑りやすいので滑り止め加工されたものを選びましょう。
 他にも、歩行に邪魔になる障害物を片付けておくなど少しの心掛けで歩行介助は楽になります。そして、歩行介助は利用者のペースに合わせて行うことも必要です。力任せではない歩行介助を行うことが、利用者、介護者を守ることに繋がります。