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手作りのマルセイユ石鹼による石鹸ライフ

久しぶりに石鹸を作りました。
ここ数年、色々と忙しく、またそのせいで落ち着きもなかったので、石鹸作りを中断していました。

17、8年程前から朝食用のパンを作るようになったのとほぼ同時期に石鹸も作るようになりました。いずれも「最初の計量が大事」、「要所要所でやる事をやったら後は時間任せ」なキッチンワークであり、当時の私は「何だか共通する作業だなぁ」などと思ったものです。


石鹸作りには適する湿度や温度があり、日常のキッチンで作るとすれば秋から初冬が最適だといえます。温度が高い方が石鹸になって行く鹸化が進みやすいのですが、日本の夏は高い湿度も伴う為、私は年に2回、5月と11月頃に半年分づつ作ります。

私が作るのはコールドプロセスによるマルセイユ石鹸。以前に手作りスキンケアの記事にも書きましたが、前田京子氏の著書を何冊か読み、そのレシピに忠実に作っています。作り始めは右も左も分からず、色々な方の著書やブログなどを読みまくり、検索しまくりましたが、最もシンプルで実用向きでクオリティも申し分ない、彼女のマルセイユ石鹸に辿り着き定着しました。

石鹸メーカーに勤めたり工場見学をしたことはないので、この目でそのプロセスを見たわけではありませんが、一般に出回っている石鹸は釜炊き製法の物が多く、文字通り油を釜で炊き苛性ソーダの水溶液を投入、攪拌、熟成を経て作られます。

対してコールドプロセスは、やはりその名の通り釜炊きのような高温にはせず、間接的な加熱、つまり湯煎で約40℃にした油と同温度の苛性ソーダ水溶液で作ります。また、釜炊き製法では塩析によって石鹸と他の成分を分離させますが、コールドプロセスでは出来上がった石鹸に全てが含まれたままとなります。

このやり方では工場などでの大量生産は不可能で、人の手でボウルと泡だて器を使って作る他ありません。ちょっと手数ではありますが、私はこうして出来た石鹸がいたくお気に入りなのです。何がどう良くて、どう優れているといった専門知識はなくても、その優しい使い心地は実感でき、とにかく使っていて気持ちがいい。

石鹸作り

材料はオリーブオイル、パームオイル、ココナツオイル、苛性ソーダ、水、そして香り付けの精油(アロマオイル)です。
マルセイユ石鹼とは、材料で使うオリーブオイルの分量が全オイル量の72%である石鹸を言います。オリーブオイルだけで作ったオリーブ石鹸も上質な石鹸なのですが、パームオイル、ココナツオイルを幾分か入れた方が泡立ちも良く、溶けにくくなることから私はマルセイユ石鹸を好んで作っています。


使用する三つのオイルはどれも食用のものです。

約40℃の油と苛性ソーダ水溶液
少しずつ苛性ソーダ水を投入し
その後20分間かき回す
鹸化が始まりとろっとクリーム状に
型入れの前に精油で香り付け
今回はラベンダーとシダーウッド
牛乳パックで作った型に入れる
24時間保温
結構発熱します
型出し後カットし熟成
この状態で4週間すると
使えるように



石鹸ライフ

こうして出来たマルセイユ石鹸は、我が家ではお風呂場、洗面所、キッチン、トイレと、あらゆる所で使います。


お風呂場の石鹸
<三種の神器>軽石 クエン酸水 石鹸

髪も顔も体も、まさに頭からつま先まで石鹸で洗います。
子供の頃、一緒にお風呂に入る父はシャンプー剤、トリートメントは使わず、全身石鹸でいっぺんに洗っていました。私は「やだーっ」と言っていましたが、今では私もそれになりました。
石鹸使いにはちょっとしたコツがあり、髪や衣類、布巾など繊維質の物を洗った後、石鹸カスと呼ぶ白っぽい粉が付着します。汚い物ではないですが、無いにこしたことはないので、シャンプー後はクエン酸水をリンスとして使います。石鹸で洗った髪はキュッと軋む感じが有りますが、このリンスをするとたちまちスルッと滑らかになるのが分かります。


洗面所の石鹸
手を洗うのも顔を洗うのもこの石鹸


トイレの石鹸


キッチンの石鹸
布巾やちょっとした手洗いに使用

そして洗濯用にはコープで購入する粉石鹸を使っています。実は、以前キッチンの食器洗いにもその粉石鹸をお湯に溶かして使用していたのですが、現在は食洗器使用であることと、夫が洗い物をすることがあった為、作った石鹸は布巾洗いやちょっとした手洗いに。

先にも触れましたが、石鹸で洗う際にはちょっとしたコツが要ります。キッチンでの食器洗いのときは、すすぐ前、まだ泡が付いた状態で水を張った桶に入れたりすると汚れ分が再付着してしまうようなのです。合成の液体洗剤を使い慣れた方はすすぎの一端として水に浸けたり、掛けたりすることが多々あるかと思います。純石鹸を使った場合はすすぎをするまで下手に水が掛かったりしないよう注意する必要があります。



現在ではお風呂用洗剤、トイレ用洗剤、髪の為のシャンプー、ボディソープ、食器用洗剤、シンク用洗剤などなど、本当に多くの洗剤が存在します。日常の汚れはアルカリ性か酸性であり、界面活性剤は一種類であると考えるとこんなに多種多様の洗剤類が本当に必要なのだろうか、と思います。
石鹸ライフでは石鹸(固形と粉)、重曹、クエン酸が主で、出来ればセスキ炭酸ソーダを備えればほぼ全ての汚れ落としにおいて事足ります。合成洗剤は河川に流れ出てもなかなか分解されないのが、石鹸ならば1日で自然界に帰ります。

キッチンやバスルームに統一性のない数々の商品ラベルが並ばずに済みますし、使い心地も良い、おまけに自然に優しいとなると、私はこれからも石鹸ライフ一択です。




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