笑いの本質

とても深刻な状況なのに、「ふふ」って出てくる笑いがある。つい先日、ある女性の話しを聞いていると、「ふふ・・・・なんなんでしょうね」と薄笑いを浮かべながらうつむいた。

緩和ケア病棟でも、患者さんが自分の状況を話して、少しの沈黙の後に、薄笑いを浮かべながら「ふふ、もう あれなんですかね?」なんて言った人もいた。

深刻な状況に置かれた人から出る「笑い」とは何だろう。「笑い」という表現に含まれがちな「喜び」「楽しい」「愛」というポジティブな感情とは明らかに違う。でも笑う。

以前に、ある患者さんにフェースマークを並べて、「今のご気分は?」と問うたところ、笑いながら「泣いているフェースマーク」を指さしたこともあった。

仮説として考えられるのは、深刻な状況ではあるけれど、そこには感情に流されない「空間」があるのではないか。そして「笑い」には「あきらめ(Give up)」という要素も有るのかもしれない。

冒頭の女性は、姉の心の病と破天荒な人生、そして訪れた病と死を見届けてふり返った時に出た。それは「あきらめ」という要素が多いのかもしれない。

ただこの「あきらめ」は、ネガティブな「Give up」だけではなくて、その姉の人生が終わって明確になった「Clear」に近い気持ちも有るのかもしれない。悩んでいるという感じではなく、「もう いっかぁ~」という空気が漂っていた。

しかし、そこで「笑い」がでるのが不思議だ。これは人間の最も高尚な笑いかもしれない。そこには悪意は感じられない、むしろ健全な居心地の良さすらある。だとしたら、この「笑い」を生み出すエビデンスをたどれば、人は楽になれるのかもしれない。どなたか知りませんか? この「笑い」の正体を。

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