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麻雀90:勝負師【最強戦2024#9】

男の花道

最強戦ならではの豪華メンバーでの卓組で、予選卓から見どころ満載となった対局は、近藤誠一が優勝した。

A卓 団体代表対決

連盟会長 森山茂和
最高位戦代表 新津潔
協会代表 五十嵐毅
麻将連合元代表 井出洋介

これだけのメンツを同卓させて半荘一回勝負というんだから、贅沢極まりない。レジェンドの対局を見ていつも感じるのは、半荘一回でも濃密な見せ場を随所につくってくるあたりは、さすがとつくづく思う。

序盤は起家の五十嵐が親番でアガリを重ねてリードするものの、森山の七対子に放銃してから失速し、勢いを持って行かれた格好に。

今日は僕の日だと思ったんだけどな

インタビューで、悔しそうに語る姿が印象的だった。

勢いがついた森山がリードを拡げる中、井出が追いすがる展開で迎えた終盤。
ここまでリーチが空振り終わっていた新津が6000オールの大物手をアガリ、後方から一気に勝ち上がりポジションに立つ。
しかし、ラス親の井出が加点し、森山と同点でアガリ勝負の展開に。同点で終局した場合は座り順で上家の森山が勝ちという珍しい場面。結果、二人ともノーテンで、新津は悔しい敗退となった。

B卓 現役vs契約満了Mリーガー

こちらも今となっては最強戦でしか見られない好カード。
中でも、契約満了組の藤崎、近藤の両名が意地を見せた戦いとなった。

リーグ戦などではヤミテンで守備よりに戦うスタイルの藤崎だが、この日は立直主体の攻撃的な麻雀を見せた。
普段の藤崎を知り尽くしている対局者からすれば、いつも通りの待ち良し打点良しのリーチなのか、最強戦ルールに合わせた押さえ付けなのか、がわかりづらい攻めだったのではないか。また、普段はオリてそうな手でも無筋をバンバン切り飛ばすなど、忍者ならぬ荒武者・藤崎が見られたのは楽しかった。

決勝卓 勝負への姿勢

勝負どころとなったのは、このカン8sを先行リーチの森山から一発で討ち取った場面。
・親からの先行リーチがかかっていること
・決して自信がある待ちでもないこと
・点棒状況的にも僅かながらトップ目で放銃になれば親番がない中での逆転は厳しそう
など、守りに入ってもおかしくない。

この時。解説の白鳥も近藤と同じく悩ましそうに状況を整理していた最中、近藤がリーチを選択。直後に森山がアタリ牌の8sを掴み、歓声が上がる。
この一部始終を見た実況・日吉と白鳥のやりとりが勝負の難しさをが凝縮されていた。

白「いけないよ〜。日吉さん、いけます?」
日「ここで勝負に行けるかが最強位の分れ道なんだよな。(実況者として)こういう場面を見てきてるから、思考としてはありますよ。ありますけど、いけませんよ。」

勝負どころを制した近藤は、その後も気を抜くことなくウイニングランを走り切った。
道中はこめかみにゲンコツをぐりぐりと当てて、思考に深く沈む様子が現役Mリーガー時代を彷彿とさせてくれた。

年末の決定戦まで体調を整えて、勝負師の麻雀を見せてほしい。

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