麻雀59:日の出と落日【最強戦2023#10】
最強レジェンド決戦
レジェンド級のベテランプロが勢揃いした今回。決勝には、元サクラナイツ・沢崎誠、新Mリーガー・鈴木大介、元プロ野球選手・加藤哲郎、連盟会長・森山茂和と、大変豪華な卓組となった。
日の出の勢い・鈴木大介
今回、ファイナル進出を果たしたのは、鈴木大介。その麻雀は、大介にとってはいつも通りの平常運転といったところだろう。序盤から攻めるべき手をしっかりと攻め、点棒を持って有利なポジションに立った後も、攻めてを緩めず、勝ち切る姿勢。力でねじ伏せるような、剛腕麻雀。
もっとも、そんな鈴木大介を擁するビーストのチーム成績は芳しくない。何が起きるかわからないのが麻雀という競技。しかも、鈴木大介がやる麻雀は奇跡を自ら手繰り寄せるような魅力がある。先日見せた、8万点超のトップでは物足りない。黒沢のもつMリーグ記録を破ってこそ、鈴木大介の真骨頂。私がいうまでもなく、本人がもっとも強く意識していることだろう。
落日の沢崎か
ファイナリストの椅子を争い、大介とデッドヒートを繰り広げたのが沢崎。病気療養のためサクラナイツを退団してから、何となく覇気がなくなったように感じていたが、この日は気合いが入っていたようにみえた。
しかし、そんな沢崎も大介からのリーチが入った直後の勝負所でツモった牌が大介の当たり牌の3ピン。
この事象に沢崎の凋落を感じてしまった。
沢崎が全盛であれば、ここで当たり牌を掴むわけがない。この結果に、沢崎の凋落を感じてしまったのは私だけではないだろう。
もしかすると、この結果にもっとも堪えているのは沢崎本人ではないか。
しかし、引退するにはまだまだ早い。
長年、勝負の世界(ギャンブルとしての麻雀)に身を置くことで培われた、大局観、勝負感は現代の麻雀プロが絶対に到達し得ない境地であり、言語や理屈では表現できないもので、レジェンド沢崎にとって最強の武器である。これは飛び道具が飛び交う近代麻雀においても十分に通用するだろう。
これは、今回のレジェンド決戦に出場した、伊藤優孝や荒正義にもいえることだ。こうしたレジェンドたちが活躍してこそ、麻雀界の幅が広がるというものだ。なにより、近代麻雀に真っ向から立ち向かうレジェンドたちの麻雀は観ていて面白い。
そんなレジェンドたちの面白さ・強さを継承しているのが、鈴木大介のように思う。その意味で、さながら継承戦のような結果になったのは偶然とは思えない。
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