見出し画像

学歴はどれくらい重要?

高まる学歴への関心

皆さん、こんにちは。いつも通り自己紹介は省きますので、興味のある方は以下の記事を参照してください。

日本における10月から12月は、高校生たちが共通テストの追い込みをかけている時期になります。なにも大学受験に限った話ではなく、最近では高校受験に加えて中学受験も大きなトレンドとなっており、受験教育サポート事業の市場拡大や学歴を専門に扱うYoutuberの台頭などからも、学歴への関心の高まりを感じる今日この頃です。

今回の記事では、国内の学歴闘争から逸脱した仏大学生の僕が、学歴の有用性についてフランスと日本の状況を比較しつつ考えてみたいと思います。

フランスは日本以上の学歴社会

グランゼコール卒の無敵感

フランスには大学の他に、グランゼコールやグランテタブリスマンなどの特殊な教育機関が存在するということに関しては、以前の記事でお話した通りです。気になる方は以下よりチェックしてみてくださいね。

その中でも特に有名なグランゼコールの卒業生は労働市場における競争力が別格であり、彼らの平均的な社会人1年目年収は1,000万円ほどになります。この水準はフランスの物価や家賃などを考慮してもぶっ壊れており、日本の物価指数に合わせると年収700万程度に相当します。また、通常3年程度の試用期間を終えると彼らの平均年収は1,700万円(日本でいう1,200万円)を軽く突破するため、20代半ばにしてすでに富裕層一直線です。

日本最高学府たる東大卒業生であっても、平均年収は30歳になってようやく800万に届くかといったところ。こうしてみると、フランスの狂ったような学歴社会ぶりがよくわかると思います。

日本で学歴ってそんなに必要?

結論:実は意外と要らない(ほどほどには必要)

日本では東大を卒業してもグランゼコール生ほどの支配階級にはなり得ません。もっというと、東工大や一橋、早慶、旧帝大などの有名大学を卒業していれば、卒業後の年収の観点からすると東大卒とさほど大きな違いはない、、そんな事実もあります。実際にopenworkが2022年に公表した調査結果によると、卒業生の平均年収を比較した大学ランキングは以下の通りになっています。

  1. 東京大学(30歳761万円、50歳1,281万円)

  2. 一橋大学(30歳707万円、50歳1,269万円)

  3. 慶應義塾大学(30歳676万円、50歳1,072万円)

  4. 京都大学(30歳666万円、50歳1,139万円)

  5. 東京工業大学(30歳645万円、50歳1,075万円)

  6. 早稲田大学(30歳621万円、50歳1,016万円)

  7. 大阪大学(30歳612万円、50歳989万円)

  8. 東北大学(30歳604万円、50歳952万円)

  9. 防衛大学校(30歳603万円、50歳1,274万円)

  10. 神戸大学(30歳601万円、50歳1,046万円)

詳しくはこちらから元のサイトをご覧ください。学歴が日本社会で支配的な役割を果たしているのであれば、年齢が上がるにつれて年収の差はどんどんと開いていくはずです。しかし、上記の表では30歳時年収と50歳時年収でランキングに入れ替わりが見られること、ほとんどの大学において50歳時平均年収が1,000万を突破していることなどから、日本の社会は旧態依然の年功序列制であることが伺えます。トップとボトムの開きが30歳では160万円、50歳では329万円と2倍になっていることから学歴が全く意味を為さないとは言い切れませんが、その影響はかなり限定的だと結論付けられます。

ただし、今後は欧米流のジョブ型雇用が一般的になってくる可能性もあり、その場合は日本社会もフランス同様、学歴重視の実力社会に変化していくことが考えられます。したがって、なるべくレベルの高い大学に入っておくことは自身の将来可能性を広げる意味で重要だといえるでしょう。

学があると後々何かと便利なのは確かです

研究者キャリアの場合は非常に重要

研究者としてキャリアを進めようとする場合、学歴は非常に重要になります。有名な大学ほど研究環境が充実しているため、優秀な研究者のネットワークが出来上がっていることが多く、このネットワークに自身を接続することは研究者のキャリアを進める上で必要不可欠な工程です。特に日本では大学教員のポストに対して研究者の数が若干の飽和状態にあり、少子化の影響で今後も高等教育の需要が減退していくことを考慮すると、自分の専攻分野に強い有名大学を意図して狙っていく必要がありそうです。

まとめ

いかがでしたか。学歴社会は富めるものがより富み、飢えるものがさらに飢える社会です。経済的に余裕のある家庭は塾や家庭教師に課金したり、子供を私立の進学校に通わせたりすることができます。その結果お金持ちの子供ほど高学歴になりやすく、高学歴の人ほどお金を稼ぎやすいというループが完成し、社会の階層化が目に見える形で進行していきます。このうねりの象徴が今のアメリカであり、この動きを富の再分配によって強制的に停止させているのが高福祉国家ともいわれる欧州の国々です。

階層化した社会はいずれ破滅する、、これは先人たちの教訓から明らかだ

日本はそもそも学歴などの実力に重きを置かず、年齢を基準にするという超非論理的(だがメリットも多い)評価システムによってこの難を逃れてきました。しかし、それももう限界に近そうですね。

それでは、また。

いいなと思ったら応援しよう!