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仏大学生が結婚について思うこと
結婚の必要性が問われる時代に
皆さんこんにちは、しみみんです。毎度のことながら自己紹介はサボるので、僕について気になる方は以下の記事をご覧ください。
今回の記事では、フランスに留学して3年目になる僕が結婚について思うこと、というテーマで話していきます。子ども家庭庁の「結婚に関する現状と課題について」という資料を参照するので、興味のある方はこちらからどうぞ。皆さんも読みながら何か思ったことがあれば、気軽にコメントをお寄せください。
結婚にまつわるデータ
まずは2023年までの出生率、婚姻件数の推移を表したグラフを見ていきましょう。比べてみて、何か気づくことはあるでしょうか。
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本格的な統計分析をせずとも、この2つのグラフの概形から出生数と婚姻数の間には強い相関があることが伺えたかと思います。それもそのはずで、日本では結婚せずに子供を授かることが非常に困難だからです。
最近は育児の金銭的な負担に注目が集まったり、待機児童や夫婦別姓などをめぐる問題が少子化対策の一環として議論されがちです。しかし、昔から生活が苦しいために子供を授かれない人は一定数いましたし、もっと子供の数が多かった時代は待機児童が当たり前でした。相手はいるけど夫婦別姓が許可されないから結婚できない、そんな癖の強いケースもごく稀でしょう。こういったものよりも、結婚や恋愛に対する考え方の変化の方が少子化問題に直結していると僕は思います。
フランスの結婚、日本の結婚
そもそも結婚しなくてもいい
フランスでは結婚しなくても法律上困ることはありませんし、なんなら結婚してないパートナー(いわゆる事実婚)の状態というのが正式な関係として認められています。子供を育てたり家庭を持ったりする上で、結婚というのはただのオプションに過ぎないのです。日本とはまた一味違ったフランスの結婚観です。
結婚は何のためにするのか
それでは、フランスでは何のために結婚するのでしょうか。具体的には、どういったメリットが考えられるのでしょうか。僕のフランス人の友達によると、結婚には依然として様々なメリットがあるとのことです(同居する前提で考察しています)。
結婚してないと受けられない法律上の優遇措置が存在する(例:日本であれば扶養控除、配偶者控除、贈与税の免除など)
家賃や光熱費などの支出がまとまることで節約になる
家事にかかる時間的・体力的なコストがまとまることで軽減される
共働き夫婦の場合、お互いが何かあったときのための保険として機能し合えるため、相対的に失業や病気などのリスクが抑えられる
子を育てるための基盤ができる
日仏問わず、結婚のメリットはかなり大きいです。仮に夫婦仲がよく、個々人の損得勘定を考慮に入れない場合、意外なことにデメリットは1つも見当たりません(フランスの場合は手続きが面倒ですが)。ただし、フランスではこれらのメリットの多くを事実婚によって享受できるので、結婚数は日本同様減少傾向にあります。フランスと日本の大きな違いは、結婚しない理由がポジティブなものかネガティブなものか、この1点につきます。子ども家庭庁の調査結果でも、日本の未婚者の多くがいずれは結婚したいと考えていることがわかっています。
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それでは、なぜ結婚できないのでしょうか。政府に求められているアプローチは一体どのようなものなのでしょうか。
結婚しないという選択
結婚できない・しない理由
なぜ結婚できないのか、その答えはいたってシンプルに説明できます。子ども家庭庁の調査によると、結婚しない理由は大きく分けて以下の3つです。
相手がいない
自由が欲しい(必要性を感じない、仕事や趣味に関連した回答を含む)
お金がない
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「相手がいない」という項目に関しては当たり前の話で、それは恋愛結婚がお見合い結婚に比べて遥かに難しいことだからです。以前は両親が持ちかけてきた出会いの機会を、現代では年収や役職、身長、性格相性などの複雑なパラメータを駆使して勝ち取らなければなりません。また仮に出会えたとしても、実際に結婚するまでには幾度もの試練を乗り越える必要があります。
「自由が欲しい」という意見に関しても、結婚がいつでもできると考えているのか、どんな相手であれ一度結婚すれば自由がなくなると思い込んでいるのか、どちらにせよ若者特有の人生観の現れであり、昔からあった価値観でしょう。SNSの普及によって結婚に負のイメージが付きまとうようになった可能性を加味しても、自由を欲することは悪いことではないし、少子化対策等のターゲットとして取り上げるには及ばないと思います。
問題は「お金がない」という意見です。育児のためではなく、「結婚のための資金がない」と言っているのです。SNS等で広まった欧米セレブの派手な結婚式がいつの間にかスタンダードになり、結婚式やプロポーズにかかる費用が吊り上がっていることは要因の1つと言えるでしょう。また男性側でこの意見が顕著であることから、この膨らんだ結婚コストを従来通りの価値観で男性が引き受けた、と考えることもできます。また、今後の男女に共通するお金のリスクとして、ジョブ型雇用の台頭による失業率や非正規雇用の割合増加なども懸念事項です。日本政府の対策が待たれます。
結論:僕は意地でも結婚したい
それでは、意図的に結婚しない場合はどんな未来が待っているでしょうか。個々人の人生観によって未来予想図は異なったものになってきますが、ひとまず客観的なデータとして、国立がん研究センターが公表しているものを参考にしてみましょう。
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15年以上にも及ぶ、総勢62万人の参加者を対象にした大規模な調査です。他にも慶応大学などといった多くの研究機関の研究によって、上記のような健康リスクをはじめ、幸福度スコアが低い、鬱病や認知症等の精神疾患を発症しやすい、攻撃性が高い、年齢が上がるにつれて結婚願望が強まるなど、未婚者が抱える多大なリスクが表面化されてきています。以上から、結婚しないことの結末は悲惨なものになり得るといっても過言ではないでしょう。
以前の記事でも紹介したように、僕の人生観からすると早死にはさほど問題になり得ません(両親が他界しているのであれば)。僕の風変わりな人生観については、以下の記事をご覧ください。
しかし、恐らく僕より後に死ぬであろう弟に迷惑をかけることはなるべくしたくありませんし、弟がモデルケースとして参考にできるような人生を歩みたいと思っています。そのためにも、まずは奥さんを探してつかまえるところから始めたいです。子供を授かることができれば、両親に孫の顔を見せに行くこともできます。妄想がはかどりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。内容を簡単にまとめると以下の通りになります。
結婚には様々なメリットがあるが、日本と違ってフランスの結婚は家庭を築くための多様な選択肢の1つに過ぎない
婚姻件数の減少には様々な要因が挙げられているが、「お金がない」問題は特に対策を要する
未婚者で在り続けることには様々なリスクが伴う
今回も長文になってしまいましたが、その分いいリハビリになりました。今後の記事も3,000文字程度には字数を抑えるつもりで書いていきますので、許容範囲だという方は引き続きよろしくお願いいたします。
僕たちはこの短い人生で、誰しもが歴史に名を刻めるわけではありません。しかし、少なくとも自分の奥さんや子供たち、またその後に続く子孫たちの記憶の中に一時留まることはできるでしょう。稀代の発明で世界を救うことはできずとも、愛する人たちの心を支えることはできます。人生の意味とは自分の中に見出すものではなく、他者の中に見出すものだと僕は思います。自由を謳歌して朽ちるだけの人生に、少なくとも僕は興味がありません。
それでは、また。