僕が通っている大学について
Toulouse School of Economics(以下TSE)
こんにちは、しみみんです。誰だお前は、と困惑中のそこのあなたには自己紹介の記事をプレゼント。
今回の記事では、僕の通っている大学について(主に学部にフォーカスして)お話しようと思います。僕と同様に高校から直接進学を考えている方や交換・派遣留学を検討中の方、経済学は学びたいがどこで学べばいいかよくわからない方まで、幅広い層の方々に共有したい内容となっています。フランスの大学システムについても少しばかり言及するので、興味がある方は是非ご覧ください。
フランスの大学システム
大学とグランゼコール
フランスには大学とグランゼコールという2つの高等教育機関が存在します。大学は基本的に3年制であり、入学は簡単で卒業は難しい典型的な欧米スタイルのものです。一方のグランゼコールは2年間の準備学級(通称プレパ)を経て、試験に合格して初めて入学が許可されるエリート養成機関であり、その後3年間の学生生活を経て修士号相当の資格が授与されます。当然ながら入学は困難を極めますが、大学に比べて卒業は比較的易しく、感覚的には日本の大学に近いスタイルの教育機関だといえるでしょう。
プログラムの主な違いとしては、理論的な知識の習得を重視する(大学)か、実践的な技術の習得を重視する(グランゼコール)か、といった点が挙げられます。他にも費用面に関して、大学は基本的に国公立で年間費用は10万円以内に収まることが多いのに対し、グランゼコールでは私立の割合が大きくなり、文理問わず授業料や登録費が高額になる傾向にあります。
グランテタブリスマン
僕がトゥールーズ経済学院(TSE)に通っていることは以前お話しました。それでは、我らがTSEは大学なのか、グランゼコールなのか。先に答えを言ってしまうと、どちらでもないというのが正しい認識になります。
TSEはトゥールーズ第1大学(以下UT1)付属の経済学部として、2014年度ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ティロール博士によって設立された学校です。優秀な研究者が数多く在籍し、産業界と学術界の両方面で高い評価を受けています。そんな大学としてのルーツを持つTSEですが、最近になってUT1からの独立を果たし、グランテタブリスマンという大学とグランゼコールの中間的な存在となりました。したがって、TSEに入学するためにはまず、TSEがUT1と提携して設けている2年間の準備コース、またはグランゼコール受験のための準備学級に登録し、それぞれの場合で選抜に合格する必要があります。研究目的のグランゼコール、といった具合の非常に稀有な存在です。大学の学費で通えるグランゼコールみたいなもので、個人的にはコストパフォーマンスに優れた学校だと思っています。
TSEの主な特徴
世界・国内ランキング特集
まずは参考程度に、TSEの世界・国内ランキングを見ていきましょう。独立したのがつい最近ということもあり、掲載されてない場合やUT1の一部としてカウントされている場合がほとんどです。
ランキングの傾向から、TSEは学術界で特に高い評価を受けており、「研究機関」としての側面が強いことがわかります。逆に規模の小ささと歴史の浅さ故に、産業界での知名度はあまり期待できないかもしれません。したがって、研究者を志す大学院生や経済学を試しにがっつりと学んでみたいと思う大学生にはおすすめの留学先になります。ビジネス方面でキャリアを構築する場合は、学部を卒業するタイミングでより就職に優れたグランゼコールや海外大学へのステップアップを考えた方がいいでしょう。
2年間の準備学級
TSEに入学してみたい、、そう思ってくれた方がいることを期待して、TSE付属の準備学級について説明を加えておきます。この準備学級は1年生と2年生の2年間を指し、TSEに正式に入学するための儀式の場になります。具体的には、まず1年生としてUT1に入学し、2年後に来たる選抜に向けてひたすら勉強に明け暮れるということです。複数のコースに分かれており、経済経営学専攻の場合は1年生として400人~500人の生徒が登録し、2年生に進級するのは半分にも満たない200人弱、そこからさらに上位25名がTSEのL3に進学を許可されます。その後は分かれていたコースが統合され、グランゼコール同様に修士課程までエスカレーターで一直線です。
ここで厄介なのが2年進級時に他所のプレパ(大学とグランゼコール参照)から流入してくる、天才頭脳たちです。彼らが僕たち外国人留学生の努力を一瞬で水の泡にしていきます。僕には優秀な留学生の友人が何人かいましたが、選抜を戦い抜いた頃には一人もいなくなっており、かくいう僕自身も25人中15位とかなり余裕がなく、つくづく世界の広さを思い知りました。
カリキュラムや学習環境
授業は基本的にフランス語で行われますが、TSEに入ると英語の授業も受講可能になります。1週間当たりのコマ数は必修のものだけで20コマ程度と日本の理系学生レベルです。学習する科目に関しては、準備学級の間は数学、英語、マクロ・ミクロ経済学、経営学、心理学、歴史学、情報学(PythonやSQL、Rなど)を中心に広範囲の教養科目が詰め込まれます。課題はもちろん出されますが、それよりも授業内容の予復習が非常に重要で、少しでもサボると授業についていくことができなくなります。中間試験と期末試験があり、難易度は非常に高く(20点満点中10点が平均)、特に留学生はフランス語の記述・口頭試問に苦しめられること間違いなしです。TSE入学後は教養科目がぐんと減って専門科目が一気に出てくるため、油断して復習を怠っていると今の僕のように痛い目をみます。
専門性の高まりに加えて、進級する度に授業のコマ数は増えますし、周りの生徒のレベルも上がっていきます。そのためか、生徒間の協力関係が非常に密であり、TSEに入学する頃には戦友に困らないことでしょう。留学生の多くが落第するため必然的に現地生徒との絡みが増え、フランスの文化に迎合しやすい環境が整っているともいえます。先生方も一流の研究者ばかりであり、非常に刺激的な毎日が楽しめます。
まとめ
前回と同様、本記事のまとめを以下に貼っておきます。
フランスの大学は3年制で学費も安いが、グランゼコールという例外も
TSEはグランテタブリスマン、世界ランキングは東大・京大クラス
準備学級はかなり大変、フランス語必須
皆さん、いかがでしたか。何か参考になる情報はあったでしょうか。これだけのことを長く書きすぎ、、なんて声が聞こえてくる気もしますが、noteは僕が日本語能力を取り戻すリハビリみたいなものなので、温かい目で見守っていてください。この独特な駄文もいつまで読めるかわかりませんよ?
それでは、また。
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