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成人病の予防とその自然治癒について-3

三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。

全7回シリーズの第3回目となります。講演(口語)を文章にしているため、読みにくい部分もあるかと思いますが、三石巌の考え方を知ることができる貴重な内容ですので、是非お読みいただけますと幸いです。

過去の回はこちら↓
第1回目
第2回目

第3回目(全7回シリーズ)

 先程、ちょっと伺ったんですが、この島には糖尿病の方も多いということでした。
 皆さんのなかに糖尿病の方はおられるでしょうか?

 実は私は糖尿病なんです。これは鉛中毒による糖尿病でして、大変困った糖尿病なんですよ。ですから私は、毎日インシュリンの注射をしています。

 天皇陛下よりも、私の方がちょっと条件が悪いことになります。

 私の家の近所にもう20年以上も鉛の煙を出していた工場がありまして、その近所に住んでいる人たち、私も含めてその煙に鉛があるなんてことは、全く知らなかったんです。

 近所にいっぱい、いわゆる公害病患者が出て、騒ぎが始まりました。
そうなってはじめて、鉛の煙が出ていることを私も知ったわけなんです。
私の家は沖縄の家と違いまして、コンクリートづくりの家ではありませんので、天井裏なんかに、ほこりがいっぱい入っていまして、それをとって分析してみたら、鉛が3%入っていました。正確にいうと2.95%入っていました。

 私の家は古い家ですから、ほこりがずいぶん厚く積もっていました。
私はこれを分析してもらいました。するとこれが全部3%の鉛を含んでいることがわかったんです。

 結局私は鉛をとっても沢山吸っていたわけです。
そして、そのためにかなり重症の糖尿病になっちゃったんです。
けれども、糖尿病でちっともへたばっちゃいませんよ。

 なぜへたばっていないのか、というと糖尿病になったらどういう栄養物質を摂ればよいのか、ということを私が知っているからです。
 つまり、私が糖尿病になったということは、私がなりたくてなったものではありませんね。鉛が体内に入ってきた、そのことによって私の身体の自然の自己運動によって起こったことですから。そこで、私は自然の自己運動を利用してこれを何とかしようとするわけです。
 糖尿病による、私の身体の中のいろいろな障害といいますか、弱点といいますか、そういうものを、自然の自己運動によってカバーすることに努力しています。
 すべて、そういうものを自然の自己運動の動きとして、私は捉えようとしています。
 こういう話をしますと、みなさんは、これはあまりやさしい話ではないとお感じになっているかもしれません。
 つまり、これは、どういう話なのかといいますと、学問の分類からいえば「哲学」というものに属することになります。
 哲学的な話をしているわけです。哲学とはどういうものか、といいますと、自然をどのようにみているか、世界をどうみているか、自然科学をどうみているか、というようなことを勉強するのが哲学なんです。
自然をどうみているか。あるいは世界を世界というのは、世界各国なんていうのよりもっと広くて、宇宙全体をさしています。
 植物をどうみているか、島をどうみているか、というようなことも含めまして、世界をどのようにみるか、ということが哲学なんですよ。それは世界観ということになります。
 自然に限定すれば、自然をどうみているか、というのも哲学です。いまお話ししたような人間の身体をどうみるか、ということ、これも哲学なんです。

 哲学的な話というものに、みなさんはあまり馴染んではいらっしゃらないでしょうから、もう一度、ごく簡単に申し上げることにしましょう。
 私どもの身体のなかにおこっていることは、私どもがしようとして何かをやっているのではなく、自然物である身体がやっている。
 自然が勝手に、私たちの意志とかかわりなくやっているのであるということです。自然が勝手にやった結果として、病気になってみたり、健康になってみたり、くたびれてみたり。
 こういうことはみんな自然の自己運動として起きてくることであるとみることになります。
 すると、自然の自己運動というものは、私どもがどう思うかということにかかわりなくおこるのだから、そのなかに、なんだか面白くない自己運動もある。
 たとえば高血圧になっちゃった、というようなことですね。
 そこで、高血圧になるのが自然の自己運動ならば、ならないために、同じ自然の自己運動を利用しよう、ということを私はしているわけです。
 だから、高血圧になっちゃったときにも、自然の自己運動を利用してそれをなおすと、そういう方向にいったらどんなもんだろうかと、私は思っているわけです。

~次回につづく~

※本文中の表現は、講演内容を教え子たちがテープから文章に起こしたものを、出版当時(1982年)のまま掲載しておりますが、一部読みやすく編集しております。


三石巌 全業績 27 「講演集1」より抜粋
出版社:現代書林
発売日:1983/1/20



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