ロサンゼルス生活71日目-72日目
最近のロサンゼルスは少し気温があがってきた模様。そろそろ夏がやってくるのかもしれない。
カーピンテリアという街に行ってきた。正確には連れていって頂いた。カーピンテリアは私の住むウェストロサンゼルスから車で1時間と少しの町。海辺に佇む小さな町である。
サンタモニカから西海岸を北上して向かった。きれいな海岸をひたすらに見ながらのドライブ。天気は少し曇っていたが、これがもし晴れていたら最高の眺めだっただろう。
カーピンテリアに着いて、まずは昼食。屋外に席が配置されているカフェテリアのような場所。ハンバーガーとフィッシュアンドチップスを頂いた。美味しいな。海辺のカフェテリアでハンバーガー。それだけで最高の気分になれる。
昼食の後は浜辺へ。水着の高校生たちがビーチバレーをやっている。地元の子たちだろうか。サンタモニカの浜辺でもビーチバレーをやっているのをよく見かける。浜辺でビーチバレー。こちらの夏のお決まりの過ごし方なのかもしれない。
千葉出身である私は海に関する思い出がないわけでもない。千葉にはサーフィンをやるやつもよくいて、九十九里まで私も何度か連れていってもらったことがある。また東京湾も近くて、自転車で行くことのできる距離であった。
よく意味もなく自転車で海まで行ったものである。本当に意味もなく。時には友人と。時には一人で。だがそれが楽しかった。あの感じって一体なんだろう。
浜辺の後は町へ。小さな町である。歩いても十分に周ることができる。USEDの雑貨屋さんがあったので入ってみる。古着とお香の匂い。懐かしの高円寺の匂いである。雰囲気もそれに近い。少しだけセンチメンタルな気持ちになる。匂いというのは人の記憶を呼び覚ます作用がある。
古本屋があったので、そこにも入ってみた。本屋というのはどうしてああも落ち着いた気分になるのだろう。洋書しか置いていなかったので、今の私は買っても仕方がない。いつか英文の小説をガンガンに読みたいと思っている。いつかシェイクスピアやヘミングウェイの作品を原文で読むのだ私は。
小さな劇場があった。映画館ではなく劇場のようである。コメディショーがその日の夜に行われるようである。アメリカの小さな町の小さな劇場。いつかそのうちに行ってみたいと思う。そこではどんな人がどんな風にステージにあがっているのだろう。
カーピンテリアには駅がある。アムトラックという日本の新幹線のようなものが停まるらしい。なんとも可愛らしい駅である。思わず写真を撮ってしまった。
帰りしなにグッドウィルに寄った。グッドウィルといっても人材派遣会社ではない。中古品の買取と販売を行っている会社である。アメリカではその店舗がたくさんある。話には聞いていたので私もそのうちに行きたいと思っていた。
走る時に着るシャカジャー(シャカシャカしたジャージ)を購入。値段は約10ドル。お買い得品である。こういうのずっと欲しいと思っていた。嬉しい。
帰りはハイウェイで大変な渋滞に巻き込まれた。全く車が動かないほどの渋滞はこちらで初めて。事故があった模様。それにしてもロスは道が混む。状態は東京の電車と似ているかもしれない。
需要ほどには供給が行き届いていない。車ほどには道がない。人ほどには電車が走っていない。どちらも解決不可能なレベルのような気もする。人口をどこかへ分散するしかないのではないだろうか。
自宅に戻り、今日のドライブのお礼に親子丼を作った。喜んで頂けたと思う。料理はコミュニケーションツールとして最強だと思っている。美味しい(だろう)ものを作って嫌な気持ちになる人はあまりいないのではないだろうか。
他のことってそれなりに関心無関心の差があるような気がする。音楽に興味がない人に素晴らしい音楽を提供しても、そんなに喜ばない気がする。しかし料理にはそれがあまりないような気がする。相手が好きそうなものを作って食べてもらえば、きっと気持ちが伝わるのではないだろうか。
夜は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』という映画を観た。マンチェスターといってもドイツの話ではない。ニューヨークの北、ボストンよりも更に北にあるマンチェスター・バイ・ザ・シーという小さな港町の話である。
きっとカーピンテリアに行ったからだ。だからそういう映画を観たくなったんだ。小さな港町の映像は最高であったが、映画の内容は重いものではあった。過去に大きな事件を引き起こした男。その男は故郷を捨て、ボストンの街で自分を罰するように生きる。最後まで明確なハッピーはない。だが少しだけ、ほんの少しだけ、過去の自分を許せるようになるという話。
この日は海辺の小さな町の一日であった。