FX初心者向け:ダウ理論を分かりやすく解説
FX(外国為替証拠金取引)を始めると、チャートをどう見たら良いのか、様々な情報が溢れてわからなくなってしまうこともありますが、裁量であれ自動売買であれ、普遍的な基本且つ本質の理論は抑えておく必要があります。
チャートの分析をする上で、知っておくと役立つのが「ダウ理論」です。この理論は、相場の動きを理解し、取引判断をする際の基礎となるものです。今回は、ダウ理論について初心者向けに分かりやすく解説します。
1. ダウ理論とは?
ダウ理論は、チャールズ・ダウ(Charles Dow)が提唱した理論で、株式市場や為替市場などの相場分析の基礎として広く使われています。ダウは、ウォールストリート・ジャーナルの共同創設者であり、また「ダウ・ジョーンズ工業平均株価」の考案者でもあります。彼が提唱した理論は、現在でも多くのトレーダーによって支持され、使用されています。
ダウ理論の主な目的は、相場のトレンドを見極め、そのトレンドに沿った取引を行うことで利益を得ることです。ダウ理論は、特にトレンドフォロー型の取引手法において有効です。
2. ダウ理論の6つの基本法則
ダウ理論には、6つの基本法則があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
① 市場のトレンドには3種類ある
ダウ理論では、市場のトレンドを3つに分類しています。
主要トレンド: 1年以上続く長期的なトレンドです。これは、相場の大きな流れを示し、強気(ブル)相場や弱気(ベア)相場と呼ばれることもあります。
二次トレンド: 数週間から数ヶ月続く中期的なトレンドです。主要トレンドの一部として発生し、主要トレンドに対して逆行することが多いです。
小さなトレンド: 数日から数週間続く短期的なトレンドです。デイトレーダーやスイングトレーダーにとって重要ですが、ノイズとして扱われることもあります。
② トレンドは3つのフェーズで構成される
ダウ理論では、主要トレンドが3つのフェーズで構成されているとしています。
先行期(蓄積期): 相場の転換点で、投資の専門家や大口投資家が動き始める時期です。市場全体はまだトレンドの変化に気付いていません。
追随期(追随期): トレンドが明確に認識され始め、市場の多くの投資家がこの動きに追随します。これが最も長く続くフェーズです。
過熱期(利食い期): トレンドが過熱し、相場がピークに達する段階です。多くの投資家が利益を確定し始め、次第に反転の兆しが見え始めます。
③ 価格はすべての情報を織り込んでいる
ダウ理論では、相場の価格にはすべての情報が反映されていると考えます。つまり、ニュースや経済指標などの要因はすべて価格に反映されるため、価格自体が最も重要な情報源であるということです。トレーダーは、チャート上の価格動向に基づいて取引を行うべきだという考え方です。
④ トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する
ダウ理論の基本的な前提として、トレンドは明確な反転シグナルが現れるまで継続するというものがあります。これを理解することは、トレンドに沿った取引を行う上で非常に重要です。トレンドが転換するシグナルが確認されるまでは、トレンドに逆らった取引をしないようにするべきです。
⑤ トレンドは確認が必要
ダウ理論では、トレンドの信頼性を確認するために、複数の市場や指標が同じ方向に動いているかどうかをチェックすることが重要です。例えば、株式市場であれば、ダウ工業平均とダウ輸送株平均の両方が同じ方向に動いているかを確認します。FXでは、関連する通貨ペアが同じトレンドにあるかを確認することが有効です。
⑥ 出来高はトレンドを確認するために重要
ダウ理論では、出来高(取引量)がトレンドの強さを確認するための重要な指標とされています。一般的に、トレンドが強い場合、出来高も増加します。逆に、出来高が減少し始めた場合、それはトレンドの終わりが近づいている可能性があると考えられます。
3. ダウ理論をFX取引に活かす方法
では、ダウ理論をどのようにFX取引に活かせばよいのでしょうか?具体的な方法をいくつか紹介します。
① トレンドを見極める
ダウ理論の基本は、トレンドを見極めることです。トレンドが形成されると、価格は高値と安値を更新していく傾向があります。例えば、上昇トレンドでは、価格は高値を更新し続け、安値も徐々に上がっていきます。これを「高値・安値の切り上げ」と言います。逆に、下降トレンドでは「高値・安値の切り下げ」が見られます。
② トレンドに沿った取引を行う
ダウ理論に従うトレーダーは、トレンドに沿った取引を行います。上昇トレンドであれば、押し目を狙って買いを入れ、下降トレンドであれば、戻りを狙って売りを入れるのが基本です。トレンドに逆らった取引は、リスクが高いため避けるべきです。
③ トレンドの転換点を見極める
トレンドが転換する兆しを見極めることも重要です。ダウ理論では、トレンドが転換する際には、高値や安値が更新されなくなることが多いとされています。例えば、上昇トレンド中に安値が切り下がった場合、それはトレンドの終わりを示唆している可能性があります。
④ 出来高の動向を確認する
出来高の増減は、トレンドの強さを確認するための重要な指標です。上昇トレンドで出来高が増加していれば、そのトレンドは強いと考えられます。逆に、出来高が減少している場合、トレンドが終息に向かっている可能性が高いです。
4. ダウ理論の限界と注意点
ダウ理論は非常に有用な理論ですが、いくつかの限界もあります。まず、ダウ理論は過去の価格動向に基づいているため、将来の価格動向を100%予測することはできません。また、短期的なノイズに影響されやすい点も注意が必要です。
さらに、ダウ理論はトレンドフォローの戦略に特化しているため、レンジ相場(価格が一定の範囲内で上下する相場)では有効性が低くなることがあります。そのため、ダウ理論だけに頼るのではなく、他のテクニカル指標やファンダメンタル分析と併用することが重要です。
5. まとめ
ダウ理論は、FX初心者にとって非常に有益な理論です。この理論を理解し、トレンドに沿った取引を行うことで、リスクを抑えながら利益を狙うことができます。ただし、ダウ理論は万能ではないため、他の分析手法と組み合わせて使うことが推奨されます。相場の動きをしっかりと観察し、トレンドに逆らわないことが重要です。