見出し画像

飯道神社

 飯道神社いいみちじんじゃ伊弉冊尊いざなみのみこと速玉男命はやたまおのみこと事解男命ことさかのおのみことの3柱の神をお祀りする古社で、近江は甲賀の標高664 mである飯道山はんどうさんの山頂付近にいますお宮です。延喜式内社です。
 いいみちの神とはいったいどのような神なのでしょうか。その詳細はわからず、社伝によれば和銅7年(AD714)熊野神社のご分霊を勧請奉ったのが始まりとされます。日本三代実録にも元慶8年(AD884)従四位下に列せられたとあります。またその発展には金勝山こんぜやまの安皎なる僧が関わったとされ、最盛期には36の僧坊を擁する山上の一大仏教伽藍であったといいます。修験の色も濃く、毎年ふもとの飯道寺はんどうじでは11月3日になると「笈渡し」なる行事あり、これはかつて大峰で修行を終えた山伏が大峰山寺の鍵をあずかり、飯道山に帰山ののちに次の当番に鍵を引き継ぐ儀式が元であると申します。
 さても神仏の織りなす歴史の山と存じますが、飯道神はかの東大寺二月堂の鎮守でもあらせられます。

東大寺の飯道神社 
弘安6年(AD1283)に井垣の修理をした記録があるとのことで少なくともその頃から存在している

 修二会を創始した僧実忠じっちゅうは東大寺大仏殿のための用材をみずから近江の信楽に入って求めたと東大寺権別当実忠二十九箇条事に記録があります。東大寺の飯道神社は東大寺と信楽、甲賀との深いつながりを示すものなのかもしれません。令和の今も甲賀は二月堂とつながりがあり、お松明の原料の藤蔓は甲賀信楽の一心講と呼ばれる方々が寄進されているとのことです。


飯道神社 二の鳥居 ここから山道が始まる
境内
本殿
朱が美しい
朱があざやかな本殿は国の重要文化財である
山頂付近の岩場 修験の行場であると
行場より山々を望む

 まことに山の霊威は時代を通じて変わらぬものです。
 飯道山山頂付近には花崗岩からなる巨岩の数々が鎮まり、かつて名を馳せた甲賀の忍者はこの飯道で修験に明け暮れた修行者が原型であるとも伝えます。
 土地に根ざした歴史、神々と親しんでいくことは大切なことでありましょう。

 飯道山へは公共交通機関で行くのは難しいのではないでしょうか。
 二の鳥居のあたりには小規模ながら駐車場がありますのでお車が便利でしょう。
 


 

いいなと思ったら応援しよう!