天河大弁財天社
境内は春めいて馬酔木の花が咲いておりました。
天河大弁財天社は日本三弁財天の一にして遥か昔からの古社と伝わります。かつてさまざまな芸能人の方々が東京から来たと申します。
「むかしは大峰山の女人結界を避けて、女の人が山の下草刈りに雇われたりしたもんや。男を雇うより安いからな」
温泉につかっておりますと地元の古老からお話を賜りました。
「天川もいまは千人くらいは住んでいるが、じきに数百になるやろう。若い人には仕事が無いねん。林業はもうあかんでな」
夕が暮れてきますと、天川の空には星が見え始めます。
街から遠く離れたこの村では星々はよく見えます。
有名な弁財天社のことをいまさら私が云々することもないかと思います。このお宮にお参りできるかどうかは、まったくその時の定め次第と申す方もおります。
お宮に手を合わせますと自分がよくもいままで生きてこれたなと思います。
到底人間が生きるのは自力のわざではありません。
もし天川にお越しの際はぜひお参りいただき、できることなら弥山や八経ヶ岳をお登りになるとよいでしょう。
弥山から仰ぐ夜明けは格別に美しいものであります。