大事な利子の話
みなさんは、「利子(りし)」という言葉を聞くとどんなイメージがありますか?
自動車や住宅をローンで購入した方は『毎月返済と一緒に付いてくる嫌なやつ』というイメージがあるかもしれませんね。
ですが、私たちが暮らしている資本主義社会において、利子は欠かすことができない存在なのです!
そもそもなぜ利子がつく?
私たちはお金を借りたら、借りた分のお金と利子を借りた相手に返さなくてはなりませんね。
逆に私たちがお金を貸した場合には、相手は利子を払う必要があります。
銀行の預金に利息がつきますが、あれは銀行に私たちがお金を貸していることに対して払われているのです。
友達から千円を借りるのとはわけが違い、数百万円単位のお金を借りれば相手にもそれなりの制約が発生してしまいます。
こちらに貸してくれている間はお金がこちら側にあるわけですから、相手は使えません。
相手のお金ではありますが、こちらが借りている以上は相手は使うことができないのです。
万が一でも、こちらが借りている間に相手がそのお金を必要になっても簡単には返せませんよね?(それなりの金額を借りている以上は目的があって使っているはずなので)
利子は、その相手がお金を使えないことに対してこちらが払う報酬のようなものなのですね。
相手がお金を使えたはずの時間を奪っていることにもなりますからね。
悪みたいだけど悪ではない!
ローンを組んだ人からすれば、利子は毎回返済のときに現れる厄介もののようなイメージですが、決して悪いものではありません!
もし仮に国家などが無利子で企業にお金を貸してくれたとしたらどうなるでしょうか?
おそらく、国家は大きな赤字を抱えることになるでしょうね。
借り手側も、いつまで借りていても追加の負担は発生しません。
時間的プレッシャーもなくなりますし、「駆り立てるもの」が生まれにくくなります。
つまり結果として経済の健全な発展を阻害してしまうことになります。
利子で国が発展しなくなる⁈
利子がなかったことで、国の発展を阻害してしまった例が実際にあります。
それがイスラム教の国々です。
イスラムの世界は、かつてはキリスト教の国を遥かに上回る文明を持ち、発展していました。15、16世紀に全盛期を迎えたオスマン帝国なども、当時の先進国間では非常に強い影響力を持っていました。
しかし、イスラム教ではコーランの教えにより、利子は禁じられています。
商業がまだ前近代的な時代はそれでもよかったのですが、近代になってくると利子の禁止は経済発展の大きな障壁となってしまったのです。
お金が借りられないがために企業や組織が発展するタイミングを逃してしまったのです。
もしもお金を借りられれば、イスラムの経済も現在の欧州諸国に遅れを取らなかったかもしれません。
ちなみに近年では、コーランの教えを守りつつも、利子をとることに近い形の技法が苦肉の策として生み出されましたので、必要なときにお金が得られて経済的な制約は少なくなりました。
利子は大事
ということで、今回は利子が実はすごく大事であるというお話しでした。
ローンの返済予定などを見ると気が遠くなりますが、利子は私たちが暮らす社会の発展にはなくてはならないものだったのです!