暗闇の中で

おれはこの人生で何回か死にかけた。
大学受験に失敗して見栄で浪人して第一志望に落ちかけて死にそうだった。私立にも受からなくてそもそも払える学費じゃないし、コーヒー飲んで孤独と戦いながら、頭痛と戦いながら、背水の陣で臨んでギリギリ届いたのが合格。
戦いに疲れて実家から出たくて、一人暮らしして楽しくもないのに大学に通って。
なんとか卒業できて、働きたくなくて、きちんと働ける気がしなくて地元の企業が雇ってくれて働いて、気づけば占いで借金が増えていって。

結婚もしたいし、彼女も欲しい。幸せな家庭を築きたい。

常にそうだった。自分が社会に合わせているんじゃなくて社会が自分に合わせてくれていたんだと気づけていたらもっと幸せな人生だったんじゃないかと感じずにはいられない。社会に合わせることが大変で苦痛で苦しくて自分は普通の人とは違う感覚だからどこにも居場所なくてどうしたらいいかわからなくて逃げてきた。でも逃げても逃げてもたどり着いたのは壁だった。生死の壁。越えれば死。振り向けば生。振り向くには勇気がいる。傷つき、あのいじめられたときのどうしようもないどこにもすがれない、海の真ん中で助けが来ないが浮かぶ努力だけしている状態になるのではないかと。惨めで一人泣いている状態になるのではないかと。どうしようもないと捨てられるんじゃないかと。

普通になりたい、普通の幸せで満足したい。これは脳の仕業なのか、またあらゆる困難に首を突っ込みたくなる。困難が快感になる。

聞いたことあるが、快楽と苦痛は脳の処理する場所が同じなんだと。
まさにドーパミン中毒だ。

快楽を追求し、苦痛を避けることの末路はもう目の前に待ち構えている。

いいなと思ったら応援しよう!