【第三話】レプリカント

好きな曲についてという題材!

私は圧倒的にヨルシカ(邦ロックバンド、作詞作曲はボカロpのn-buna)が大好きで、好きな曲が絞れないぐらい大好きな曲がたくさんあるのですが、最近よく聴いて「うわ好きやっぱ最高だわー」(語彙)ってなるのは「レプリカント」です。

ヨルシカで有名な曲といえば「ただ君に晴れ👏👏」とか、大成建設のcmで流れていた「春泥棒」、葬送のフリーレン第二期op「晴る」などでしょうか。YouTubeの再生回数でいくと「だから僕は音楽を辞めた」「花に亡霊」も知っている人は多そう。
近年恐ろしい程の勢いで知名度を上げ猛威を振るっている(?)ヨルシカですが、「レプリカント」を知っている人はおそらく多くないかと思います。この曲はヨルシカが2020年にリリースしたフルアルバム「盗作」に収録されています。
この曲の好きなところは言ってしまえば全てなのですが、箇条書きにしてできる範囲でちゃんと説明させてもらうと、

・イントロ
・皮肉めいていながらも美しい、破壊力を伴う歌詞
・夏の空のように爽快なメロディー
・何かを打ち破るような爽快すぎるドラム(特にスネアの連打、聞いてるだけで気持ち良い)
・透明感溢れるギターソロ
・歌詞
・ボーカル。歌詞に滲んだ叫びを形のある叫びにしている(語彙力。。。)
・歌詞
・ハモり。Cメロでn-bunaさんの声強くなるのも大好き
・歌詞
・歌詞
・歌詞

ということでとにかく歌詞が素敵なのです
こちらがその歌詞↓
一緒にYoutubeのリンクとか貼れたら良かったんですけど公式MVが出ていませんので、、、Apple MusicとかSpotifyとかで聞いてね

いろんな解釈ができそうですが、、
「この世の全部は主観なんだから」
もうこれが全てですよね。
経験が人を形成する。思い出が人格を形作っていく。見た景色や聴いた音を切って貼って、思い出を集めて作られた模造品が出来上がっていく。そこにいる僕らも愛も君も皆同じように作られたもので、初めからのオリジナルなんて存在してはいない。

もともとこの曲が収録されてている「盗作」というアルバムは一つの物語になっていて、CDアルバムの初回限定版には「盗作」という小説が付属されています。音楽を盗んで作曲をする、音楽泥棒の話です。読者の間では主人公のこの音楽泥棒は盗作おじさんと呼ばれることが多いのですが、「レプリカント」の歌詞には、盗作おじさんの価値観や小説「盗作」に流れる思想が脆に滲み出ています。

個人的にこの歌詞の何が刺さるのかというと、世界を俯瞰していたり酷い皮肉を言ったりしながらも、「思い出で人が出来ている」という、「ある意味では悲しい程空虚だが美しい事実」を歌っている点、それから冷めた視線で世界を描きながらも「終わりの瞬間の美しさ」に対する憧れが感じられる点です。
美しい思い出で人が作られていくのだとして、その思い出が無くなってしまったら。
もっと言うと、特別な誰かとの思い出が、二度と更新されなくなってしまった時などです。
その部分が欠ける、もしくは穴が空いてしまいますよね。特別な思いを向けた思い出であるほど、穴は大きく深くなります。 
これは悲しいことですが、、、人間の愛すべき部分でもあるはずです。

それから、「この世の全部は主観」というのは私は本当にそうだと思っていて、、絶対的な客観なんて無くて、世界を真っ直ぐに見られない、自分の目を通すことで自分に見えている世界は主観に歪められてしまうという、そんな悔しさでやるせない気持ちになることが本当に多いのです。見ている世界が人と自分で全然違う。これは時としてすごく悔しい思いをする原因になります。頑張ってもどうしても分かり合えないことが悲しいとき。この曲はそれと似たような悲しみを歌っている気がします。加えて、主観でしか世界を捉えられないからこそ、人の数だけ世界があって、人の数だけ違う作品が生まれるということでもある。全てが模造品になってしまう以上完全なオリジナルは無いが、自分が作るものと人が作るものは絶対に同じではない。自分にしか作れないものはあるという解釈もできそうです。

n-bunaさんがこの曲を作った時に考えたこととどれだけ一致しているかはわかりませんが、、私はこういう聴き方をさせてもらっています。たぶん私が毎日聴いてる「レプリカント」も、レプリカなんだろうな。 

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