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髙比良くるまと考え方が似てると自意識がある人へ
今年読んでよかった本ベスト1
令和ロマン髙比良くるまが書いた『漫才過剰考察』めちゃくちゃによかった。
M-1前に購入したまま読まずじまいだったこの本。
令和ロマンの連覇が現実となった今、「言葉の重みが違げぇ…」と思いながら、クリスマスイブの夜にひとりで読み直して感動している。
言語化しすぎ
タイトルの通り、漫才を過剰に考察しているが、語りの熱量がえぐい。
どちらかというと、コンサルの綺麗な資料というよりは、ベンチャーのトッププレイヤーの脳みその中を覗き見しているみたいな感覚。
語り手本人の体験にまだ接地しているけど、温度感、手触り感があって、純度は高くないけどうまみがすごい黒糖みたいな。
とりあえず読んでもらえるとわかる。
以下、なるほどと思ったトピックを抜粋。
①あるある vs ないない(=大喜利)で整理する
本書に書かれていたM-1がどのように遷移したかを図に起こしてみた。
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詳しい内容は是非、実際にこの本を読んでほしいが、
こうして通年でM-1のトレンドをとらえれると、令和ロマンの漫才が「あるある」だと言われる理由や、逆にそういうふうなネタを用意してきた意味も理解できる。
またネットのないないポジション出身の代表と言えそうな真空ジェシカが、この数年、M-1に向けてどんなネタを用意してきたかを考える際の補助線にもなる。
②東西だけでなく南北で整理する
西のお笑い vs 東のお笑い。という対立構造は何十年も前からある。
それを改めて、以下のような言葉で定義し直している。
西のスタイルは、スピード言葉を玄人が審査する と言える。
東のスタイルは、パワー言葉を素人に啓蒙(解説)する と言える。
この説明だけで、東西芸人の顔が数組は思い浮かぶ。
これも順を追った丁寧な解説が本書にあるので読んでほしいが、かなり納得感のある説明と、いくつもの具体例がある。
さらにもう一つ細かい分類として、
南の笑いは、宴会文化から来ていて、
北の笑いは、狭いコミュニティ(テレビなどの画面)に由来があるのではという仮説も持ち出している。
これも、具体例を交えながらの解説がめちゃくちゃ納得感がある。
ちなみにだが、もっと範囲を広げて世界と比べて日本のお笑いはどうか?という観点は、NON STYLE石田との対談内で「宗教/政治という巨大コミュニティを欠いた日本人はあるあるでつながっている」という説を語っており、これもいつかNoteにまとめたいと思っている。
③粗品との対比
分析が得意と評されることが多いくるまが、自身のことをあえて説明する際に
「分析が得意なんじゃない。置かれた状況に高速で対処しているだけ。」と答えたことがある。
この感覚が個人的にすごく共感できる。
分析という言葉には、大きな大義や目標があり、その実現に向けて逆算して数値を出していくプロセス...というイメージがある。
だが、実際にやっているのは、あくまで目の前に出てくる課題を反射的に攻略して、それを後付けで言語化しているだけ。
この感覚はすごくよくわかる。
おそらくセンサーが多すぎて、瞬間で言語化できないんだと思う。
対談パートでは、そんなくるまと対比となっている粗品が面白い。
粗品は、自分の中にある絶対的なお笑いの感覚をみんなに観てほしいというスタンス。「俺が考える一番おもろい」お笑いを無理やりみんなに押し付けていくスタイル。
完全に基準が内側にある。
基準を外にあって、ルールを攻略していく くるまタイプの人間がそんなスタイルに憧れるのはよくわかる。
違うんですって。
「これが面白い」って自分が強烈に信じられるものを1個見つけられている方がやっぱりすごいし、憧れますよ。
僕はそれがないからいくらでもネタを変えられたんです
基準を外に置くタイプ特有の悩みと、これからの展望が垣間見えてめっちゃ面白い。
これからどうなるのかがめっちゃ楽しみ
最後にアホみたいな感想になるけど、
計画通りM-1を最高の大会にする&二連覇という2つの目標を達成した令和ロマン。次にどんな目標を立てるのか、それをどうやって実現していくのか。
これからどうなるかめっちゃ楽しみ。
最初に書くべきかもしれないが、このNoteを書いた理由は、髙比良くるまという人物に異常にシンパシーを感じているからだ。
年代も近いし、ヒップホップ、読んでいる本など趣味やインプットのレイヤーも近い。
いろんなインタビューでの彼の発言からも、自分の考えと似ているなーと勝手な親近感を抱いていた。
この本のサビともいえる序文には、彼が如何にして、M-1に人生を賭けようと思ったかが語られている。
自分にとって、M-1に相当するような何かを、攻略しがいのある何かを見つけられると嬉しいなーと思い、このNoteを勢い任せに書いた。
今後も、何かの熱が高まったタイミングでNoteを書きたいと思っている。