AI産業の概況と成長
中野です。ご覧いただきありがとうございます。
前回のブログで言及したように、IFAの立場から見たAI業界について発信していきたいと思います。
といっても自分がAIについて全くの素人なので、まずはAIを取り巻く概況について見ていきます。なるべく自分の見解を挟むようにしますが、サマリーレポートみたいな内容になるかもしれませんのであしからず。
AIの定義と産業分類
Artificial Intelligenceの略で、人間の知能を機械やコンピュータを用いて再現するものです。例えば画像認識AIなら人間の目と同じように不良品のチェックや肌荒れ具合などを検知するためのAIであり、チャットボットAIであれば過去のインプットから相談者のニーズを汲み取り適切な回答を導くAI、といった感じです。
産業別には、AI自体の開発、特定の領域に特化したAIの開発、AIを利活用したサービスの提供に分かれます。例えば音声であれば、AIのアルゴリズムを作る会社、それを音声認識に特化させる会社、それを利用して故人の声を再現するサービスを作っている会社のようにレイヤーが分かれます。
市場規模と成長率
グローバルなAI産業の市場規模は、2022年に約60兆円を記録し、2023年は約72兆円に成長するだろうと予測されています。成長率にして20.3%。このまま成長すれば2030年には約283兆円に到達する見込みです。これだけ聞くとピンと来ないかもしれませんが、2022年の世界産業別規模ランキングにおいて、10位が通信業(Telecommunication)の約180兆円なのでそれを上回ります。電波よりも価値があるというわけですね。
日本に関して言えば、2021年のAI産業の市場規模は2,772億円でした。これは、コロナ禍によりストップしたプロジェクトなども含む数字です。2022年の市場規模は3,576億円(成長率28.5%)と予測され、2026年には8,121億円に成長する見込みです。
総務省は、日本のAI業界を主要8市場として以下の通り分類しております。
① 機械学習プラットフォーム
② 時系列データ分析
③ 検索・探索
④ 翻訳
⑤ テキストマイニング/ナレッジ活用
⑥ 音声合成
⑦ 音声認識
⑧ 画像認識
これらのうち、①機械学習プラットフォーム④翻訳⑤テキスト活用⑦音声認識が特に成長すると予測されています。
個人的には④と⑤は差別化が難しいため既にグローバルで負けている印象がある一方、プラットフォームを内製化してユニークなサービスを作り出せそうな①と、グローバルで見るとエンタメ/コンテンツのクリエイティビティーにはまだまだ優位性があるため⑥と⑦が伸びるのではないかなと思います。
産業別主流のAIの使い方
自動車業界:言わずもがな自動運転の実現に向けて活発に利用されています。アクシデントの予知などは既に一般車両に実装されており、日本では23年に自動運転レベル4の走行が認められています。政府は25年には高速道路を走行できる段階まで進めるところを目指すとしています。おそらく技術的には新規参入が難しいので、レベル4~5が普及するタイミングで課題解決型の事業が伸びると思われます(自動運転技術が搭載されていない車両の利活用など)。
医療業界:医師の診断において、大量のビッグデータを用いて診断ミスの防止や遠隔診療の普及が期待されています。一方で個人的にはオペなどの業務はまだまだ気力、体力が求められるため、ここでの業務効率化が図れると面白いなと思います。他にも個人の健康管理などに応用されています。
金融業界:最も活発に利用している業界かもしれません。ロボアド、投融資の審査、セキュリティなどなど。金融商品を作るにも運用するにも大量のデータと緻密な業務が求められたので、現場レベルで効率化のために早急な導入が求められたのかもしれません。逆に言えば高いクオリティのプロダクトニーズがあるためM&Aが起こりやすいかも。
教育業界:オンライン教育の普及に大きく貢献しています。ビッグデータの活用により、生徒の習熟度を正確に把握できるようになったため、教育機会が完全に対面である必要がなくなりました。一方、生成AIによるカンニング行為が多発していることが問題視されております。つまり、エンドユーザーがAIを使わないようにするにはどうするかが議論されている珍しい業界です。
次回のポストでは主要各社の概況と話題の生成AIの種類について掘り下げてみたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします!