令和4年ストレスチェックの傾向
株式会社FiNC Technologies (以下、「FiNC」)のウェルビーイングビジネス本部マーケティング&セールス部の赤羽です。
2015年12月より、労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の従業員がいる事業所では1年に1回、ストレスチェックの実施が義務付けられています。
ストレスチェックの結果、全国平均や同業種と比べてどうなのか。
気になるご担当者様も多いのではないでしょうか。
今回は、公益社団法人 全国労働衛生団体連合会 で公開されている
「令和 4 年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」
1,395,057人分のデータをもとにまとめていきます。
https://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20231003173609.pdf
1.ストレスチェックとは
・目的
労働者が自分のストレスの状態を知ることで、
・ストレスをためすぎないように対処
・ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらう
・会社側で仕事の軽減などの措置を実施する
・職場の改善につなげる
等を行い、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
2.「高ストレス」の判定方法と2つの数値基準
・判定方法
医師などの実施者がストレスの程度 を評価し、高ストレス※で医師の面接指導が必要な者を選びます。
※ 自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲 のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選びます。
・2つの基準値
数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法では、「厚労省の数値基準に基づく判断基準」というものがあり
「合計点数を使う方法」
「素点換算表を使う方法」
2つの方法があります。
判断基準①:合計点数を使う方法
ストレスチェックで用いられる職業性ストレスチェック簡易調査票は、
下記3つの分野に分けられます。
「心身のストレス」
「仕事のストレス要因」
「周囲のサポート」
これらの質問の回答結果を点数化し、以下のいずれかが一定以上の点数になったものが「高ストレス」として判定されます。
「心身のストレス反応」の項目の評価点数が高い者
「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」の評価点数が著しく高い者
計算方法が簡単で分かりやすいというメリットがあります。
判断基準②:素点換算表を使う方法
素点換算表は、調査票内にある全57の質問項目について、「心身のストレス反応」、「仕事のストレス要因」、「周囲のサポート」の3つの分野だけでなく、疲労感や不安感、抑うつ感、心理的な仕事の負担など、より具体性の高い18の尺度に分類されています。
調査票の各質問項目への回答点数について、素点換算表より尺度ごとの5段階評価に換算し、評価点の合計点を基準に「高ストレス」を判断します。
素点換算表は尺度ごとの評価が考慮されており、個人のストレスの状況をより詳しく把握することが可能です。
4.高ストレス者の全国平均
「令和4年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」によると、
対象データ:
令和 4 年 1 月~12 月の間、全衛連会員が実施したストレスチェックのうち、匿名化処理をしたうえ解析することに同意が得られた1,395,057人分
高ストレス者の全国平均:14.9%(208,074 人)
令和3年の14.2%より0.7%増加
高ストレスと判定された人の割合を男女別にみると、
男性は16.6%、女性は 12.4%
男性の方が4.2%高い結果となっています。
(※判断基準②:素点換算表を使う方法で算出)
5.年代別高ストレス者割合
年代別に見てみると、30歳代、40歳代、50歳代が全体平均(14.9%)より高く、
10歳代、20歳代、60歳代以上では低かった。
いずれの年代も、高ストレス者と判定された人の割合は令和3 年と比較して増加しています。
6.業種別の高ストレス者割合
業種別では、製造業(18.2%)、鉱業、採石業、砂利採取業(15.9%)
宿泊業、飲食業(15.8%)、運輸業、郵便業(15.4%)、 農業、林業(15.2%)が平均(14.9%)より高かった。
また、高ストレスと判定された人の割合は令和3年と比較して農業、林業で減少、その他の業種で増加しました。
よくご質問頂く観点での高ストレス者割合の傾向内容を紹介させて頂きました。
他にも
・職種別
・雇用形態別
・職位別
といった観点で高ストレス者割合が全衛連の報告書にはまとまっているので、より詳しく確認したいというかたは、是非 報告書を見てみてください。
7.総合健康リスクの全国平均
・総合健康リスクとは
仕事の負担(量)
仕事のコントロール度
上司のサポート
同僚のサポート
から計算された、職場の健康リスク指標となる値のことで、
全国平均は100と表され、
総合健康リスクの数値が高い(100を超える)ほど、職場環境が労働者の健康に悪影響を与えているリスクが高いと判定されます。
これまでの調査事例では、健康リスクが120を越えている場合には、何らかの仕事のストレスに関する問題が職場で生じている場合が多いとされています。
全国平均の結果は、
男性の全業種平均健康リスクは99、女性は94となっており、
男女ともに100を下回る結果となりました。
8.業種別健康リスク
男性では、製造業・運輸業、郵便業・鉱業、採石業、砂利採取業・宿泊業、飲食業が健康リスク100を超える結果。
女性では、唯一 漁業が100を超える結果となった。
その他、
年代別
職種別
雇用形態別
職位別
なども全衛連の報告書にはまとまっているので、より詳しく確認したいというかたは、是非 報告書を見てみてください。
9.医師面接及び相談対応割合
医師面接・相談対応については、アンケート調査を実施し、アンケート調査に回答したのは全衛連会員のうち96機関の数値集計データになります。
医師面接の実施率は1.5%
医師面接実施率の推移をみると、過去4年の平均は、2.1%となっています。
10.まとめ
今回は、約140万人のデータから出された全衛連ストレスチェックサービス実施報告書を基に、よく聞かれるポイントでピックアップさせて頂きました。
過去の報告書も参考に高ストレス者の推移をまとめると下図になります。
厚生労働省が公表しているストレスチェック制度実施マニュアルにおける「高ストレス者」の判定基準では、おおよそ全体の10%程度が「高ストレス者」となるよう設計する とされています。
あくまでも目安ではありますが、「健康経営」という言葉も少しづつ広がり、取組みのある企業も増えていますが、高ストレス者割合で見ると微増傾向にあります。
従来の高ストレス者対策以外に何ができるのか・・・
FiNCでお打合せさせて頂きました企業様では、
高ストレス者の抑制に向けて、
・相談窓口の有効活用
(メンタル相談に特化せず、呼び名を「なんでも相談」等 相談のハードルを下げる)
・メンタル対応の経験豊富な医師による面談対応
・1on1の実施
(どういった目的で、何をするのか、臨床心理士等専門家による研修を行い展開する)
・パルスサーベイの活用(定点観測)
といった取組みを伺うことが増えてきました。
人的資本経営やウェルビーイングという言葉がよく聞かれるようになりましたが、そのベースには心身の健康(労働安全衛生)があります。
ストレスチェックの有効活用に向けて、全国平均・業種平均をベンチマークに自社の立ち位置の把握、
そこからの高ストレス者ケア・対策を検討してみてはいかがでしょうか。
さいごに
FiNCでは、ストレスチェック57問を内包した97項目のサーベイをご用意しております。
ストレスチェックで見えるメンタルだけではなく、エンゲージメントやフィジカル。
生産性の観点では、プレゼンティーズム・アブセンティーズムの数値化や生産性を下げている要因分析まで可能です。
人的資本経営、情報開示に向けてサーベイが乱立している企業様も多く見受けられます。
サーベイ回答する従業員の負担、従業員へ回答を促し・結果を分析し対策をうつ担当者の負担を考えると、1つのサーベイでストレスチェックだけでなく、各種数値化を狙う効率的な方法もございます。
無料相談会(30分)も行っておりますので、
お気軽に御申込ください。
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