ほうそう
キャトルカール裁判長の噂は塀の中で聞いたことがあった。
卵砂糖バター小麦粉四方がすべて同量になるように、彼の天秤は一分の隙も許さない。
盃した兄弟の傍聴席でフィナンシェヤクザはその髭を眺めていたが、横に座ったのは因縁のマドレーヌマフィア。
ごわついた囚人服ではない。
仕立ての良いライトグレーのスーツから見える柄シャツは、檸檬イエローの地にパステルカラーでお菓子の包装紙のようだ。
久しぶり。
「知り合いですか」
狭い世界の付き合いがね。
マーさんの囁きが近くて裁判長の話が届かなくなる。
このあと時間あるかな、まさか勝訴を持って走り出したりしないだろ?
からかうように微笑む。
今はあっち側じゃないんだ、飯でも行こう。
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