母の名は。 第11回・とうやときたかむい
第11回は
ちょっとしたスーパーなら見かけるようになってきた
「とうや」と「きたかむい」
を紹介します。
黄色い爵位
まずは「とうや」から
母:ジャガイモシストセンチュウに強い「R392-50」
父:Yウイルスに強い「WB77025-2」
また両親の名前が覚えられないやつだ
とにかく病気に強くしようという意思は感じる。
1992年に農林認定されると共に北海道の奨励品種に認定され、その年に種苗法上の登録出願、
1995年に品種登録
名前の由来は洞爺湖にちなんでいる。
洞爺湖自体はアイヌ語の「トヤ(to-ya)」(湖・岸)に由来。
へぇ、アイヌ語にちなんだ北海道の地名っておもしろいよね。
JAきたみらいなどでは「とうや」のことを「黄爵」の名称で出荷している。
侯爵とかけて黄河的な読みで「こうしゃく」って読むのかなと思っていたのだが、
じゃがいも料理専門店のお姉さんは「おうしゃく」と言っていた。
お、おう。
男爵があまりにも有名になったから
伯爵(ワセシロ)やら紅爵(紅丸)やら爵位をつけたくなっちゃうのね。
北海道にお住まいの方がおすすめじゃがいもに挙げてくださった品種でもある。
芽が浅く、丸いのが特徴で、皮剥きがしやすい、いいことだ。
果肉は黄色く粘質で、
……あ
「粘質(ねんしつ)」と「粉質(ふんしつ)」の話をした方がいいね?してなかったね?
説明してないのに、ここまで普通に使っちゃってたかな、すまねぇ、伝わってた?
じゃがいもの性質を説明するときに、
粘質と粉質という単語がよく出てくる。
わかりやすく言うと
メークインみたいなのは粘質、つまりしっとり煮崩れしにくいのは粘質
男爵みたいなのは粉質、つまりホクホクが強いのは粉質
なんとなく字面でイメージつくといいのだけれど
かならずしも杓子定規に切り分けられるわけではなく、
粉質と粘質の中間みたいな肉質ももちろんある。
……はっ、肉
フルーツでも果肉という言葉を使うから、なんとなく使ってきたけれど
じゃがいもの皮をむいた中身の部分は
肉、果肉と呼んでいる。
白き肉がしっとりと……えろーい!みたいな感じでお楽しみください。
んで、
戻ってきまして
とうやは
粘質
あまりほくほくした感じにはならない
なめらかな舌触り
味もわりとあっさり素直
粘質なので、煮物に最適。
粘質のじゃがいもが好まれる関西・九州方面で評価が高まりつつあるらしい。
そしてそして
ヘルシーなんですよ、この黄爵様は!
芋は太る太ると言われ続けるのも
ワテクシちょっと不服なんですが
まあ、
ジャガイモの中でも
でんぷん質が少ない芋はカロリーが少なくなる。
なので男爵よりもとうやの方がヘルシー。
道内の会議では、でん粉価が低く、食味の評価は必ずしも芳しくなかったのだが
室長の巧みな弁舌により、
なめらかな舌触り、でん粉価の少なさを逆手にとって低カロリーでヘルシーなことを強調し
シャキシャキサラダなどの調理法の提案などで、食味に対する悪評を払拭したらしい。
農林水産省北海道農業試験場の梅村室長……つよい。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性はあるが、疫病には弱め。
神秘の森のかむいちゃん
続きまして「きたかむい」
画像提供:日本いも類研究会
母:イエローシャーク
父:とうや
とうや様のお嬢様ですよ!(性別は個人的な思い込み)
お母さんの「イエローシャーク」は株式会社サカタのタネが育成した「ラセットバーバンク」の血が入っているらしい御方
ここで言いたいのは
とうやが黄爵とも呼ばれることはお話ししましたね?
黄爵……
黄色い……爵……
イエロー……シャーク……
え、だじゃれカップル?
ジャガイモシストセンチュウに強くて、さらに早く育つ品種を作ろうという目標のもと育成された。
2007年登録
かむいちゃんは、
見た目はお父さんのとうやと似ているんだけど
果肉は真っ白
娘ちゃんらしく、とうやよりさらにきめが細かい
美人か!(落ち着いて)
特徴としては
甘くなるってことですね
収穫直後と越冬させた時の味の変化が大きい。
じゃがいもが貯蔵して甘くなるのは他の品種にも言えるのだけど(サッシーとか変わらないやつもいる)
きたかむいは甘みとコクの増し方が顕著
そしてほくほく系の粉質
なので、
コロッケやポテトサラダにはすごくいいと思う。
コンビニのセーブオンでは、
きたかむいを使用したコロッケが売ってたことがあるみたいなんですが、
ほんとですか?
湖池屋がじゃがいも心地でポテトチップスを出していたこともあった。
よくねたいも
ホクレンがよくねた野菜というシリーズを売り出していて
スーパーでもたまーに見かける。
「CA貯蔵」という酸素をコントロールした保存法で
じゃがいもの発芽を抑え
長期間品質を維持していくことが可能になっただけでなく、
低温で長い間眠らせることで、
じゃがいものデンプンを糖に変化させる。つまり甘みが増しているらしい。
きたかむいもこのラインナップにいる。
これに着想を得て、
私の相棒・文野華影さんが「おやすみアイドルー、よく寝る馬鈴薯ガールズです!」というアイドル物の擬人化小説を書いてくれた。
「キタアカリ」と「きたかむい」と「ひかる」がアイドルなの。
芋が歌って踊って野菜がペンライトを振る。
気になる方は
下記のじゃがいも擬人化小説ダウンロード販売から
BOOTH⇒The Hidden Treasure われは妹思ふゆえに芋あり
らんらんチップ
とうやの子の「らんらんチップ」が活躍するSSならある。