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ゆいごん

若頭はこの夏よく見かけるレモネードの氷を揺らし、扇子をあおいだ。

「オヤジはもうだめだな、ずいぶんしぼんだ。見舞いに行ってもうわごとしか言わない。せめて誰が継ぐか皆の前で残してほしいんだがな」

遺言くらい書いてるんじゃないですかね。

南雪は爆発的なブームではないがたまに見かけるバナナジュースを吸って答える。

「姐さんがいるうちは、ガサ入れるわけにもいかん。俺と代行、どっちに付くかでその先変わるぞ」

跡目は内部戦争であり双方に傷を残す。

頷きながら、組の長が寝かされた座敷を思い浮かべる。

枯れ枝の指が震えて示した床の間の飾り、台座の下。

親分は何故俺だけにそんなことを伝えたのか、危険な謎だ。

だが使わぬ手はない。

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雲形ひじき
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