しってる
警部からの呼び出し、怪盗の予告現場にいた流れ者が阿呆のようにお前の名前を繰り返すと。
対面した旅のごろつきは「ヴェネツィアで迷子になったら、悲しそうな顔でサンマルコと言うだけで誰かが広場に連れてってくれる。手っ取り早く会いたかったんでね」並びの悪い歯を見せて笑った。
「気は済んだか」
「いんやまださ。例えば、金塊型のマドレーヌ」
フィナンシェヤクザの表情が凍る。
「数はまだわずかだが、あのみょうちきりんはなんだ?どの組が使う焼き型かなんてあんたお見通しだろ。上に黙って何企んでんの」
「関係ない」
「つれないねぇ、マーさんにもそう言うのかい」
どこまで知られている。
「一枚噛ませろよ、南雪君」
面倒なことになった。
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