かんろく
「マリトッツォ党のことを知りたいのだろうが、私のファミリーは手を出さないことにしている」
ドンフォカッチャは椅子に背を預け、手指を交差させた。
「頭が真っ白になる快楽は金になるが危険も孕む。なにより続かない、一時的だ。フィナンシェヤクザ、お前の組もタピオカをシノギにしなかっただろう? つまらないと笑うやつもいるが」
ドンはそこで肩をすくめてみせた。昔から窯で焼き続けられたものを私は信じているのさ。
「だからドンは長生きだ」
「その通り」
「波はいつ引くかも、いつ寄せるかもわかりません。タピオカは3度、近頃はカヌレも再熱ときている」
「焦らず見極めることだ」
南雪は老人の昔話を傾聴しながら、次の手を考え始めた。
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