母の名は。 第16回・アンデスレッドとレッドムーン
今日は赤い皮の世界
中でも間違えやすい
「アンデスレッド」と「レッドムーン」
をやっていくよ
テストによく出るので違いをしっかり押さえよう(出ません)
ながさき黄金とホッカイコガネ(第9回)は
肉の色が黄色いから「こがね」だったわけだが、
今回は皮が赤いから「レッド」である
赤い皮のじゃがいも
前回紹介した「西海31号」は
皮のみならず中まで赤かったが
皮が赤くても肉は黄色だったり白色だったりするものもある。
第4回の「紅丸」が、皮が赤いからって見捨てられそうになったくらい
日本ではまだそんなに馴染みがない気もするが
スタールビー、ベニアカリ、インカルージュ、アイノアカ、ロザンナ、シェリー、花標津……実はいろいろあるから!
海外のお芋写真でちょいちょい見かけるし
映え(バエ)ると思うんですよね
今後ブームが来るかもしれないよ
アンデスレッド?レッドアンデス?
まずは「アンデスレッド」
画像提供:日本いも類研究会
しょっぱなからこいつが曲者でして
名前がいろいろある
「アンデス赤」「ネオデリシャス」「レッドアンデス」、「アンデスレッド」、「アンデス」
アンデスレッドかレッドアンデス、どっちですか!?
と両方の商品名を見かけるたびに、間違いはどっちだ……と思ってきた。
「アンデス赤(あんですあか)」は
岡山県のばれいしょ採種農家が、在来種として栽培を繰り返し、市場に出したときの呼称
その後、麒麟麦酒株式会社が「ネオデリシャス」として品種登録を出願
出願はしたが、取り下げられた。どうでもいいけどデリシャスってりんごっぽいな(リンゴ脳)
なので、まあどれも間違いではないのですな。
私個人は語感的にも後述のレッドムーンと分けるためにも「アンデスレッド」と呼ぶのが好き。
母:アーリーローズ
父:ソラナム・フレハ
お母さん「アーリーローズ」は明治時代にたくさん作られていたお芋
北海道で栽培が終了した後も岡山県で細々と栽培が続けられていたようだ。
「セトユタカ」といい、岡山県とじゃがいもの関係について調べた方がいいですか、そうですか。
お父さんは南米アンデス原産
皮は薄い
中の果肉は明るい鮮黄色(カロテンだねぇ)
果肉に紅がさすものもある
形はやや男爵に近い丸いこぶし状。
粉質なので加熱するとほくほくした食感に
煮くずれしやすいので煮物はNG
つぶしてコロッケやサラダ、マッシュポテトにしよう。
ポテトフライやじゃがバターもOK
シネマ芋先輩がお料理記事を書いていましたぞ。
休眠期間が極端に短く、すぐに芽が出るので、長期保存には向かない。
キッズ!
アンデスレッドをネオデリシャスで登録しようとしていた
麒麟麦酒株式会社(キリンビールよ)が登録した品種に
「ジャガキッズ」シリーズがある。
「アンデスレッド」を材料として、うんたらかんたらいう細胞から植物を再生させ、
原品種より優れたものを選抜・育成したという
日本で最初のバイオテクノロジー利用による品種。
なんだかすごいやつ(思考停止する文系)
皮が赤い「ジャガキッズレッド」と、
皮が紫色の「ジャガキッズパープル」
画像提供:日本いも類研究会
1994年登録
ホクホクだけど、疫病に弱く、休眠が短く、長期の貯蔵に向かないのでごく少量しか栽培されていない。
赤い月
よし
「レッドムーン」
いくぞ
画像提供:日本いも類研究会
サカタのタネという会社が開発販売している品種。
アメリカの種苗会社から導入した種子を選抜してできた固定品種で
1991年に登録
出願時の名称は「レッド エコー」
出願時と今で名前が違うのはちょいちょいある。
沖縄では「紅じゃがいも」と呼ばれる
沖縄でもじゃがいも育つのほんとすごいよね、北は北海道から南は沖縄までって堂々と言えるぞじゃがいも。
皮が赤くて果肉は濃い黄色
肉の色までアンデスレッドと似てんのかよ、見分けは!?と思った方
こちらやや長めの楕円形でございます。
「紅メークイン」や「レッドメーク」という名前で売られていることも。
つ・ま・り
アンデスレッド……赤い男爵
レッドムーン……赤いメークイン
性質も見た目通りで
アンデスレッド……粉質
レッドムーン……粘質
書いときなー書いときな―テストに出るよー
ま、皮が赤くて中が黄色くて細長かったら
サツマイモじゃーん
って思いますけどね、ほんのり甘みもあるし
カレー・シチュー・おでんなど煮込む系OK
茹でても焼いてもおいしいが、
揚げ物はNG
油でべちゃっとしやすいので、少量で炒めるにとどめた方がよいとのこと
なんであんまり見かけないのかな~と思っていたが、
サカタのタネは固定化の際
機械を使った大規模栽培ではなく
家庭で育てやすいジャガイモを目標にしていたようだ。
家庭菜園向けなのね。
シネマ芋先輩がお料理記事を書いていましたぞ。