おおかみ
飼い犬が野スコーンに噛まれた。
フロランタン偵が硬い体を盾にして引き離し大怪我には至らなかったが、ここ数日は居間のバスケットに丸くなって散歩も催促しない。
クイニー。
スコーンは裂けた強靭な顎に白い泡や赤い粘液をしばしば滴らせており、探偵から見ても結構怖い。
極道者が本部の番犬に好むイメージがあるが、逃げ出したのか飼いきれず捨てられたのか。
「行ってくるよ」
クイニー。
「大丈夫、一人でもうまくやるって。君ほど鼻はきかないけど、尾行中はこけない、証拠もなくさない」
安心させるように背中を撫でる。
雨夜の捨犬は今では優秀な相棒だ。
「お土産はピスタ……」
アマン!アマン!
毛に埋もれた飴のように艶やかな目に光がともる。
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