母の名は。 第15回・西海31号
noteを始めて1ヶ月ですって。
よく毎日毎日芋についてしゃべってたな。
ストックもないので、その日思いつくままに書いていた。
これが同人誌の原稿だったら、すごく捗ってるのでは……(別の原稿的なサムシングから目をそらしながら)
今日は中までピンクのお芋の話だ。
ピンクといえば、第6回でもノーザンルビーを紹介したのだけど
今回は北海道ではなく西のお芋
「西海31号」(さいかい31ごう)
「~号」の名前は頭に入ってこないと
「農林1号」(第14回)の回で言ったばかりだが
「西海31号」で品種登録されているんだもの!
ドウシテ……
同じ長崎で地方番号を振られたお芋でも
西海30号は「さんじゅうまる」(第10回)だし
西海37号は「ながさき黄金」(第9回)なのにぃ
でも、商標登録があるので
お店で見かけるときは
「ドラゴンレッド」もしくは「Ladyj」で販売されているかもしれない。
ドラゴンとレディってずいぶん世界観ちがくね?
プロデューサーが違うのでしょうがないが、私は最初混乱した。
でも、混乱したおかげで西海31号のことは号だけど他の品種名と同じように覚えた。
カラフルチップスが必要だ
母:でん粉含有量が高くて形が良い「96016-8」
父:赤皮・赤肉の系統「長系115号」
系譜図を見ていると母方のおばあちゃんと父方のおじいちゃんに「アイノアカ」(第10回)がいる。
長崎県の農林技術開発センターで育成
2009年に品種登録
表面の皮だけでなく
肉も赤いのが特徴
濃淡が多少マーブル状にあるが、
赤い色素のアントシアニンが
100g中100㎎も含まれている。
アントシアニンはポリフェノールの一種で
よく目にいいと言われるブルーベリーなんかにも含まれているね。
抗酸化作用、がん予防効果、視機能改善作用……
機能性食品じゃん
お花もピンクだし茎も紫なのでかなり赤い子
見た目はメークインぽい長楕円形、目はとても浅くてすべすべ
肉質はメークインと男爵の間、ホクホク過ぎない。
ポテサラ、ポテトチップスでその綺麗な色が発揮されるので
アントシアニンが流出しないよう皮付きでゆでたり、揚げたりするのがよい。
長崎の農林技術開発センターはじゃがいもの研究成果をサイトにアップしていて
品種ごとに「育成のねらい」みたいなのも明記されているのが面白い。
ざっくり書くと
じゃがいもの国産需要は調理用が減少、加工用が増加傾向にある。
加工用は冷凍の輸入が多く、国産比率は4割にとどまる。
国産のポテトチップスの原料は2~6月に不足傾向にあるので
メーカーは暖地の春作の生産拡大を望んでいる。
ポテチの原料となるにはでん粉価の高いことが求められるが、
アントシアニン色素を含む赤肉じゃがいもは、普通の芋よりも収量が少ない上に
西で作ると小っちゃいしでん粉価が低くなっちゃう。
規格を満たす栽培技術を確立しなくちゃ!
しかも近頃の消費者は健康指向。高品質で安心安全な食品を食べたがっている。
新規需要の開拓・拡大のためには
栄養・機能性成分があって加工適性の高い品種を育成しなくちゃ!
ということで登場したのが西海31号!!
みたいな
おかたい真面目な文書なんだけど、読んでいて楽しい。
西の子なので春と秋2回作れる
秋作も可能な赤色おじゃがはまだまだレアでしてよ!
春作の方が色が淡いほんのり桜、秋作は濃くなってワイン色になるらしい
春作は8月くらいまで加工に使用できる、課題クリアー
ポテトチップス適性はトヨシロ(第12回)並、おっけーおっけー
ドラゴンなの?レディなの?
JA全農が「ドラゴンレッド(龍赤)」として商標登録している。
よってJAを通じて出荷されたものは「ドラゴンレッド(龍赤)」の名前で販売される。
ドラゴンレッドという名前のほかに「Ladyj」という商標登録もある。
私がスーパーで購入した時も「Ladyj」の商品名だった。
これは長崎出身の野菜ソムリエ吉開友子さんが命名
このお芋に惚れ込み、パッション100%の想いで販路を探したところ
あのマツコ絶賛ポテチで有名な菊水堂とご縁があって
赤いポテトチップスを製品化した。
菊水堂はその前から所沢市の農園と協力して「ノーザンルビー」で赤いポテトチップスを作っていたが
収穫量が少ないのでなかなか出回らない。
少ないってことは原料としては割高だしね。
で、「Ladyj」のポテチ、発売当初はサイトで瞬殺されていたようだが
供給が増えてきたのか
私も今年、成城石井で見つけて食べてみましたよ。
シンプルな味付けで
スナック菓子というよりは
とても芋を味わえた。
通年商品ではないので、見かけたらチャンス、試してみるのもいいかも。
芋翻訳
皆さんご存知のように
「芋文芸」という文芸ジャンルは
今のところ
ない!
じゃがいも擬人化小説も
熱心に探したわけではないが書いている人にはまだ出会っていない。
(雲形ひじきと文野華影以外に書いている人がいたらぜひ教え欲しい、求む情報)
今回、私は新たな芋文芸として
「芋翻訳」
に挑戦した!
……芋翻訳……とは?
芋翻訳というのは、文学作品の主モチーフをじゃがいもに置き換えてみることである、たぶん、今のところ。
どう考えても
人様の立派なお話に芋要素をぶっこんでいく
正気の沙汰とは思えない所業なのだが
書いてしまったものはしょうがないので、ここに紹介しておく。
赤竜と龍赤の名前が似ているからという
ただそれだけで
クライマックスな場面の
竜を芋にした。
読めばドラゴンレッドの特徴と、じゃがいも全般におけるソラニン中毒の症状はわかる(かもしれない)
そんなことより、剣士と赤竜はいいぞ……カクヨムでいつでも読めますぞ……