バリュエーション②
本日は評価手法について整理していきたいと思います。
もし良かったら、前回の記事もご覧ください。
評価手法の外観
前回説明したバリュエーションとは、一定の前提に基づき「価値」を算定することでした。
価値には3つの側面が存在しております。
収益性
市場性
費用性
上記の3つの側面に合わせた評価手法があります。
収益性
収益性を評価する手法としては、インカムアプローチである。
インカムアプローチとは、将来獲得されるリターンを該当するリスクが反映された割引率にて現在価値計算することで価値を評価するアプローチである。
つまり、インカムアプローチで注目すべきものは、
将来キャッシュフロー & 割引率
インカムアプローチの代表的な手法としては、DCF法、配当還元法、収益還元法となります。
DCF法
DCF( Discounted Cash Flow)法とは、各期の将来キャッシュフローの割引現在価値を合計することにより価値を評価する方法
配当還元法
配当還元法とは、配当金の割引現在価値により価値を評価する方法
収益還元法
収益還元法とは、正常利益を資本還元して価値を評価する方法
市場性
市場性を評価する手法としては、マーケットアプローチである。
マーケットアプローチとは、評価対象自身または類似会社等の市場データとの比較から、評価対象の財務数値に倍率を乗じて価値を評価する方法
つまり、マーケットプローチで注目すべきものは、
財務数値 & 倍率
マーケットアプローチの代表的な手法としては、類似会社比較法、市場株価法、類似取引比較法となります。
類似会社比較法
類似会社比較法とは、上場類似会社の事業価値や時価総額に対する財務数値の倍率を基に価値を評価する方法
市場株価法
市場株価法とは、上場会社の株式市場において観測される株価を株式価値とする方法
類似取引比較法
類似取引比較法とは、過去の類似取引事例の取引金額に対する財務数値の倍率を基に価値を評価する方法
費用性
費用性を評価する手法としては、コストアプローチである。
コストアプローチとは、評価対象のBSの純資産に着目し、必要に応じて資産や負債等の価値を見直し、価値を評価する方法
つまり、コストプローチで注目すべきものは、
純資産 & 資産・負債(時価?簿価?)
コストプローチの代表的な手法としては、簿価純資産法、修正簿価純資産法、時価純資産法となります。
簿価純資産法
簿価純資産法とは、BSの純資産帳簿価額を基に株式価値を評価する方法
修正簿価純資産法
修正簿価純資産法とは、貸借対照表の純資産帳簿価額に重要な調整事項を加味して株式価値を評価する方法
時価純資産法
時価純資産法とは、BSの資産・負債を時価評価して株式価値を評価する方法
評価方法のメリ・デメ
上記で説明したように評価方法は複数あり、なぜ複数存在するのか。
どのアプローチ方法にもメリット・デメリットがあるため、1つのアプローチだけでは適正な価値を評価することが困難である。
なので、適正な価値を評価するために複数のアプローチから評価することが大切なのです。
インカムアプローチ
インカムアプローチのメリット
将来の収益獲得能力を価値に反映でき、割引率を通して投資のリスクを反映することができる。
インカムアプローチのデメリット
事業計画に恣意性が介入する恐れがある。また、中長期の事業計画の作成が困難である。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチのメリット
市場で売買されている株価や取引事例に基づくため客観性がある。
マーケットアプローチのデメリット
事業内容・事業規模等が対象会社と類似する上場会社や類似取引の選定が困難である。
コストアプローチ
コストアプローチのメリット
BSの帳簿価額に基づくため客観性がある。
コストアプローチのデメリット
将来の収益力が反映できず、のれん等の無形資産の反映が困難である。
参考
バリュエーションで参考になる書籍として、下記の書籍がエントリーとしては良い印象があります。
まず、全体感を知ることは大切かと思うので。