価格は質量の関数である
当たり前の話であるが、値段はモノの重さによって決まる。新聞の商品市況の欄を見れば、石油のようなごく一部の液体を除いて全てが一定の重さに関しての値段が書いてある。
勿論だが、だからと言って、あなたの妻がスーパーで「大きな」野菜や「きれいな」果物を物色しているの時に、「同じ値段なんだから重いのにすれば」などと非難めいた発言をしてはいけない。そんなことをしたらあなたのおかずが減らされるだけなので、我慢して優しく見守るのが正しい夫のありかたである。俺のようなヒモ暮らしをしている場合は、特にである。
家でお好み焼きをやろうという話になった時に青海苔が切れているのに気が付いたので、妻の厳命を待つまでもなく、自主的に近所のスーパーに買いに行ったのだ。普段は買わないものなので探すのに苦労したのだが、やっと見つけた。280円くらいだったと思う。
買い物かごに入れるべく手に取ってみると、これが異常に軽い。何気なく重さを見ると2.2gと書いてある。マジで卒倒しそうになった。100g当たりに換算すると1万円を越えるではないか。いやいやちょっと待て、いつもは100g500円の牛肉を清水の舞台から飛び降りるつもりで買っている俺からすると、これはもう犯罪に近い価格である。昔「(単位重量当たりでは)ふりかけはポルシェよりも高い」というのをネットで見た記憶があるが、それすら飛び越えているレベルである。
俺はすごすごと商品を棚に戻し、何か代替物がないかと探した。これがあるのだよ。「青さ海苔」といのが、その10分の1くらいの値段で売っている。きっと「青海苔」と「青さ海苔」の間には気が遠くなるような格差があるのだろう。それは理解できる。だが、俺が買うのは青さ海苔である。
きっと俺たちが普段「青海苔」と呼んでいるものの大半が、実は「青さ海苔」なのだろう。お好み焼き屋がそんな高い海苔使う訳がないもんな。
こうして、俺はまた新しいことを学ぶことが出来たのだよ。