[B]1384 ホクリヨウの財務株価分析(25年3月期1Q)

1.決算と財務情報の詳細分析

2024年の第一四半期決算から見ると、株式会社ホクリヨウの経営成績はやや厳しい状況が続いています。売上高は4,386百万円と前年同期比7.7%減少し、営業利益は前年同期比で72.6%減の249百万円、経常利益は70.9%減の270百万円、四半期純利益も69.5%減の186百万円と、すべての主要指標で大幅な減少を記録しました。

主な要因としては、鶏卵相場の下落、円安によるコスト上昇、特に飼料価格が安定基金の減少により上昇したことが挙げられます。これにより、売上は減少し、収益性も大きく低下しています。また、総資産も前年同期から664百万円減少し、17,100百万円となり、純資産も12,163百万円に減少しました。しかし、自己資本比率は71.1%と高水準を維持しており、財務的には安定しています。

2025年3月期通期業績の予想では、売上高19,180百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益1,370百万円(39.0%減)、経常利益1,430百万円(38.3%減)、当期純利益960百万円(42.0%減)と、今後も引き続き収益性の低下が見込まれています。

2.株価・出来高・信用残から見える投資家からの反応

株価は、2024年8月から9月にかけて約950円から980円の範囲で推移しています。出来高は比較的安定しており、日々の取引量も数千から数万株と堅調です。しかし、株価の変動は小さく、強い上昇トレンドや市場からの積極的な買い意欲は見られません。

信用残の状況を見ると、買残が高水準で推移しており、特に8月9日には170,800株の買残が記録されていましたが、その後は若干減少傾向にあります。売残はほぼゼロであり、投資家は今のところ強気でホールドしているものの、積極的な売買が行われているわけではないことがわかります。信用倍率が100倍を超えており、信用買いの残高が非常に高い状態であるため、調整局面が訪れるリスクもあります。

3.今後の展望

今後の展望は、依然として厳しい状況が続くと予想されます。主力事業である鶏卵の相場が下落基調にある中、同社は差別化卵の拡販を推進していますが、業務用需要の回復が遅れているため、相場が回復するまで時間がかかる可能性があります。また、飼料コストや物流費、人件費の上昇といった外部要因が、今後も収益に対して大きな圧力をかけ続けるでしょう。

一方、自己資本比率が71.1%と非常に高く、財務的には安定しているため、急激な財務悪化のリスクは低いです。また、今後の展望としては、鳥インフルエンザの再発生がどのように経営に影響を与えるかが注目されます。この外的要因が今後の業績にどれだけ悪影響を及ぼすかが大きな鍵となるでしょう。

4.総評

2024年の第一四半期決算を見る限り、売上・利益の大幅な減少に直面しており、鶏卵市場の下落やコスト上昇が業績に悪影響を与えています。ただし、自己資本比率の高さから財務基盤は堅固であり、短期的な危機感は薄いものの、業績改善には時間がかかると予測されます。今後の鶏卵相場やコスト削減努力次第では、回復の余地はあるものの、外部環境の影響が強く懸念される点も多いです。しかしながら、売上や利益が大幅に減少しているが、財務基盤は安定しており、自己資本比率が高いため、短期的な倒産リスクは低い。鶏卵市場の回復やコスト削減の努力が今後の業績改善に寄与する可能性があるが、業界全体のリスクは依然として高い。従って、Bランクとすることが妥当と判断しました。

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