[B]1380 秋川牧園の財務株価分析(25年3月期1Q)

1. 決算と財務情報の詳細分析

2025年3月期第1四半期の連結決算では、売上高は前年同期比2.8%増の18億69百万円と増収となったものの、営業利益は69百万円の損失(前年同期は27百万円の利益)、経常利益も45百万円の損失(前年同期は69百万円の利益)と減益が顕著です。親会社株主に帰属する四半期純損失は36百万円であり、前年度の50百万円の利益から大きく後退しています。

原因としては、人件費や物流センターの減価償却費が増加していること、さらに円安に伴う飼料価格の上昇がコストを押し上げている点が挙げられます。ただし、売上高の増加は製品価格の値上げ効果が一部反映されており、コスト増加分を吸収しきれなかった形です。

また、2024年3月期の決算では、売上高が前年比4.6%増の73億92百万円となりましたが、営業利益は11百万円(前年は19百万円)と依然低い水準にとどまっています。これも、コストアップ要因に対して売上増が十分に貢献できなかった結果です。

財務面では、総資産は69億63百万円と安定しており、自己資本比率も30.4%(前年度31.0%)と財務健全性は維持されています。しかし、現金及び預金の減少(95百万円)や長期借入金の減少(75百万円)が見られ、キャッシュフローの厳しさがうかがえます。

2025年3月期の配当予想は10円で据え置かれています。配当性向は42.4%と高めですが、経常利益の減少を考慮すると、将来的な配当の維持が課題となる可能性があります。

2.株価・出来高・信用残から見える投資家からの反応

2024年8月から9月初旬にかけて、秋川牧園の株価は概ね1,000円前後で推移しており、8月の高値1,045円からわずかに下落しています。この期間の出来高も少なく、取引が停滞気味であることが示唆されます。特に8月5日には一時的に982円まで下落する場面もあり、短期的には下値を模索する展開が続いています。

信用残は、信用買い残が一貫して2,700~5,000株の範囲で推移しており、売り残はほぼゼロの状態です。このことから、投資家の間では買い意欲がそれほど高くなく、株価の上昇期待は限定的であることが示されています。

3.今後の展望

今後の展望として、秋川牧園は中国市場の拡大や、物流センターの効率化、値上げ効果の浸透が見込まれますが、依然として円安やコスト高が業績に与える負担は大きいです。直販事業においては、コロナ禍の特需が終わり、厳しい競争環境に置かれています。

また、飼料価格の高止まりや賃金上昇に対する対応策が重要となります。新たな成長エンジンとなる事業の拡大にはまだ時間がかかる見込みです。

4.総評

秋川牧園は、一定の売上増加を達成し、財務基盤も健全に維持されていますが、利益面での厳しさが目立ちます。配当政策は堅持されていますが、今後の業績次第では見直しの可能性もあるため、積極的な投資判断には慎重さが求められます。成長余地はあるものの、短期的には厳しい状況が続く見通しです。従って、Bランク評価が妥当だと考えます。

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