[B]1430 ファーストコーポレーションの財務株価分析(24年5月期4Q)

1.決算と財務情報の詳細分析

2024年5月期の連結業績を見ると、売上高は28,485百万円で前年比11.5%増加していますが、営業利益や経常利益はそれぞれ26.7%減少、28.1%減少しています。特に親会社株主に帰属する当期純利益は944百万円で前年比30.8%減と大幅な減少を見せています。この減少は主に、建設資材価格の高騰や労務単価の上昇による影響が強いと考えられます。また、2024年5月期の自己資本比率は35.7%と前年よりやや低下していますが、依然として財務的には安定しています。

営業活動によるキャッシュフローは-1,573百万円と大きな支出を示しており、これは売上債権の増加や棚卸資産の増加が主な要因です。また、財務活動によるキャッシュフローは720百万円の収入となっており、短期借入金の増加が現金を支えています。これらの動きは、企業の成長が一時的に停滞しているものの、持続可能な資金調達能力を持っていることを示唆しています。

2024年5月期の配当は31円で、前年の35円から減配となっています。配当性向は39.2%と上昇していますが、これは純利益の減少に伴うものであり、企業は配当水準の維持を図る姿勢を見せています。

2.株価・出来高・信用残から見える投資家からの反応

024年8月から9月にかけて、株価は746円から764円のレンジで推移しています。特に大きな変動はなく、安定的に推移していると言えます。しかし、信用残の状況を見ると、買残が増加し、売残が減少していることから、投資家の強気な姿勢が見られます。これは、長期的な業績改善への期待があることを示唆しています。

出来高の推移を見ると、安定して取引が行われており、市場での注目度が高いと考えられます。大きな売買が集中していないことからも、株価の急激な変動は避けられている状況です。

信用買残が増加傾向にあることは、投資家の強気な見方を示している一方、売残は横ばいもしくは減少しており、将来的な株価上昇の余地があることを示しています。これにより、今後の株価が緩やかな上昇トレンドに向かう可能性が高いです。

3.今後の展望

建設業界においては、建設資材価格の高騰や労務費の上昇が続く見込みですが、住宅市場の需要は依然として堅調です。特に東京圏におけるマンション着工数の増加と販売在庫の減少が見込まれており、ファーストコーポレーションにとっては順調な受注が期待できます。また、同社は新たな中期経営計画「Innovation2023」のもとで、事業の拡大と収益の向上を目指しており、これが将来的な株価上昇の要因となる可能性があります。

2025年5月期の業績予想では、売上高が34,500百万円(前年同期比21.1%増)、営業利益が2,250百万円(同54.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,500百万円(同58.7%増)と、大幅な回復が見込まれています。これにより、今後の株価に対するポジティブな材料が揃っていると言えるでしょう。

4.総評

ファーストコーポレーションは、短期的には利益の減少や配当の減少が見られましたが、売上高の増加や業績の回復基調が期待されるため、今後の成長性は非常に高いです。信用残や出来高の動向からも、投資家は引き続き強気な姿勢を示しており、株価の上昇トレンドが期待されます。財務面でも安定しており、大幅なリスクは見られませんが、資材価格の上昇や労務費の圧迫が業績に与える影響は今後も注視が必要です。

これらを踏まえると、現時点Bランクの評価が妥当であり、今後の改善が見込める状況にあります。

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