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【小ネタ】税理士試験(R6)財務諸表論の邪推 

※ 2024年12月1日、「後日付記」を付しました。


注意喚起


この文章は、次のようなものです。

建設業会計などに端を発し、財務会計への興味を持った行政書士が、無謀にも(独学)税理士試験の財務諸表論にチャレンジをしております。

今年は受験業界ジンクスというか、「4年ほどの周期で巡っているが、今年は製造業会計が出るのではないか?」という記述を複数回見かけたのですね。

そういう文脈において、同じ立場で試験に臨む(であろう)読み手を面白おかしい気分にし、楽しく読んでもらいたいという意図で邪推を展開するものです。

要するに、製造業に無理矢理紐づけたヤマ張りなのですが、そもそも、便乗しようとする上記の周期の設定自体、外れているかもしれません。

例えば、4年というけど最近は5年にシフトしていこうと試験委員が模索していて、見事に今年ははずれた(そしてなんと来年出る😅)とか。

ですので、「このヤマ張り、枠として製造業が出なかったら、この人どうするんだろう?」という冷静なツッコミの眼差しを忘れることのないようにお願いいたします。😅


連想と邪推と

数学は得意じゃないんですけど、思考の補助線を引くところから。

冒頭にも書いたのですが、僕は建設業会計のほうに今の軸足があります。

建設業経理士1級という試験は、奇遇にも(?)税理士試験と同じ仕組みを採用している一面があります。相似形というか。

それは、科目合格制ということです。
税理士試験は5科目取得、建設業経理士1級は3科目取得で合格です。

後者のいう3科目とは、次のものです。

  1. 財務諸表(税理士試験とは形式が結構違うけど)

  2. 財務分析

  3. 原価計算

ようやく、この辺から補助線になってくるんですけど😅、引いたら引いたで込み入っても来ます。

税理士試験の財務諸表論は、簿記論と併せて「簿財」なんて略されたりします。適性が高いと、2科目同時に取ってしまう人も居ます。

人により、分量の喩え方は違いますが、内容が相互補完しているので、1科目半くらいの労力で行けるなどとも評されています(僕はそんな器用じゃないので察してください)。

ところでですね。
その相互補完しているという簿記論の試験の出題範囲は面白いのです(リンクご参照)。

ただし、原価計算を除く。

出典:国税庁ホームページの税理士試験コーナー「試験日程・試験科目について」
「問1 試験日程と試験科目(出題範囲)を教えてください。」

翻って、建設業経理士1級だと、
「建設業会計としての原価計算」とは何をするか?

正式には工事原価ですが、業名にちなんで言うと、
製造業界における製造原価よろしく、「建設原価」を求める
わけですよ。

だとすると、
「財務諸表論で製造業会計が出る(かも)」と
予測のエキスパートたちがいうのであれば、
それは製造原価を求める原価計算こそが本丸でなくてはおかしい(強弁)。

損益計算書の添付書類として、原価報告書がないと粗利益もわからないですよね😅(ご参考:なのに作成義務は上場企業だけ😅)

なんですかこれは、出来レースかなにかですか(邪悪な推論、略して邪推)。

ただね、今申したことは、財務諸表論と併せて学ばれる簿記論においてであって、当の財務諸表論で原価計算が出ないなんて一言も書いてはいないんですよ(上掲リンク先の図表ご参照)。

でも、併せて学べるくらいだったら、原価計算、なるほど日商簿記の工業簿記みたいに注力しては学ばなさそうですよね。

(商学部や経済学部の会計授業経験、あるいは会計資格予備校経験がないため、カリキュラム内容も邪推…いやこの辺は合理的な推測を自称しておくか…😅)。

込み入ってまいりましたが、
補助線としては要するに、

製造原価を微に入り細を穿つように求める原価計算形式の問い方にはしないけれども、製造業の会計周辺に及んでいる論点から遠隔射撃してくるってことかな?
ということなんです。


リスト…らしきもの

連想と邪推とで成り立つピックアップをしてみたのです。

  1. 繰延資産

  2. 収益認識基準

  3. 期末棚卸資産評価

  4. 減損会計

  5. 減価償却


1. 繰延資産

僕が個人的に興味半分・茶化し半分で面白いと思っているものが、この繰延資産なるマジックワードなんです。ホントにマジックワードで。

繰延資産とは、すでに対価の支払いが完了し又は支払い義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。

製造業会計に因むものだと、開発費、研究開発費😅

太文字にした通り、これはコストなんですよ。

理系の人はもちろん、文系の人間でも自明なように、開発にお金を投じたからといって、成功するとは限りませんよね?😅

でも日本人、「努力はお前を裏切らない」って好きじゃないですか?

それで、効果が将来に発現するものと期待されたら資産に計上できるんですよ。な、なんだってー!

てなわけで、既述のお約束通りに捉えれば(しつこい)、
この試験では原価計算しないのにもかかわらず、

製造業が、例えば先日お茶の間を賑わした(あれは製業か)、紅麹みたいな新しい有効成分(あれはいわば無効成分…どころか有害物質でしたし、製造企業自身に打撃を与えましたが…🥶)を開発するのにかかったコスト

そういったものの会計処理だとか理論について、別建てで訊かれることはありうるんだろうなと(邪推その1)。


※ 比較で面白いもの

上記の話は、開発してきた費用が、まだ権利まで高まっていないのに資産扱いするんです。

反対に、権利まで高まったものは、
例えばロゴマークが商標権だったり、
ライセンス料を他社に要求できる特許権だったりと
いわゆる知財になって、無形固定資産に計上できるわけです。
こっちは審査庁のチェックが入って、
権利にまで高まっており内容が固定されています。

でも、繰延資産ってぶっちゃけ自称、自己判断ですからね😅
審査庁が噛んでくるって記載を見たことがないです(不勉強なだけ?)。
それを学者が認めている。
そこが限りなくグレーで面白いなと…。
これは将来効果を発現すると期待できるぞと…。
イグノーベル賞みたいなのだったら即刻アウトなんでしょうけどね…。


2. 収益認識基準

2021年4月から、上場企業や大企業に強制適用されるようになったこともあり、税理士試験でも立て続けに出題されている新基準。熱心な人たちにしてみれば、皆まで言うなかもしれませんが😅。

昨年はコロナでぶっ倒れたために現場に居ることがかないませんでしたが、昨年のはこれが絡んだんでしょうか(腹が立って、事後的に見てもいない…そろそろ分析しないとまずくないか)。

製造業会計に近似しているものだからという理由だけで、あらゆる論点を紐づけることができたら、僕ですらも出題者になれちゃいますが😅、これはあくまでもテキスト類から逆算する邪推です。

(つまり見落とし等があって、字面は接続するが、実は学者は否定しており論理的に結び付けられない、などの穴がありうる)

そういう邪推であるがゆえに笑っていただきたいんですが…例えばこの基準、有名な5ステップがありますよね?

まずステップの一段目から揺さぶる予想など。
例えば、この新基準、そもそも製造業会計は対象なのか対象外なのか

リンク先の図表のようなことを、穴埋め問題とか記号問題で仕掛けてくるとか😅。

次にステップ2で、履行義務を果たすことと収益が対応関係にあるものの典型として製造物の販売もカウントされているみたいなんですが、それを例外だと誤肢にするなど。

ただ、民法的な着想だと、契約がもちろん先に存在しているからこそ、その中身として履行義務が発生するので、契約と履行義務が合致しない例なんてあるのか?

というのが会計のテキストを読んでいて不思議に感じた所ではあります。
不勉強ご容赦😅

残余のステップ3つに関しても検討の余地があるのではないかと。
あと、原価回収基準のような、気になる名前の別基準との対照とか…。


3. 期末棚卸資産評価

いわゆるボックス図を書いて、売上原価を求める問題などに因んで、出題ができそうではあるんですが。

例えば商社のように右から左に商品を買っては売りする立場だと、棚卸資産の取得原価は購入代価に付随費用を足した金額とされます。

が、製造業会計だと、取得原価という用語の語感(外部から取得する感じ?)に反して😅、この評価の文脈においては、製造原価が取得原価なんですよね。創り出してすぐ自分が取得、の原価というか…。

言葉の数珠繋ぎみたいなんですけど、法律の思考では原則と例外というワンペアで物事を捉えます。会計における、次の記述は原則と例外です。
例えば、

通常の販売目的で保有する棚卸資産の期末評価額は、取得原価とする。
正味売却価額がこれを下回る場合は、正味売却価額のほうを採用する。

会計では、例外を許容と呼んでたりしますね。
ひょっとして、同じ法律の世界であっても、
税法の世界ではずっとこのワンペアなんでしょうか😅

ここで、例外の方の正味売却価額の定義を紐解くと、

売価から、見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除したもの

なんて表現されます。ここでも、製造原価(の仲間)が登場してくるわけです…🥶

そして、この例外の方、正味売却価額が帳簿価額を下回るような場合を、巷でも良く聞く、収益性の低下と呼ぶそうで。

回収可能なのはいくらかというふうに、将来に損失を繰り延べさせない措置をする。いわゆる簿価切り下げですが、関連して減損会計👇との対照で出たりとか…😅


4. 減損会計

上記の簿価切り下げってのは、棚卸資産、つまり販売目的の資産の話ですけれども、こちらの減損というのは、工場機械だのといった固定資産が傷んでしまって想定より長くもたない…🥶といった文脈の会計ですよね?

つまり製造業会計でも下流のいよいよ売る段階というのではなくて、上流工程のほうに話が移っていくわけです。

比較問題みたいにするとしたら、上記の棚卸資産の話の他、有価証券の価値の減損とか…😅

いや、いち受験生としては単純に、ややこしくなるので出さないでほしいですけど…🥶

ただ、これは製造原価の論点というよりも、製造現場の機械等に関わってくることです。原価ってこの辺も面白くて、材料費とか人件費とか細々割り出すのに、機械の好調不調って織り込まれないんだよなあみたいな。

なので、冒頭のアクロバット、国税庁が言う、

原価計算させないけど製造業に関することは出すことがある」

という文脈には割とすんなり収まりすぎて
逆に、頓智のようなことはないのかなあと…😅
普通に淡々と準備しておくだけしか手がないみたいな…。


5. 減価償却

個別に見たら、いわゆる会計方針として採用するのは定額法か定率法か?というようなものかもしれません。

ただ、上記の減損会計を果たした固定資産を製造業の会社が持っていたとして、減損会計後の減価償却処理って元の取得原価ベースの繰り返しでいいの?それとも減損後のほうをベースに替えるわけ?というような設問もできそうな嫌な予感もします。

答えは「減損後の帳簿価額をベースにして減価償却する」なんですが緊張していて、なぜか引き寄せられるように前者を選んだりしそうじゃないですか?(それは僕だけか…😅)

あと、製造業会計でも営業マンの人たちが営業車で駆け回るでしょうので、そのリース会計と掛け合わせての減価償却とか。蛇足ですねすいません。


まとめ?


実際に過去問や模試の精査によって
有料の情報発信している人たちから見ると、
過去に出題例もないようなことまで含めているかもしれず、
「なんて無茶苦茶な野郎なんだ…(仮)」
という内容の邪推を展開してまいりました。😅

ある意味、創作ですね(謎)。

題名は、「建設業会計をかじった奴が税理士試験目当てで製造業会計を邪推する」にしとくべきでしたか…(泥沼)。

シンプルに、「ありかも」「ねーよ」などと楽しんでいたただけたなら幸いです。

🔵ご参考:

🔵ご参考2:

この小ネタを発表しちゃってから(事故みたいな表記)、買って読んでみたのですが、やはりプロの予測は多岐にわたっており、かつ、会計基準の具体名まで列挙してあって参考になりました。

【自作を発表する前になんで読んでおかないのか少し後悔もしましたが…😅】

しかし、製造業会計に関してはやはり複数校が言及しておられ、かつ、自分の連想と邪推も、まあ、かすり傷くらいには当たっていました😅

👆僕が買ったとき、値段表示の付近に、なんと「売れています」表示が出ていました。

うーむ、有料記事でそういう表示が出る人になりたいものですね。
人気にあやかりたい😅。


▷共同マガジンの紹介

ご縁があって、3つの共同マガジンに参加させていただいております(加入順に記載)。

皆さん多作で、日々ご投稿されているようです。
もしお時間があれば、こちらからご覧になってみてください。


後日付記

結果報告はこちらです😅
言わずもがなですが😅


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