スナック忘れな草~オラシオン・2024ユニコーンS・府中市市制70周年記念~
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■ オラシオン
2024年4月26日(金)午後9時
-東京都某区 スナック忘れな草-
ユニコーンステークスの買い目が決まり、雑談タイムとなった。青葉賞については、ピンと来るものがないので、各自好きな馬を買おうということで落ち着いた。
そろそろお開きかなというタイミングで、入って来た男がいた。くろたんだった。どこかで見たことがある懐かしい勝負服を着て、手には鞭を持っている。
「ヘタな乗り方をして、申し訳ありませんでした」
くろたんはペコリと頭を下げた。
「おお!」
タコ社長がパンと膝を叩いた。くろたんは、わかってくれましたねという安堵の表情でタコ社長のほうを見た。
「あれだな!・・・なんつったかなあ・・・和歌山!和歌山四郎だ!!」
「うーん。惜しいですね。苗字も名前もその隣です」
くろたんのヒントに、麗子ママが言った。
「苗字も名前も和歌山四郎の隣・・・三重!三重三郎ね!!」
「いや、二郎だわ!大阪二郎よ!!」
ギョニ子が言った。真一郎が続く。
「ラーメン二郎!そうだ、ラーメン二郎食べたい!!」
マスターが真一郎に訊いた。
「ぼく、小さいのによくひとりで来たね。コールってわかるかな?」
「うん!わかるよ!ぼくはまだ小さくてあんまり食べられないんだ。辛いのも苦手。だから全部ふちゅーで!」
「あいよ!オールふちゅーで一丁!!」
マスターが麺を湯切りする真似をした。天空落としのスタイルだ。ギョニ子が言った。
「ふちゅー・・・・府中!!そうだわ、しんちゃんが狙い目の馬番を挙げてくれた府中市市制70周年記念を忘れてた!」
そうだったそうだったと、みんなはくろたんを放っておいて、土曜東京10Rの府中市市制70周年記念の出馬表を見始めた。
「・・って、おーーーーーい!!ひとりにすな!!奈良五郎や、奈良五郎!!」
「懐かしいなあ・・」
タコ社長が言った。
「確か斉藤由貴も出てたんだよな?」
「ええ? やだー!」
ギョニ子が両手で口を覆い、汚い物でも見るようにくろたんを睨んだ。
「ゲート入りを嫌がる馬がいたら、頭にパンティをかぶせそう・・」
「そうそう!」
真一郎が続いた。
「その横でニヤニヤしながらフルーツの盛り合わせを食べてね」
タコ社長も加勢する。
「そのパンティは超スケスケなんだよな?・・これがホントのスケマン刑事ってな!!」
「てめぇら、許せねぇ!」
叫んだのは麗子ママだった。いつの間にか頭からパンティをかぶっていて、目の部分は両方くりぬいてある。
「まぼろしパンティ!!」
くろたんが腰を前後に激しく振りながら突っ込んだ。
「この店は無法地帯か!!斉藤由貴のゲス不倫、いい加減忘れてやれ!!」
「さすがに悪ふざけがすぎました」
マスターが深々と頭を下げた。
「宮本輝の小説『優駿』を映画化したときの根本康広ジョッキーですね。奈良五郎役。映画版のタイトルは確か・・・『優駿 イマラチオ』」
「やだー!!今日子、イマラチオなんてわかんなーい!」
ギョニ子が頬を膨らませて言った。
「髪をもっと伸ばさなきゃ。ツインテールできるくらいに」
「ツインテールハンドリングイマラ!!・・最高かよ!!」
くろたんはふたたび、さかりのついた犬のように腰を激しく前後に動かした。テーブル席の女性客グループが悲鳴をあげている。
「・・・ってなにやらせるんじゃい!!!」
くろたんは手に持っていた鞭を傘立てに入れ、タコ社長の右に腰をおろした。
「根本康広厩舎のアラレタバシルを買うなら、8番のラオラシオンも買わないとだめですよ」
みんながくろたんに注目した。
「メリーナイスのダービーは3枠8番。映画『優駿 ORACIÓN』。8番にラオラシオン」
みんながおおという声を挙げた。
1987 第54回 ダービー
3-08 メリーナイス(オラシオン)
(根本康広)
ユニコーンS
4-(08)ラ(オラシオン)
それいただきましょうとマスターが言い、ユニコーンSの買い目にラオラシオンを加えることとなった。
スナック忘れな草
ユニコーンS 勝負馬券
◎15番 アラレタバシル
〇4番 ミッキーファイト
▲8番 ラオラシオン
単複:15番アラレタバシル
枠連:8-(2.4)
馬連・ワイド:15-(4.8)
■ リオンリオン
「そうそう。府中市市制70周年記念ですが、みなさんの注目馬の一頭である8番。染め分け帽の枠になりましたね」
凄十のロックを当たり前のように飲みながら、くろたんが言った。6枠はマイネルの同居だという。
東京10R 府中市市制70周年記念
6-08(マイネル)ケレリウス(ラフィアン)
6-09(マイネル)モーント (ラフィアン)
みんながうんうんと頷いた。
「さらに言えば、ユニコーンステークスも6枠が染め分けになりました」
ユニコーンステークス
6-11 クロドラバール
(長谷川祐司・母父エンパイアメーカー)
6-12 ムルソー
(長谷川祐司・母父エンパイアメーカー)
「個人馬主の同居で染分け・・・母父も一緒・・」
ギョニ子が言った。
「怪しいわね?」
マスターが続いた。
「もしどちらの6枠も不発だったら、春天は6枠がさらに熱いかもしれません」
天皇賞(春)
6-11 マテンロウレオ
(横山典弘・寺田千代乃)
6-12 ドゥレッツァ
「5月壁紙カレンダー、2019年の目黒記念ルックトゥワイス。あの年の青葉賞がリオンリオンだったのです」
2019 青葉賞
1-02 リオンリオン
(横山典弘・寺田千代乃)
みんながうんうんと頷いた。
「みなさんのご健闘をオラシオン・・・いや、お祈り申し上げますよ。また何かいいサインが見つかったら、随時ポストします」
そう言ってくろたんはドアに手を掛けた。
「くろたんさん、忘れ物よ!」
麗子ママがくろたんの背中に声を掛けた。
「鞭が傘立ての中に入ったままよ!奥さんがスケスケパンティで待ってるわ!」
「使うか!! うちのかあちゃんのおパンティはノーマルや!!」
くろたんはそう突っ込むと、鞭を手に取り店を出て行った。
いつもならまっすぐ駅に向かうのだが、足はアダルトショップのほうへと向いていた。凄十が効いてきたのだろう。鞭を使うのも悪くないかもな。そう心の中で思い、ニヤリと笑った。
■ 府中市市制70周年記念
「府中市市制70周年記念は、3番か8番が来ることに期待し、2頭から手広くフォーメーションでいきます」
真一郎が言った。みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
府中市市制70周年記念 勝負馬券
◎3番アスクドゥポルテ
◎8番マイネルケレリウス
(2頭軸)
馬連・ワイド:(3.8)-(2.3.4.5.6.9.10.13)
15点×2 30点
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