スナック忘れな草~2強を倒すネコパンチ・2023ジャパンカップ~
■ ジャパンカップ参戦
2023年11月25日(土)午後3時45分
-東京都某区 スナック忘れな草-
スナック忘れな草の店内はため息に包まれていた。終わったばかりの京都2歳ステークス。本命にしていた3番キープカルムは、直線で突き抜けるかという末脚を一瞬見せたものの、最後のもうひと伸びが足りず5着に敗れていた。
「見せ場はありましたが残念でしたね。しばらく休憩したら、京阪杯の予想を始めましょうか」
マスターの提案にギョニ子と真一郎は頷いたが、タコ社長が反論した。
「なに言ってるんでい!予想するのはジャパンカップだろうが?」
昨日、ジャパンカップはイクイノックスとリバティアイランドで固いのだから、予想する意味がないと言ったのはタコ社長である。その本人が、前言撤回して予想をしようという。何か言いかけたギョニ子を目で制し、マスターが言った。
「そうですね。ジャパンカップの予想を始めましょう!」
■ 矛と盾 再び
「そうこなくっちゃいけねえぜ!マスター、昨日あんたは3着の馬でも予想する意味はあるって言ってたが、本当はワンチャンあると踏んでいる馬がいるんだろう?」
マスターは苦笑して頭をぽりぽりとかいた。どうやら図星だったようだ。
「先週のマイルチャンピオンシップ。矛と盾が激突した結果、矛でも盾でもない第3の馬が勝った。まずはそれを復習しましょう」
<マイルCS 16頭立て>
1985
ニホンピロウイナー(連覇)
2004
デュランダル(連覇)
2021 ※阪神
グランアレグリア(連覇)
2023
セリフォス(連覇)?
→ 連覇ならず
<2023 秋GⅠ>
フルゲート戦 川田将雅
(スプリンターズS・秋華賞)
フルゲート割れ ルメール
(菊花賞、秋天、エリ女)
マイルCS フルゲート割れ(16頭)
ルメール(シュネルマイスター)?
→ 7着
「過去のマイルチャンピオンシップの流れと、今年の秋のGⅠシリーズの流れから、頭数に関するふたつの連続性がありました。前者は『16頭立てのマイルCSは連覇』というもので、浮上するのがセリフォスでした」
みんながうんうんと頷いた。マスターが説明を続ける。
「一方の後者は、今年の秋のGⅠシリーズ。フルゲートなら川田将雅、フルゲート割れならルメールが勝利という流れが5戦続いていました」
「16頭でフルゲート割れだったから、この法則通りだったらルメールのシュネルマイスターだったわけね?」
ギョニ子が言った。タコ社長が続く。
「ひとつの法則は川田将雅のセリフォス、もうひとつがルメちゃんのシュネルで、結果どちらも勝たずナミュールだったわけだ?」
マスターは大きく頷いて言った。
「そうなんです。ふたつの法則・・矛と盾がぶつかった結果、共倒れだったわけです」
「ジャパンカップにも、矛と盾の激突があるということですか?」
真一郎が訊いた。マスターが答える。
「ありました。しかも最も近いゲートで」
■ JCの矛と盾
1-01 リバティアイランド
(牝馬三冠達成年のジャパンカップ)
1-02 イクイノックス
(ルメール・シルク≒アーモンドアイ)
「ジャパンカップの3つ前、第9レースにアーモンドアイメモリアルが組まれているように、今年のジャパンカップは第35代の顕彰馬アーモンドアイを祝福するものになっています。アーモンドアイは二度ジャパンカップを制しました。一度目は2018年、牝馬三冠達成後のレースで世界レコードを樹立。二度目が無敗の三冠牝馬2頭を撃破した2020年です」
2018 ジャパンカップ
1-01 アーモンドアイ ※世界レコード樹立
(牝馬三冠達成年のジャパンカップ)
(1-01)リバティアイランド
(牝馬三冠達成年のジャパンカップで優勝?)
2020 ジャパンカップ
2-02 アーモンドアイ
※コントレイル&デアリングタクト
無敗三冠達成馬2頭を撃破
1-(02)イクイノックス
(三冠達成後のリバティアイランドを撃破?)
「確かに矛盾してるわね」
麗子ママが言った。
「1番のリバティアイランドは2018年のアーモンドアイ。2番のイクイノックスは2020年のアーモンドアイ。2頭のアーモンドアイを対決させるようなものね」
マスターが頷いて言った。
「シンボリルドルフとディープインパクトを対決させることができないように、2018年のアーモンドアイと2020年のアーモンドアイを対決させることはできません。実現不可能なことなのですから、どちらかが勝つのではなく、どちらも負けるというシナリオがあるのではないか?その可能性に賭けたいのです」
■ 第82代・83代ヒーロー
「先週ナミュールが勝ったことで、オジュウチョウサンがサインホースだという気がしてきました。これをみてください」
「有馬記念のファン投票とともに始まった企画、メモリアルヒーローファン投票。投票対象となるのは、2022年末までに競走馬の登録を抹消した馬となっています。2022年のJRAニュースを見直してみると、オジュウチョウサンを強調しているように思えます」
12月21日(水)
サリオス 競走馬登録抹消
シャドウディーヴァ 競走馬登録抹消
レイパパレ 競走馬登録抹消
ジャンダルム 競走馬登録抹消
グローリーヴェイズ 競走馬登録抹消
12月26日(月)
オジュウチョウサン 競走馬登録抹消
「ホントだわ!21日にサリオスなど5頭が登録抹消。オジュウチョウサンだけ翌週の26日に発表だったわけね?」
ギョニ子がそう言うと、マスターが頷いた。
「違和感がありますよね?メモリアルヒーローファン投票の企画発表が、オジュウチョウサンを示唆しているのでしょう。オジュウチョウサンは生涯成績が40戦20勝。20勝の中には足掛け3年で達成した11連勝が含まれていますが、11連勝目が先週あった南武特別だったのです」
11/19(土)
東京9R 南武特別
※2018年、オジュウチョウサンの【11連勝目】
次走有馬記念で9着(12連勝ならず)
11/20(日)
マイルCS ナミュール(ノーザンF)
※ノーザンFはGⅠ【11連勝】
「するってえとこういうことかい?オジュウチョウサンの連勝がノーザンファームの連勝を暗示していた。だからオジュウチョウサン同様、ノーザンファームの12連勝はない・・・と?」
■ オジュウチョウサン=アーモンドアイ
1-01 リバティアイランド(ノーザンF・GⅠ 4勝)
1-02 イクイノックス (ノーザンF・GⅠ 5勝)
ノーザンF 12連勝ならず?
「1枠の2強は、2018年と2020年のアーモンドアイだという話をしました。リバティアイランドは現在GⅠを4勝、一方のイクイノックスはドバイの1勝を含め5勝。合計9勝はアーモンドアイのGⅠ勝利数と一致します」
マスターの説明に、みんながうんうんと頷いた。マスターが続ける。
「オジュウチョウサンの12連勝ならずは、2018年の有馬記念で着順は9着。その翌年、アーモンドアイもまた、有馬記念で9着に敗れています」
2018 平成最後の有馬記念
オジュウチョウサン 9着
(J・GⅠ 9勝)
2019年 令和最初の有馬記念
アーモンドアイ 9着
(GⅠ 9勝)
「へえー!片や障害の絶対王者。片や平地の女王。GⅠ勝利数と有馬記念の着順が『9』という数字で一致しているのね!」
ギョニ子が大きな声で言った。
「そう言えば・・・」
麗子ママが言った。
「この2頭ってヒーロー列伝のポスターで、並んで掲載されているのよね。そういう運命だったのかしら?」
マスターが大きく頷いて言った。
「ここまでをまとめましょう。オジュウチョウサンとアーモンドアイは、戦歴からある意味同じ馬と言える。ジャパンカップ1枠の2強は、GⅠ合計勝利が9勝でアーモンドアイと同じでどちらもノーザンファームの馬。どちらが勝ってもノーザンファームはGⅠを12連勝となる。
ところが、オジュウチョウサンの連勝は最大で11連勝であり、12連勝目はなかった。1枠のアーモンドアイはオジュウチョウサンともいえるから、オジュウチョウサン同様12連勝はない」
「面白くなってきたぜ!で、マスター。1枠のアーモンドアイ、すなわちオジュウチョウサンが負けるとなると、勝つのはどの馬なんでい?」
■ ブラストワンピース+リスグラシュー
「それは、アーモンドアイとオジュウチョウサンが負けた有馬記念を見ればわかります。勝馬2頭を合体させるのです」
2018 平成最後の有馬記念
オジュウチョウサン 9着
1着:4-08 ブラストワンピース
2019年 令和最初の有馬記念
アーモンドアイ 9着
1着:リスグラシュー(矢作芳人)
2023 ジャパンカップ
(4-08)パンサラッサ(矢作芳人)
店内からおおという歓声があがった。真一郎が言った。
「なるほど!オジュウチョウサンの年のブラストワンピースが4枠8番、アーモンドアイの年のリスグラシューが矢作芳人厩舎。合体させたのが今年のパンサラッサということですね?」
マスターを始めみんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
ジャパンカップ
スナック忘れな草 勝負馬券
単勝:8番パンサラッサ
■ 編集後記
本編に入れなかった小ネタ集です。
●Facebook シンエンペラー
京都2歳Sを勝ったシンエンペラーの記事。
文章中に違和感を覚えるところがあります。
「混戦を制し、デビュー戦に続き2勝目を達成しました。」
ここは普通は「デビューから2連勝で重賞を制覇しました」など、
「連勝」という単語を使うところです。
お時間があるかたは過去のFacebook記事を見てください。
連勝で重賞を制した馬の場合、たいてい「〇連勝」と
紹介されているはずです。
なぜ「連勝」を使わなかったのか?
ジャパンカップで、「連勝ではないが2勝目」を挙げる
騎手、または調教師がいるということではないでしょうか。
パンサラッサ(矢作芳人)
※勝てばコントレイルに続きJC2勝目
コントレイルは2021年ですから連覇ではないですが、
矢作芳人調教師は「JC2勝目」となります。
●ネコパンチ
東京競馬場公式LINEで、ネコパンチ退厩のニュースがありました。
文章中、逃げ切りで勝った日経賞のことに触れています。
2012 日経賞
5-(08)ネコパンチ ※逃げ切り
4-(08)パンサラッサ 逃げ切り?
●ダイワカーリアン
京都2歳Sのシンエンペラー。
フランス産馬の重賞制覇は、2000年富士Sの、
ダイワカーリアン以来23年振りだそうです。
2000 ジャパンカップ
(4-08)テイエムオペラオー
(4-08)パンサラッサ
●「史上、唯一。」
来年の無料カレンダー、「史上、唯一。」
パンサラッサの馬名意味が、
「かつて地球に存在した『唯一』の海」
●Lデットーリ
優駿11月号検定パズル
クロスワードパズルを解いて、
出てくる答えが「デットーリ」
ジャパンカップウィーク、
史上唯一の土日連勝達成騎手ですね。
2002
JCD イーグルカフェ(二刀流)
JC ファルブラヴ
土日GⅠ連勝
京都2歳S
シンエンペラー(矢作芳人)
ジャパンカップ
パンサラッサ(二刀流・矢作芳人)
土日重賞連勝?
2分20秒の夢を見ます^^
みなさん、よいジャパンカップを!
■ おまけ 京阪杯
重賞インフォメーションネタです。
3着ではありましたが、京阪杯の過去の優勝馬、
サトノルパンがサトノシュトラーセを示唆。
ならば京阪杯は、京都2歳Sの過去の優勝馬、
グレイルでしょうか?
京阪杯
5-09(グレイ)トゲイナー
5-10(ル)ガル
5枠両頭の頭文字で「グレイル」
人気は10番ルガルのほうですが、
9番グレイトゲイナーはどうでしょう。
ジャパンカップ ヘッドライン
「世界の頂点へ、輝き続ける最強の覇者の軌跡。」
ヘッドラインに「輝」がありました。
5-09 グレイトゲイナー
松本大(輝)
松本騎手は重賞3度目の騎乗
芝1200戦は高松宮記念以来
2023 高松宮記念
5-09 ディヴィナシオン
(松本大輝・森秀行)
京阪杯
(5-09)グレイトゲイナー
(松本大輝・森秀行)
この一致に賭けてみます。
昨年の阪神JF、シンリョクカが
同じようなパターンでした。
2016 阪神JF
2-03 エムオービーナス(木幡育也)18着
2022(阪神JF)
(2-03)シンリョクカ(木幡育也)2着
※GⅠ 2度目の騎乗
京阪杯
◎9番グレイトゲイナー
単複:9番