競馬小説カフェ・ド・イーグル~京都競馬場100周年・土曜小倉1R・東京メイン白富士S~
トップ画像引用:京都競馬場100周年特設サイト
■ メイショウボーラー
2025年1月29日(水)午前7時
-岩手県某市早起村 カフェ・ド・イーグル-
早起村の朝は早い。7時という時間にも関わらず、常連客が集まっていた。
「今週も重賞インフォメーションからの直球サインがあるかしら?」
ケチャ子はそういうとコーヒーをすすった。先週の重賞インフォメーション、過去の優勝馬で登場したAJCCのネヴァブションは、結果的に日曜の両重賞を教えていたという。
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重賞インフォメーション
1/25.26 過去の優勝馬
2010 第(51)回 AJCC
6-09 ネヴァブション(横山典弘)
プロキオンS
枠連 1-5 →(51)
AJCC
2着:(6)-11 マテンロウレオ(横山典弘)
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重賞インフォメーション
2/1.2 過去の優勝馬
2005 第19回 根岸S
4-08 メイショウボーラー
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「確かに直球サインといっていいでしょうね」
ミスターがコーヒーカップを磨きながらいった。先週コロナ感染で休養していたが、月曜からは元気に復帰している。
「2週連続で直球サインはどうでしょうね・・・僕はちょっと疑っちゃいます」
貫一郎が慎重派の意見を述べた。サンドイッチを食べ終えたイカ社長が、手についたパンくずを払いながら反論する。
「いや、まだはもうなり、もうはまだなりだ。2週連続はないだろうというところで、もう一丁ズドンとくりゃあおもしれえぜ?」
「2週連続直球サインがあるなら・・・」
その時、そういって入ってくる男がいた。向かいの町中華「中華雑技団」のくろたんだ。
■ ドゥラエレーデ
イカ社長の右隣りに座ったくろたんに、みんなが注目する。YMCAのCのポーズをして、聖子ママにモーニングのCセットを頼んでから、くろたんは口を開いた。
「今朝のJRA-VAN公式X。珍しく現役馬を出してきました。二刀流のドゥラエレーデです」
みんながうんうんと頷く。
「メイショウボーラーも小倉2歳ステークスやデイリー杯2歳ステークスの勝利や、朝日杯フューチュリティステークスの2着など芝の実績を残してから、ダートのGⅠ馬にまで昇りつめた二刀流です。今週の2重賞は、二刀流馬に注目かもしれませんよ」
みんながなるほどと声をあげた。
「ひとまず機械的に二刀流馬をあげてみるわね」
スマホを操作しながら聖子ママがいった。
今週の2重賞は、芝のシルクロードステークスにダートの根岸ステークスである。前者ならダート勝利歴のある馬が、後者なら芝の勝利歴のある馬が二刀流馬候補ということになる。
<シルクロードS登録馬 ダート勝利歴あり>
エイシンフェンサー(1勝)
カピリナ (1勝)
シロン (1勝)
マイヨアポア (3勝)
<根岸S登録馬 芝勝利歴あり>
エイシンスポッター(6勝)
サトノルフィアン (1勝)
ナチュラルハイ (1勝)
バルサムノート (4勝)
フリームファクシ (3勝)
「意外といるものなのね・・」
聖子ママがあげてくれたリストを見て、ケチャ子がいった。くろたんが続く。
「メイショウボーラーを重視なら、芝の重賞勝ちがあるフリームファクシでしょうね」
みんなが再度、くろたんに注目した。
「一昨年のきさらぎ賞勝ちがあります。月名レースであるフェブラリーステークスの前哨戦で、同じく2月をあらわすきさらぎ賞勝ち。ここなのか本番なのかはわかりませんが、何らかの役割はありそうですよ」
みんながなるほどと頷いた。その日は、とりあえず二刀流馬に注目しようということになった。
■ 京都競馬場100周年
2025年1月31日(金)午後6時45分
-岩手県某市早起村 カフェ・ド・イーグル-
それから2日後、早くも土曜競馬と2重賞の枠順が確定する金曜日だ。イカ社長がいった。
「京都競馬はやっと今年の初開催か・・・競馬場の改修工事が続いていてしょうがないんだろうが、やっぱり関西の正月競馬は京都から始まらないと、らしくないぜ!」
みんながその意見に同意した。左回りの中京と右回りの京都では、まったく別の競馬という感じがするものだ。
「土曜東京メインの白富士ステークス。京都競馬場100周年を示唆している気がします」
貫一郎がいった。みんなが彼のほうを見る。
「1番にトーセンリョウ。レースタイトルの一部『白』は、みなさんご存じのように白寿の『白』ですから『99』・・・ゲートの1を足して100になります」
みんながなるほどと頷いた。
「さらに冠名の『トーセン』。『トー(十)』と『セン(千)』・・・一十百千万の『十』と『千』ですから、『百』をサンドしているといえます」
「なるほどちげえねえや!」
イカ社長が同意した。
「調教師が加藤征弘というのもいいですね」
ミスターがいった。
「やまさき拓味の漫画、『優駿の門ROOTS』の第1話が公開されたのですが、生麦事件を題材にしているんです」
みんながほうという表情をした。その漫画に注目していた人はいなかったようだ。
「生麦事件は文久2年8月21日に発生。今の暦なら1862年9月14日ということになります。現役の騎手、調教師で、9月14日生まれは加藤征弘だけなんです」
2/1(土)東京11R 白富士S
1-01(トーセン)リョウ(加藤征弘 9/14生まれ)
トー・セン = 十(百)千 ≒ 京都競馬場100周年
みんながおおという声を挙げた。
100周年を迎える年の京都競馬第1日目。なんらかのサイン馬券が出る可能性はある。
■ ユーミン
トーセンリョウからどう発展させるか15分ほど討論したところで、聖子ママから面白い意見が出た。2番3番4番に松任谷由実の曲が並んでいるという。
白富士S
2-02 ホウオウ(ノーサイド)
3-03(ルージュ)リナージュ
4-04(グランドカリナン)=偉大+ダイヤモンドの原石名より
「ええー? もうちょっと詳しくお願いします」
貫一郎が聖子ママに解説を求めた。
「ホウオウノーサイドには自身の曲『ノーサイド』が、ルージュリナージュは自身の曲『ルージュの伝言』と、松田聖子に書いた『Rock'n Rouge』が、グランドカリナンは馬名意味にダイヤモンドがあり、やはり松田聖子に書いた『瞳はダイヤモンド』よ」
白富士S
2-02「ノーサイド」
3-03「ルージュの伝言」・「Rock'n Rouge」
4-04「瞳はダイヤモンド」
白富士S
2-02 松任谷由実
3-03 松任谷由実/(松田聖子)
4-04(松田聖子)
「へえー! 歌が好きな聖子ママらしいわ!」
ケチャ子が感心したようにいった。聖子ママが頷く。
「ユーミンは、3年前の2022年にデビュー50周年を迎えてるの。馬名意味をみないとわからない4番のグランドカリナンを除けば、ユーミンの曲が並んでるのは2番と3番。50周年がふたつで100周年・・・かなり強引だけれどね」
聖子ママはそういって肩をすくめた。ミスターが続く。
「13頭立ての白富士ステークス。数字の『100』がサインなら、正100番のトゥデイイズザデイはどうでしょう?」
白富士S 13頭
6-09 トゥデイイズザデイ(正100・前田葉子)
「オーナーは松田聖子ならぬ前田葉子。葉子の『葉』には『100』を意味する世紀の『世』が真ん中に隠れています」
白富士S 13頭
6-09 トゥデイイズザデイ(正100・前田葉子)
葉 = 草冠 +(世)+ 木
「よし! トゥデイイズザデイの馬名、『今日が最高の一日』っつうのもいいんじゃねえか? 『今日』は京都の『京』とも解釈できるぜ!」
トゥデイイズザデイ(正100・前田葉子)
葉 = 100
今日 = 京
みんながなるほどと同意し、カフェ・ド・イーグルの勝負馬券が決まった。
東京11R 白富士S
◎9番 トゥデイイズザデイ
〇1番 トーセンリョウ
単複:9番
馬連・ワイド:1-9
■ 12月1日
10分間の休憩後、京都競馬のお祝い馬券なら、小倉1レースも買ってみたいと貫一郎がいった。
「京都競馬場の開設記念日は1925年の12月1日みたいです。現役の騎手、調教師で12月1日生まれは森田直行のみ。明日の小倉1レース、今週一発目のレースでお祝いがあるんじゃないでしょうか?」
2/1(土)小倉1R
7-12 シュテルンビルト
(中井裕二・森田直行 12/1生まれ)
「あらあら! 話題の中井君だわ」
ケチャ子がいった。イカ社長が続く。
「・・・例のあれな。あんまり深堀はしたくねえが、朝一のレースでさくっとやっちまうかもな?」
その言葉にみんなが頷き、カフェ・ド・イーグルの勝負馬券が決まった。
2/1(土)小倉1R
◎12番 シュテルンビルト
(中井裕二・森田直行・三田昌宏)
※ 騎手、調教師、馬主、いずれも今年未勝利
単勝:12番
馬連:12-(1.5.6.8.9.11.13.14)8点