スナック忘れな草~武士は食わねど高楊枝・2024阪神スプリングJ・中山牝馬S
トップ画像引用:JRAホームページ/競馬学校
■ 北沢伸也
2024年3月8日(金)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「マイネルグロンでしょうがねえのかな、こりゃ?」
スナック忘れな草の指定席、カウンターの左角に座っていたタコ社長は、そう言うと空になったグラスでカラカラと音を立てた。阪神スプリングジャンプは、おそらく1番人気になるであろうマイネルグロンの相手探しだという。
ネタの根拠をギョニ子に尋ねられて、タコ社長は答えた。
「北沢伸也さ。明日の阪神競馬場で、4レース終了後に引退式がある。阪神スプリングジャンプは一度だけ制しているが、それが14番だ」
2010/3/13
第12回 阪神スプリングジャンプ
1着:8-14 トーワベガ(北沢伸也)
※北沢伸也騎手 阪神スプリングJ 唯一の勝利
3/9(土)
第26回 阪神スプリングジャンプ 10頭
4-04 マイネルグロン(正14)
「なるほどねえ。トーワベガの14番は、10頭立ての4番。そこにカチっとはまったのが中山大障害馬のマイネルグロンってわけね?」
ギョニ子の言葉にタコ社長は黙って頷いた。2杯目の生ビールを飲み干し、3杯目を注文した真一郎が言った。
「実力からもマイネルグロンの頭は固そうですし、10頭立てという少頭数。3連単でバシッと当てたいですね」
■ レッドキングダム
「それなら2番のエイシンクリックはどうでしょう?」
マスターが言った。裏の中山で行われる中山牝馬ステークスに、東京ホースレーシングの馬が2頭おり、その馬番が両方エイシンクリックに合致するからだという。
2014/12/20
第137回 中山大障害
1着:5-06 レッドキングダム
(北沢伸也・松永幹夫・東京HR)
※北沢伸也騎手 唯一のGⅠ勝利
中山牝馬S
1-02 ルージュリナージュ(正2 ・東京HR)
6-12 ルージュエクレール(正12・東京HR)
阪神スプリングジャンプ 10頭
2-02 エイシンクリック(正2・正12)
「いいんじゃねえの?レッドじゃなくルージュっていうのがさりげなくていいや」
タコ社長が言った。麗子ママが続く。
「さっき出てきた北沢伸也騎手のトーワベガ。3着がエイシンの馬だわ」
2010/3/13
第12回 阪神スプリングジャンプ
1着:8-14 トーワベガ(北沢伸也)
2着:5-08 ショウリュウケン
3着:4-05(エイシン)ボストン
それを聞いて、魚肉ソーセージの最後のひとかけらを飲み込んだギョニ子が言った。
「北沢伸也の阪神スプリングジャンプを使うなら、エイシンをセットで使うのはあるかもしれないわね!」
真一郎がとどめを刺す。
「2着のショウリュウケン。明日ではなく日曜日ですが、中京で昇竜ステークスがあります。このレースを使う可能性は高いんじゃないでしょうか?」
2010/3/13
第12回 阪神スプリングジャンプ
1着:8-14 トーワベガ(北沢伸也)
2着:5-08(ショウリュウ)ケン
3/10(日)
中京10R(昇竜)ステークス
みんながうんうんと頷き、阪神スプリングジャンプはマイネルグロン1着固定、エイシンクリックを2着3着に据えた3連単6点で勝負しようということになった。
スナック忘れな草
阪神スプリングJ 勝負馬券
◎4番 マイネルグロン
〇2番 エイシンクリック
3連単:4→2=(1.6.8)6点
■ マルターズアポジー
10分の休憩後、話題は中山メインの中山牝馬ステークスへと移った。タコ社長が、新しい眞露の水割りを作りながら言った。。
「引退といやあもう一人、武士沢友治だよなあ。なんでまた3月に入ってから引退を決意したんだろう?」
至極最もな意見だった。2024年度引退騎手は、武士沢友治騎手で6人目となるが、そのうち4人が2月29日付けでの引退だった。3月5日付けで引退した北沢伸也騎手も、2月中旬にはJRAニュースで発表されている。そうなると、3月6日に引退が報じられた武士沢友治騎手には、違和感を覚えざるを得ない。
<2024年度 引退騎手>
高野 和馬 2月29日
秋山真一郎 2月29日
川島 信二 2月29日
藤井勘一郎 2月29日
北沢 伸也 3月5日
武士沢友治 3月10日
※日付順
「サイン発信のための3月引退って可能性は、十分あるわね」
ギョニ子はそう言いながらスマホを操作していた。
「なるほどなるほど・・・1番を強調しているかもしれないわ」
<武士沢友治 3/9(土)騎乗馬>
中山02R 16番(大外)
中山03R 03番
中山04R 04番
中山05R 05番
中山09R 02番
→「2.3.4.5番」と「16番」で「1番」をサンド
中山牝馬S
(1番)タガノパッション
真一郎が指でスマホの画面を確認しながら言った。
「えーと明日は5鞍騎乗で2番3番4番5番・・・そして大外の16番。確かに1番を挟んでるね!」
でしょう?とギョニ子が頷く。マスターがすかさず援護射撃を出す。
「同枠2番がテン乗りの丸田恭介騎手というのもいいですね。武士沢友治騎手といえばマルターズアポジーですよ」
<武士沢友治騎手 重賞勝利 全5勝>
2017 小倉大賞典(マルターズアポジー)
2017 関屋記念(マルターズアポジー)
2016 福島記念(マルターズアポジー)
2008 新潟記念(アルコセニョーラ)
2006 アルゼンチン共和国杯(トウショウナイト)
中山牝馬S
1-01 タガノパッション
1-02(丸田)恭介
タコ社長が指をパチンとならして言った。
「いいねえ!まずはタガノパッションをマークだ!」
■ こぶし競馬
「武士沢友治騎手の“ぶし”・・・いいタイミングでこんな企画が始まったわよ」
麗子ママが言った。丘みどりと徳永ゆうきという二人の演歌歌手による、新企画「こぶし競馬」には「ぶし」が入っているという。
「こぶし競馬ならまずはこぶし賞を見なくちゃね」
麗子ママがそう言う前にすでにスマホを操作していたギョニ子が、あっと声を挙げた。
「1番にタガノがいるわ!」
2024/2/10(土)
京都9R(こぶし)賞
1着:5-05 オフトレイル
2着:8-08 ポエットリー
3着:7-07 ラヴァンダ
4着:(1-01)(タガノ)デュード
中山牝馬S
(1-01)(タガノ)パッション
「つながりましたね」
マスターがそう言うと、みんながうんうんと頷いた。
■ 岡部幸雄
それから15分ほどは、各自で丘みどりや徳永ゆうきについて調べ、気になることをどんどん発表していった。誕生日の一致からは、やはり中山牝馬ステークスは1枠に注目が集まった。
丘みどり
1984年7月26日 生まれ
徳永ゆうき
1995年2月20日 生まれ
小林凌大
2001年(2月20日)生まれ
内田博幸
1970年(7月26日)生まれ
宗像義忠
1954年(7月26日)生まれ
中山牝馬S
1-01 タガノパッション
1-02 ルージュリナージュ(宗像義忠)
「丘みどりと同じ誕生日のルージュリナージュ宗像義忠は、同枠のタガノパッションをサポート・・」
タコ社長が言った。
「そして、小林凌大と内田博幸のほうは、1番での騎乗こそねえが大外での騎乗がある。都合よく解釈すりゃあ逆1番が正1番のタガノパッションを示唆ってのはどうだい?」
うんうんと頷く者もいたが、1番に寄せていってる感は否めないため、大きな賛同を得ることはなかった。タガノパッションを本命にするには、もうワンパンチ欲しいところだ。
その時、真一郎が面白いところに目を付けた。
「えーと、さっきのこぶし賞に戻るんですけど・・・」
みんながなんだろうと視線を向けた。
「こぶし賞の“ぶし”が引退の武士沢友治を示唆なら、シンガリ負けの岡部誠が気になります」
2024/2/10(土)
京都9R(こぶし)賞
9着:4-04[地]コールミーベイビー(岡部誠・シンガリ)
真一郎の推理は、「シンガリ負けの岡部誠」は「岡部の最後」だから、同じ岡部姓の「岡部幸雄の引退」を暗示しているのではないかということだった。
その説明を聞きながらスマホやパソコンを操作していた全員が、ほぼ同時にあっと声を挙げた。ギョニ子が言った。
「3月10日じゃん、岡部幸雄の引退日!しんちゃん、でかしたわ!」
<3月10日付け 引退騎手>
岡部 幸雄(2005)
武士沢友治(2024)
※JRAホームページに記載がある1998年以降は、
「3月10日付け引退」は上記2人のみ
■ 2005年デビュー
「そうなるとまずは同年の中山牝馬ステークスだな」
タコ社長が言った。
「おっと、ビンゴだぜ!2005年の中山牝馬ステークスはウイングレット。厩舎は宗像義忠だ!」
2005/3/12(土)
中山牝馬S
1着:5-10 ウイングレット(宗像義忠)
※岡部幸雄騎手引退の翌々日
中山牝馬S
1-01 タガノパッション
1-02 ルージュリナージュ(宗像義忠)
「社長さん、それだけじゃないわ!」
麗子ママが大きな声を出した。
「タガノパッションの大野拓弥騎手。デビューがなんとこの2005年よ!」
中山牝馬S
1-01 タガノパッション
(大野拓弥 ※2005年デビュー)
1-02 ルージュリナージュ
(宗像義忠 ※2005年中山牝馬S制覇)
岡部幸雄 2005年3月10日引退
大野拓弥 2005年3月5日初騎乗・同月13日初勝利
みんながうんうんと頷いているところで、ギョニ子がさらに細かいネタを見つけた。
「その2005年の中山牝馬ステークス。タガノパッションと同じ1枠1番にはユキノスイトピーという馬がいるわ。タガノパッションの直近勝利レースが、なんとスイートピーステークスよ!」
2005/3/12(土)
中山牝馬S
1着:5-10 ウイングレット(宗像義忠)
6着:1-01 ユキノ(スイトピー)
中山牝馬S
(1-01)タガノパッション(同枠:宗像義忠)
直近勝利レース(スイートピー)S(2021)
■ ミナレット
本命はタガノパッションでいいだろうということになり、相手探しの前に10分の休憩を挟むことになった。休憩中、ギョニ子はX(ツイッター)で競馬関連のポストを見ていた。
「ねえマスター。このミナレットのヴィクトリアマイルってどうやって特定したの?」
ギョニ子が言うミナレットのヴィクトリアマイルとは、くろたんがXでポストしたものに、マスターが返信したものだった。「うまうまな日々」というショート動画が最近YouTubeにアップされているが、最新の投稿にレース画像が貼られていたという。
マスターはレースを特定した手順を、パソコンでターゲットフロンティアという競馬ソフトを用いて再現してくれた。
「えーと、まず左回りの芝レースであることがわかりますね?そこでレース検索から、場所は新潟、東京、中京、レースは芝レースを選択します」
「次に、4枠8番が確認できるので、4枠8番というゲートが発生するレースである16頭以上に頭数を絞ります」
みんながふむふむと頷いた。マスターが説明を続ける。
「あとは勝負服がわかりやすい馬をみつけることですね。この画像の場合、1枠1番の馬がタガノの・・」
そこまで言ってマスターは、言葉を切って天を仰いだ。
「なんてことを!ここにも1枠1番のタガノがいたんだった!」
「・・・となるとこのレースも中山牝馬ステークスにつながりそうですね・・・まあ、まずは説明を続けます。タガノは1枠1番なので、あとでレースを絞りやすいように1枠1番で全着順を指定します」
「大昔のレースは使っていないでしょうが、期間は特に指定しません。そして検索っと・・」
数分時間を要したが、これまでの条件に合致するレースが表示された。8717レースヒットした。
「この状態では馬主で絞れないので、レース当時の馬主を読み込みます」
「そして項目集計から『馬主(レース時)』を選択し、タガノの八木良司を探します」
「ありましたね。左回り芝レース、16頭立てで1枠1番にタガノ。該当レースは21あるということです」
「あとはさっきのショート動画の画像に戻り、どうやら4枠8番の馬は勝負服からキャロットとわかるので、4枠8番にキャロットがいるレースを探していきます」
マスターは施行日が新しい上のレースから、順に出馬表を開いていった。奇しくも直近の該当レースは昨年の初音ステークス、タガノパッションが2着したレースだった。
そして、8レース目で4枠8番がキャロットのレースがヒットした。2015年のヴィクトリアマイルだった。
2015 ヴィクトリアマイル
1着:3-05 ストレイトガール
2着:4-07 ケイアイエレガント
3着:8-18 ミナレット
16着:1-01(タガノ)エトワール
「ウイングレットにミナレット・・」
真一郎が言った。
「さっき出てきた岡部幸雄引退年の中山牝馬ステークス、勝利馬ウイングレット。そして3着して大波乱を演出したミナレット。同じレットですね・・」
「おいおい!レットがもう一頭いるじゃねえか!」
タコ社長が膝をパンと強く叩いて言った。みんなが注目する。
「岡部幸雄だよ!最後に勝った重賞が確かホットシークレットだったぜ!柴田善臣に破られるまで、重賞勝利騎手の最高齢記録だったはずだ」
2002/11/30
ステイヤーズS
ホットシークレット(岡部幸雄)
※岡部幸雄 54歳31日
2021年レパードS、メイショウムラクモ騎乗の
柴田善臣に抜かれるまで騎手の最年長記録
ウイングレット(岡部幸雄引退年の中山牝馬S制覇)
ミ ナ レット(「うまうまな日々」先頭を走る馬)
ホットシーク レット(岡部幸雄 最後の重賞勝利)
「レットレットレット・・・ホットシークレットからはどうつながるかしら?」
ギョニ子がみんなに問いかけた。マスターがすぐに答える。
「一応、2着馬と3着馬からはタガノパッションにつながりますね」
2002 ステイヤーズS
1着:8-11 ホットシークレット(岡部幸雄)
2着:(1-01)ダイタクバートラム
3着:3-03 スエヒロコマンダー(武幸四郎)
※岡部幸雄 最後の重賞勝利
中山牝馬S
(1-01)タガノパッション(武幸四郎)
■ 競馬学校教官
「こんなページもあったんですね」
5分程度のごく短い休憩後、真一郎が言った。JRAのホームページに競馬学校を紹介するページがあるという。
「武士沢友治騎手は引退後に競馬学校の教官になると書かれていました。そうであれば、この競馬学校紹介動画にもヒントがあるかもしれません」
果たして、「競馬学校概要紹介」という動画にはキズナが1番で勝ったダービーが登場し、「卒業後と先輩からのメッセージ」という動画には松永幹夫調教師が、騎手時代に1番で制した天覧競馬の秋天があった。
■ 福永祐一
1番示唆のサインはもうお腹いっぱいになるほど出ていたが、マスターがとどめを刺した。
「今週の注目は厩舎開業の福永祐一でしょう。こぶし競馬から出てきたこぶし賞のオフトレイル。コントレイルを連想させますしね」
そう言ってマスターはみんなに動画を見せた。「うまうまな日々」が掲載されているのと同じ、ショート動画のページだ。
「最も悔しかったレースが、エピファネイアで2着に敗れたダービーとのこと。勝ったのはもちろん、コントレイルと同じ前田晋二氏の1番キズナ」
麗子ママが言った。
「そうなると、タガノパッションの相手は4枠でいいんじゃないかしら?コントレイルと同じでコンから始まる前田晋二氏の馬、コンクシェルがいるわ」
4-07(コン)クシェル(前田晋二)
4-08 ヒップ(ホップ)ソウル
ギョニ子が続いた。
「ヒップホップソウルもいいわね。こぶし競馬の丘みどりは元アイドル。所属していたのは『HOP CLUB』というグループよ」
丘みどり
「HOP CLUB」元メンバー(岡美里 名義)
みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
中山牝馬S 勝負馬券
◎1番タガノパッション(1枠)
〇8番ヒップホップソウル(4枠)
▲7枠
穴2枠
単複:1番
枠連:1-4(本線)
枠連:1-2.7(抑え)
■ 編集後記
おさまり切らなかったネタの紹介です。
「卒業後と先輩からのメッセージ」という動画に、GⅠでないレースが登場します。2014年の京成杯、地方馬プレイアンドリアルが勝ったレースです。
2014 京成杯
1着:6-12 [地]プレイアンドリアル
2着:8-16 キングズオブザサン(逆1・大野拓弥)
1-01 タガノパッション(正1・大野拓弥)
●タガノテイオー
タガノパッションの大野拓弥騎手。面白いのがデビュー戦で騎乗した馬に着順がない(競走中止)という点。
武士沢友治騎手のマルターズアポジーといえばオーナーは藤田在子氏。
「タガノ」「競走中止」「藤田」この3つに該当するのが、
2000年の朝日杯3歳S、メジロベイリーの2着だったタガノテイオー。
2000 朝日杯3歳S
1着:2-03 メジロベイリー
2着:4-08 タガノテイオー
●キタウイング
中山牝馬Sには木幡初也と木幡巧也の騎乗があります。この兄弟の同時騎乗重賞はこれが3度目。過去二度はいずれも「新潟2歳S」です(2016・2019)。
直近新潟2歳S 2023
北村宏司(アスコリピチェーノ)
中山牝馬S
2-03(松岡正海)
2-04 キタウイング(2022新潟2歳S)
4-08 ヒップホップソウル(北村宏司)