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カフェ・ド・イーグル～2024ファンタジーＳ・京王杯2歳Ｓ・土曜福島10R三陸特別～

ファイナライズ

■ 競馬小説「カフェ・ド・イーグル」

岩手県某市を舞台に、喫茶店「カフェ・ド・イーグル」や、町中華「中華雑技団」で繰り広げられる、サイン競馬ファンたちの熱き競馬談議をお送りする競馬小説。

■ 登場人物紹介

●カフェ・ド・イーグル

ミスター：
カフェ・ド・イーグルの経営者兼店長。本名は土井垣まさる。昭和33年3月3日生まれの3並びであることから、長嶋茂雄にあやかりみんなからミスターと呼ばれている。

最愛の妻はカフェ・ド・イーグルを一緒に切り盛りする聖子ママ。テレビジョッキーでもらった白いギターで、松崎しげるの「愛のメモリー」を歌ってプロポーズした。

好きな馬はイーグルカフェとミスタートウジン。中山開催だったジャパンカップダート、イーグルカフェの単勝で大儲けした。店のカウンターのスツールは、デットーリジャンプができるよう高めに設定してある。

聖子ママ：
自称永遠の28歳だが、年はミスターと同じくらいらしい。若作りでプロポーションも30代で通用する。

本名が田沢絹子というパッとしない名前であるため、憧れの松田聖子の名前を拝借している。一方で、北海道にある実家がセイコーマートを経営しているから聖子ママという噂もある。

客がコーヒーチケットを購入すると、ミニスカート姿で松田聖子の「秘密の花園」を歌うパンチラタイムのサービスがある。

～～～

常連客①　貫一郎：
本名は田渕貫一郎。みんなからはかんちゃんと呼ばれている。何でも屋を自分ひとりで経営しており、キャッチコピーは「草むしりからAV男優まで、人殺し以外はなんでもやります」。

同じく常連客であるケチャ子と同棲している。子供のころから勉強が苦手で、サイン読みもあまり得意ではないが、時にみんなから「貫ピュータ」と呼ばれる鋭い読みを発揮する。

常連客②　ケチャ子：
本名は竹之下景子。身長は150cmにも満たないが、豊満なバディの持ち主でいわゆるトランジスタグラマー。料理になんでもケチャップをかけるため、みんなからケチャ子と呼ばれている。

看護師と言語聴覚士のW免許を持っており、訪問看護と訪問リハビリの仕事をしている。軸馬候補が3頭いるとき、選んだ一頭が馬券になる確率は80％以上を誇り、「三択の女王」の異名をとる。

常連客③　イカ社長：
本名は剣先紋次郎。剣先イカせんべい工場の三代目社長。いつもほんのりとイカ臭い。本人曰くいつも仕事でイカにまみれているためだというが、無類のオナニー好きだからという噂もある。

昔、さんざん飲んだあと締めでイカ墨パスタを食べ、壮大にリバースしたことがある。まるでイカが墨を吐き出したような場面だったと、それ以来イカ社長と呼ばれている。テンポイントが亡くなったときは、あまりのショックに1カ月オナ禁した。

●町中華「中華雑技団」

くろたん：
カフェ・ド・イーグルの真向かいにある、町中華「中華雑技団」の経営者兼料理人。三つ子の女の子がいる。昔、中国雑技団で賄いを担当していたことをきっかけに、本格的に中華料理を学んで帰国。

「厨房は舞台だ」をモットーに、魅せる調理を心がけている。麺の湯切りカゴを3個以上同時にジャグリングしながら湯切りをするジャグリング湯切りや、地上30mの高さから落下しながら湯切りするバンジージャンプ湯切りなど、多くの技を持っている。

無類のサイン競馬ファンで、サイン読みに関しての探求心は、他の追随を許さない。独自の出馬表読みで候補馬を絞りつつ、その日の流れを見て臨機応変に馬券を買うのがいつものスタイル。

好きな馬はアグネスフライト、アグネスデジタルなどアグネスの馬全般と、枠連と単複しかなかった時代に、初めて枠連を1点で的中させたレースのモンテプリンス。

アグネス：くろたんの妻。本名はアグネス・ルー。通称アグちゃん。中国出身で中国雑技団在籍中にくろたんと出会う。スリーサイズがすべて96cmであることから、くろたんの猛アタックを受けて国際結婚を果たす。競馬だけではなくギャンブルは一切やらないどころか、心底毛嫌いしている。口癖はくろたんに対していう、「おめえにやる小遣いはねえ！」。

アポロ・モレイラ：「中華雑技団」の料理人。くろたんの右腕となり働いている。元ボクサーで、ブラジルはサンパウロ出身の黒人。身長が2メートル20cmで、アフロヘアであるためさらに高く見える。通称アポちゃん。競馬については素人で、ただいま絶賛勉強中。2024夏の札幌開催、同じ名前だからという理由で買った、J.モレイラの単勝で初当たりを記録した。

●フレッシュジュースVOICE

ジョセフィーヌママ：
本名不明。通称ジョシー。立ち飲みジュース店「フレッシュジュースVOICE」をひとりで経営するおねえママ。あの室伏広治をも超えるという人間離れした握力を使い、客の目の前で果物を素手で絞りジュースにするパフォーマンスが人気を博している。ピーチ、パパイヤ、パイナップルをブレンドした「3P」、バナナをくりぬいたストローで飲む「ディープスロート」など、セクシーな名前のメニューが多い。好きな馬はフレッシュボイス。

●セクシャルフィットネス♡くりちゃん

クリスエス栗村：
本名不明。女性の膣の締まり具合向上、男性の中折れ改善、早漏改善など、セクシャルな身体機能改善を主な目的としたフィットネスジム、「セクシャルフィットネス♡くりちゃん」の経営者兼トレーナー。元プロレスラー。日サロでこんがりと焼いた肌に、綺麗にホワイトニングした歯が映える。ジョセフィーヌママ同様、おねえキャラである。好きな馬はシンボリクリスエス。

●2ndシーズン開幕記念・カメオ出演：？？？
（小説をお楽しみに）

～ここから本編です～

■ 紳士とラブラドール

2024年10月31日（木）午前6時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

早朝6時。「カフェ・ド・イーグル」の朝は早い。

店の前を掃き掃除していた聖子ママは、ひとりの紳士に声を掛けられた。

「コーヒーを一杯飲んでいきたいのですが、犬を店の前に繋いでいてもよろしいでしょうか？」

聖子ママに合わせ、長身を少し折り曲げるようにして紳士は尋ねてきた。頭髪には少し白いものが混じっていて、60代といったところだろうか。優しそうな目元には、ハッとさせられる不思議な魅力がある。

「ええどうぞどうぞ。このベンチの脚にでも繋いでおいてください」

どうもすみませんと紳士はお礼をいいながら、ラブラドールレトリバーのリードをベンチの脚にくくりつけた。吠えることもなくじっとしているラブラドールの黒光りした美しい毛並みは、日が昇り始めた朝に凛とした空気をもたらしている。

「お名前は何というのですか？」

そう尋ねられた紳士は、人差し指で自分の鼻を指さして小首を傾げてからいった。

「・・・冗談です。犬の名前のほうですよね？　ココといいます」

「アハハ！　冗談がお上手なこと！　ココちゃんていうんですね。うちも店をやっていなければ、こんな可愛らしい犬を飼いたかったわー」

カウンターではなくテーブル席についた紳士は、メニューをみることもなくブレンドをひとつと注文した。どこの喫茶店でもそうしているのかもしれないし、このカフェ・ド・イーグルのレベルをブレンドで推し量ろうとしているのかもしれない。

聖子ママからオーダーを受けたミスターは、紳士を一瞥すると、コーヒーとは別にカップを用意した。数分後、トレイにふたつのカップを乗せると、自ら紳士のもとへ届けに行く。

「いらっしゃいませ。こちらがご注文のブレンド。そしてこちらが、サービスのホットミルクです」

虚を突かれ驚きの表情を見せる紳士に、ミスターはいった。

「間違っていたらすみません。もしかしたら風邪の引き始めではないかと思いまして・・」

「・・・わかりますか？　引き始めというよりは、ひどい風邪の治りかけなのですが・・」

「そうでしたか。どうぞホットミルクで喉をいたわってあげてください」

ありがとうと小さく会釈した紳士は、コーヒーより先にホットミルクを口にした。

「ほう・・・なんでしょうこの甘さは？」

「アカシアのはちみつです。砂糖もいいですがホットミルクにははちみつの優しい甘みが合いますよ」

客の前を辞去したミスターは、カウンター内に戻った。

20分後、お会計を済ませた紳士は、ホットミルクのサービスに対し丁寧なお礼をいい、ラブラドールのココちゃんと去っていった。

「どうして風邪をひいてるってわかったの？　別に鼻声でもなかったし・・」

不思議そうに問うてきた聖子ママに、ミスターはいった。

「風邪にもいろんな種類の風邪があるからね。喉風邪、鼻風邪・・・そして心の風邪」

ふうんと答えた聖子ママは、外へ出て店の前の掃除を再開した。

■ 仲間外れ

2024年10月31日（木）午前7時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

「モーニングのＡセットな」

イカ社長はいつもの指定席であるカウンターの左端に陣取るとそう注文した。いつものオーダーだ。1年365日、ぶれることがない。

注文が届くのを待つ間、熱心にスマホで動画を見ていたイカ社長に、Ａセットを届けながらミスターが訊いた。

「何か面白いものがありましたか？」

「いやあ、単なる暇つぶしなんだがよう・・・脳トレっつうのかい？」

イカ社長は、今見ていた動画を説明した。4つの単語の中から、仲間外れを見つけるというものである。例えば、「ふすま」、「太鼓」、「布団」、「肩」の4つであれば仲間外れは「ふすま」。「ふすま」以外の3つは「叩く」ことがあるが、「ふすま」を叩くという表現は普通しない。

参考動画：【仲間はずれクイズ】　※問題は一部改変

「へえ。ちょっとしたボケ防止っていうやつですね」

ミスターの言葉に頷いたイカ社長は、予定が入っているのかあっという間にＡセットをたいらげると店を出て行った。

「仲間外れ・・・・か」

その時ミスターの目に、怪しい光が宿った。今週の重賞インフォメーションは、そういうことなのかもしれない。

■ 重賞インフォメーション

2024年10月31日（木）午後7時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

日中はカフェとして、夜はバーとして経営するのがカフェ・ド・イーグルのスタイルだ。今日もカウンターには常連客が揃っていた。朝も来ていたイカ社長はカウンターの左端に、ひとりで何でも屋を経営している貫一郎は逆サイドの右端。そして、貫一郎の左には彼と同棲している看護師兼言語聴覚士のケチャ子だ。

「おいかんちゃん！　今日はどんな仕事が舞い込んだんだい？」

「今日ですか？　今日は汁男優です」

それを聞いてイカ社長がぶーーーっと派手に飲んでいた眞露の水割りを噴き出した。慌ててカウンター内にいた聖子ママがおしぼりをいくつか持って駆けつける。

「あらあら、墨を吐き出すのは海の中でお願いしますわよ」

そういいながら聖子ママは、イカ社長の寂しい頭髪をゴシゴシとおしぼりでぬぐいだした。

「ええとママさん？　そこには噴き出していねえと思うんだが」

あらやだわ私ったらととぼけて、聖子ママはカウンターを拭き始めた。

「かんちゃん！　汁男優っつうのは男なら誰でもが夢見るあれかい？」

「何いってるんですか！　いろいろなお味噌汁を飲むところを写真に撮られたんですよ。村の広報誌に載せるとかで」

「それで汁男優か！　・・・ってそんな紛らわしい言い方すな！」

イカ社長の言い分に、ミスターはもっともだと同情した。

ここ早起村は麹をたっぷりと使った赤味噌が有名で、村おこしとして大々的に全国へアピールしていこうという企画が、今年の秋からスタートしたばかりだった。

「AVの汁男優の仕事なんか引き受けたら、あたしが許さないからね！」

ケチャ子が貫一郎の股間を右手で強く握って睨みつける。イテテテテ姉さんと貫一郎がカツオのモノマネで大げさに痛がり、店内は爆笑に包まれた。

「今週の重賞インフォメーションなのですが・・」

笑いが収まったところで、ミスターが切り出した。サイン競馬の話だ。みんなサイン競馬は大好物なものだから、一斉にミスターに視線が集まる。

「ある共通点を見つけたんです」

重賞インフォメーション

●京王杯2歳Ｓ
過去優勝馬
2014　セカンドテーブル（戸崎圭太）

●ファンタジーＳ
過去優勝馬
2014　クールホタルビ（小牧太）

●アルゼンチン共和国杯
過去優勝馬
2020　オーソリティ（ルメール）

●みやこＳ
過去優勝馬
2012　ローマンレジェンド（岩田康誠）

「共通点？　んなものあるか？」

腕を組んで眉を寄せるイカ社長に、ケチャ子がいった。右手にはケチャップをたっぷりとつけた魚肉ソーセージが握られている。

「騎手がすべて外国、もしくは地方競馬出身だわ！　つまりはJRAの競馬学校卒業生じゃないってこと！」

戸崎圭太（南関東競馬）
小牧太　（兵庫県競馬）
ルメール（フランス）
岩田康誠（兵庫県競馬）

ミスターが大きく頷いていった。

「もうひとつあります」

かぶせるようにあっと声をあげた貫一郎がいった。

「伸ばし棒・・・なんていうんだろう？　馬名に全部伸ばし棒がついています！」

セカンドテ（ー）ブル
ク（ー）ルホタルビ
オ（ー）ソリティ
ロ（ー）マンレジェンド

「ホントだわ！」

聖子ママがいった。

「合わせるとJRAの競馬学校出身じゃない騎手が乗り、かつ馬名に音引きがある馬ね？」

＜11/2.3重賞・非JRA競馬学校卒業騎手＆音引きあり馬名＞

11/2（土）
京王杯2歳Ｓ
ヤンキーバローズ（岩田康誠）
レモンバーム　　（Mデムーロ）

ファンタジーＳ
ヴーレヴー（Aシュタルケ）

11/3（祝・日）
フォワードアゲン（内田博幸）
マイネルメモリー（Aシュタルケ）

みやこＳ
ミッキーヌチバナ（Mデムーロ）

「これら6頭が、どういう配置になるか楽しみですね」

ミスターの言葉に、みんながうんうんと頷いた。

■ ゴージャス

2024年11月1日（金）午前10時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

経営する「中華雑技団」の仕込みが一段落したくろたんが、カフェ・ド・イーグルにやってきたのは午前10時ちょうどだった。テーブル席では新規の女性客ふたり組がモーニングを食べている。カフェ・ド・イーグルでは、モーニングセットは時間限定ではなく、一日中オーダー可能となっている。

カウンターの席に着いたくろたんが大きな声でいった。

「ビーニングのモーセット・・・・・じゃなかったモーニングのＢセットね」

テーブル席からクスクスという女性客の笑い声があがった。くろたん渾身のつかみはOKだ。ミスターがいった。

「承知しました。ところでくろたん、その頭はどうしました？　麺が乗っていてパーマのようになっていますよ？」

「フフフ・・・これが本当のソバージュですよ」

女性客がまた笑った。今度は手を叩いて喜んでいる。

町中華「中華雑技団」の見世物のひとつは、複数の湯切りカゴをジャグリングしながら湯切りするジャグリング湯切りだ。現在くろたんは、5個同時の湯切りまで成功させていて、新たに6個同時のジャグリング湯切りに挑戦中である。

ジャグリングが失敗すると頭に麺をかぶるときがあり、そんなときにカフェ・ド・イーグルに新規の客がいると、このギャグを披露しにくるのである。つまりは、ミスターとくろたんはグルで一連の会話をしているのだ。うまくいけば、新規の客が「中華雑技団」のほうにも流れるというさもしい魂胆である。

「ファンタジーステークスは・・・」

くろたんが皿の上で殻付きのゆで卵をころがしながらいった。左の口角をわずかにあげている。映画「エンゼル・ハート」で、ロバート・デ・ニーロが演じるルイ・サイファーのような不気味さが漂っている。

「軸はゴージャスでいいでしょうね」

「どんなネタがありますか？」

ミスターの問いに、くろたんは右手で親指以外の4本指を立ててみせた。

「4つあります。ひとつは重賞インフォメーショントップ画像」

「次に9月16日に勝利しているという点」

「次に、JRA-VAN公式Ｘのポスト、エアシャカール」

「最後に重賞における出目の統制」

重賞：佐々木大輔の「109隣」
2歳牝馬重賞：正逆78

ファンタジーＳ　15頭
2－03　ゴージャス（正78）

4－07（佐々木大輔）

「なるほど・・・ゴージャスですか」

満足そうに大きく頷くと、女性客の分まで会計を済ませたくろたんは、ドアを開ける直前、女性客のほうに向かって叫んだ。

「君のハートに・・・レボリューション！！」

キャーという金切り声の悲鳴を背中に浴びながら、アグネスとアポロが待つ「中華雑技団」にくろたんは戻っていった。

■ デルマソトガケ

2024年11月1日（金）午後7時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

バータイムのカフェ・ド・イーグルには、いつもの常連客が揃っていた。フライドポテトにたっぷりとケチャップをつけたものをおいしそうに咀嚼して飲み込んだケチャ子は、その日2杯目の生ビールで口の中の油を流し込んだ。

右の口角についていたケチャップを器用に舌でぬぐいとったケチャ子は、みんなを見回しながらいった。

「今週の重賞インフォメーション、JRA競馬学校卒じゃない騎手だけを登場させた理由がわかったかも！」

みんなが一斉に前のめりになり、ケチャ子に注目する。

「11月3日文化の日。日本時間の早朝に行われるブリーダーズカップクラシックに、デルマソトガケが出走するわ」

11/3（祝・日）デルマ―競馬場
8Ｒ　BCクラシック　ダ2000
6番/6ゲート　デルマソトガケ

みんながうんうんと頷く。まだ話が見えない。

「ブリーダーズカップはアメリカのデルマ―競馬場。デルマソトガケが初めてアメリカで走ったのが2023年のケンタッキーダービー。同日、日本ではNHKマイルカップが施行されてるの」

2023/5/6（日）
第28回　NHKマイルC
1着：6－【11】シャンパンカラー（内田博幸）
同枠6－12　クルゼイロドスル（Mデムーロ）取消

2着：2－【03】ウンブライル（横山武史）
同枠2－04　ショーモン（鮫島克駿）

「決まり目は11番3番・・・・11月3日、文化の日。つまりは明治天皇誕生日」

ミスターがハッとした表情を作った。

「そう！　デルマソトガケが6着だったそのケンタッキーダービーを勝ったのが、アメリカのメイジだったのよ」

JRAホームページ

みんながおおという声を挙げた。ケチャ子が続ける。

「2019年以来となる、JRA競馬の11月3日開催。重賞インフォメーションの過去優勝馬4頭を、非JRA競馬学校卒の騎手で統一したのは、このNHKマイルカップ示唆だと思うの」

2023/5/6（日）
第28回　NHKマイルC

2－【03】ウンブライル（横山武史）2着

6－【11】シャンパンカラー（内田博幸）1着
6－12　クルゼイロドスル（Mデムーロ）取消

11番　→　3番　＝11月3日【明治】天皇誕生日
内田博幸＆Ｍデムーロ　→　非JRA競馬学校卒業騎手

同日ケンタッキーダービー
1着：【メイジ】

「明治天皇で祝日といえば・・・」

ミスターがいった。

「祝日『海の日』はたしか、もともとは7月20日。これは、明治天皇が東北地方を巡幸した際に、灯台視察船『明治丸』で横浜港に入港したことを記念したものだったはず・・」

その説明に、イカ社長がポンと手を叩いて反応した。

「横浜か！　明日にもベイスターズが26年ぶりの優勝を遂げる可能性がある！」

聖子ママが続く。

「日曜朝、デルマソトガケやフォーエバーヤングとともにブリーダーズカップクラシックに出走するウシュバテソーロ。出世のきっかけは横浜ステークスだったわね！」

横浜DeNAベイスターズ
現在3勝2敗
第6戦、または第7戦勝利で1998年以来26年ぶりの日本一

2022【横浜】S　
6−09　ペプチドナイル　　2着
6−10　ウシュバテソーロ　1着
※2009以来13年ぶり施行・ウシュバテソーロはダート初出走初勝利

11/3（祝・日）デルマ―競馬場【文化の日＝明治天皇誕生日】
8Ｒ　BCクラシック　ダ2000
1番/1ゲート　フォーエバーヤング
6番/6ゲート　デルマソトガケ　【明治天皇（横浜）】
7番/7ゲート　ウシュバテソーロ【横浜】

「さあそうなると・・」

ミスターがいった。

「いよいよ今週の4重賞は地方競馬出身騎手、外国人騎手に注目ですね！」

京王杯2歳Ｓ
3－04　ヤンキーバローズ（岩田康誠）
7－11　マイネルチケット（戸崎圭太）
8－13　レモンバーム　　（Ｍデムーロ）

ファンタジーＳ
5－09　ヴーレヴー（Aシュタルケ）

アルゼンチン共和国杯
2－04　クロミナンス　（戸崎圭太）
3－05（右）フォワードアゲン（内田博幸）
3－06　マイネルメモリー（Aシュタルケ）

みやこＳ
3－04（右）ミッキーヌチバナ（Mデムーロ）

「京王杯2歳ステークスは、デムーロのレモンバームでどうでしょう？　くろたんがポストしていましたが、土曜福島メインがフルーツラインカップです」

みんながなるほどと同意し、京王杯2歳Sはレモンバームの単複勝負となった。

京王杯2歳Ｓ
カフェ・ド・イーグル　勝負馬券
本命：13番　レモンバーム

～～～

「ファンタジーはシュタルケひとりだから、ヴーレヴーでいいな？」

イカ社長がそういうと、すぐにみんなが同意しこちらもすんなり本命馬が決まった。

ファンタジーＳ
カフェ・ド・イーグル　勝負馬券
本命：9番　ヴーレヴー

「日曜の2重賞は、土曜日の結果をみてからでいいんじゃない？」

聖子ママの一声で、日曜重賞の結論は明日へと持ち越しとなった。

■ オジュウチョウサン

10分間の休憩後、土曜福島10レースの三陸特別が気になるといったのは貫一郎だった。

ここ早起村は岩手県の三陸沖に面した村であるから、それで気になったのかとみんなが思ったがそうではなかった。福島競馬場のイベントだという。

「11月2日は福島競馬場フリーパスの日なんですが、『じゆうちょう』というノベルティグッズがもらえるらしいんです。福島で『じゆうちょう』・・・オジュウチョウサンのことじゃないでしょうか？」

第3回　福島競馬場　イベント

みんながおおという声を挙げた。福島競馬場といえば、ジャンプレースの絶対王者オジュウチョウサンが、平地の初勝利をあげた競馬場である。

2018/7/7（土）福島9Ｒ　
開成山特別　芝2600　1勝クラス
1着：5－06　オジュウチョウサン（武豊）
※オジュウチョウサン　平地初勝利

11/1（土）福島10Ｒ　
三陸特別（芝2600）
3－（06）ヴェルミセル
※初勝利　2023/11/5（日）
（福島）7Ｒ（1勝クラス）（芝2600）　

「オジュウチョウサンの平地初勝利ゲートに入ったヴェルミセル。初勝利はオジュウチョウサンと同じ、福島芝2600の1勝クラスです！」

みんなが再度おおという声を挙げて、三陸特別の軸は6番ヴェルミセルに決まった。

「相手はどうするんでい？」

イカ社長の問いに、貫一郎は即答した。

「オジュウチョウサンの開成山特別は57キロでした。また、オジュウチョウサンが唯一出走した平地ＧⅠは2018年の有馬記念、ゲートは1番。重なるのが1番アイザックバローズです！」

2018/7/7（土）福島9Ｒ　
開成山特別　芝2600　1勝クラス
1着：5－06　オジュウチョウサン（武豊・57キロ）

同年有馬記念
（1－01）オジュウチョウサン（武豊）9着
※唯一の平地ＧⅠ出走

三陸特別
（1－01）アイザックバローズ（57キロ）
※唯一の57キロ

「よし！　三陸特別はヴェルミセルの単複に、1番アイザックバローズとの馬連ワイドだな！」

イカ社長がそういうとみんなが同意し、満場一致でカフェ・ド・イーグルの三陸特別勝負馬券が決まった。

福島10Ｒ　三陸特別
カフェ・ド・イーグル　勝負馬券
本命：6番　ヴェルミセル
単複：6番
馬連・ワイド：1－6

■ 編集後記

お気づきになられましたでしょうか。

舞台とした岩手県某市早起村

早起村　はやおきむら　はやお　きむら

キムラハヤオさんです。ラブラドールのココちゃんでキムラハヤオさんのことだと気づいた方も、早起村のことは気づかなかったかもしれません。

私がおととし離婚した際に、いろいろと親身になって気遣ってくださったのがキムラハヤオさんでした。底の見えないどんよりとした闇の中を、暖かい言葉で救ってくださいました。

今週、キムラさんはＸで苦しい胸の内を吐露されていました。DMしようかコメントしようかと悩みましたが、小説内での登場で私の気持ちを表現させていただきました。

キムラハヤオさんのパワー全開を、ゆっくりと長い目で待っています。


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